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分類記号と図書館の本の並べ方

1.図書館の本の並べ方

図書館では、図書分類法に従って、本を並べています。
図書館の本の並び方ですが、みなさんなんとなくはお知りになっているのではないでしょうか? 音楽の本なら音楽のコーナー、スポーツの本ならスポーツのコーナーで見つけることができます。 今ではそのようなテーマや主題(図書館では件名といいます)ごとに分類して並べることが当たり前のことになっているのですが、 実は19世紀後半まではそうではなかったのです。 ひとつの情報として、この本は音楽の本といったようにテーマをつけることはします。 しかし、実際に並べるときには、本の大きさや受け入れた順序によって並べていたのです。 このような並べ方はスペースを有効に活用できるというメリットはあります。 しかし、利用するには非常に不便ですよね? 小説を読みたい、料理の本を読みたい、歴史の本を読みたいといったように、テーマを決めて図書館に来ることが多いと思います。 そんなとき、例えば野球の本を探していても、あっちの棚こっちの棚と、図書館中の棚を探し回ることになってしまいます。 そこで、テーマごとに資料も並べよう、ということになったのです。 現在では、ほとんどの図書館が図書分類法というテーマの分け方の規則にしたがって本を並べています。

2.図書分類法とは

図書の並べ方、検索方法のひとつ。 本に書かれた内容(テーマ、主題)によってグループ分けを行い、 そのグループを順序よく棚に並べ、本を探しやすくするための方法です。
※図書分類法
図書その他の図書館資料を、体系的に順序よく、また必要に応じて取り出しやすいように排列しておくために考案された 特定の体系(システム)。図書館資料を分類するために基準とするトゥールで、具体的には何かの原理、構想(概念)、 目的、関心、またはそれらの組合せに従って、体系的に排列された記号とこれに対応する語(ことば)との表であって・・・(後略)
(『図書館用語集 三訂版』日本図書館協会 2003年)

これは『「図書館用語集」に記載されている、図書分類法の項目です。 「図書その他の図書館資料を、体系的に順序よく、また必要に応じて取り出しやすいように排列しておくために 考案された特定の体系(システム)。・・・」なんだか難しいですね。 つまり、本に書かれた内容(つまりテーマ、主題)によってグループに分けて、 そのグループを順番どおりに棚に並べ、本を探しやすくするための方法である、ということです。

3.NDC(日本十進分類法)

図書分類法には、たくさんの種類があるわけではありません。 日本のほとんどの公共図書館、学校図書館、大学図書館で使用されているものがあるのです。 それがこの、日本十進分類法、NDC(Nippon Decimal Classification)と呼ばれるものです。 だから、日本の図書館を使う限り、ほとんど共通の分け方がされているといえるのです。 本屋さんでもこの分類法を使っているところがありますよ。 1929年に最初のものが発行されて、現在第9版まで改訂されています。

本の分類の方法ですが、下の図の一次区分をご覧下さい。 まずすべての知識の総体を9つに分けて"1"から"9"の数字を割り当てます。 そして、どこにも当てはまらないもの、あるいは全分野を扱うもの、たとえば百科事典なんかは"0"に分類されます。 こうして分けたものをさらに9つに分けます。たとえば「3 社会科学」を見てみます。これが二次区分です。
日本十進分類法二次区分表(3 社会科学)
3のあとに0〜9の数字が割り当てられています。 同じく"0"は社会科学の全分野を扱うものあるいは1〜9のどこにも当てはまらないものです。 これをさらに分けます。こんどは「33 経済」を見てみますね。
日本十進分類法三次区分表(33 経済)
このように3桁になったものが基本的な分類記号ですが、 小数点をつけてさらに細かく分類することができます。たとえば「332.1」は、
日本十進分類法(332.1 日本の経済史・経済事情)
「日本の経済史・経済事情」を表します。 「経済史・経済事情」だけでは範囲が広すぎるから、さらに細かく、 この場合は地域で分けているのです。 例えば「332.5」のように小数点以下を"1"から"5"に変えると、 "5"が北米をさしているために、「北米の経済史・経済事情」、となるのです。 このように、本に分類記号をつけて、その記号の順番に棚に並べていきます。

4.本のラベル(大阪府立図書館の場合)

次に、具体的にどのように分類記号が利用されているのか見てみましょう。 図書館の本の背には下図のようなラベルが貼ってありますよね。
大阪府立図書館のラベル。一段目が分類記号。二段目が受入番号(その分類記号のなかで、受け入れた順番に番号をつけていきます。)
一番上が分類記号。そしてその分類記号の中での受け入れた順番を表す受入番号。 受入番号は、その分類記号のなかで、受けいれた順番に数字をつけていきます。 (図の数字の後についている"N"は、日本語の図書であることを表しています。 外国語でかかれた本には"F"がつきます。) 本はこのラベルによって書棚へと並べられるのです。 まず分類記号で分けて、次に同じ分類記号の中で受入番号の順番に並べていきます。 以上が基本ですが、実は例外もあります。 たとえば、「913.6 日本の近代小説」は同じ分類記号の中で、受入記号の順番ではなく、 著者ごとに並べられています。 ラベルの一番下に著者の名前のヨミの先頭から二文字をつけて、 同じ著者の作品を同じ棚にまとめているのです。 そのほか伝記(289)には対象者の名前のヨミをつけてその対象者ごとに並べています。 たとえばエジソンの伝記だったらいろいろな人が書いたエジソンの伝記を同じ書棚に集めているのです。
大阪府立図書館のラベル。三段目に著者記号をつけています。)

5.本のラベル=請求記号


検索結果の表示。所在と請求記号を表示しています。
インターネットや館内の検索コンピュータ(OPACといいます。オパック、オーパックと読んでいます) で検索すると、だいたいこんな表示がされますよね。 請求記号とは、分類記号と受入番号、それに著者記号などのラベルに記載されている記号を すべてつないだものです。まず所在でだいたいの位置を把握したら、請求記号をもとにして、 その資料がどこにあるのかすぐにわかるようになっています。 上図の場合だと、まず分類記号"596"の書棚に行きます。 その中で、受入番号の順番に並べているので、すぐに見つけることができます。 もちろん、多少乱れていることもありますので注意も必要ですが。

6.配架(ハイカ。書棚に本を並べること)

棚には下の図のように、左から右へと並べられます。
書棚。左から右、上から下に本を並べています。
ただし、本のサイズが大きすぎて受入番号どおりの位置に入りきらないものは、 その分類記号の本が並べてある棚の一番下などに置かれていますのでご注意ください。