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中央図書館職員ブログ「職員の日記帳」

このページでは、府立中央図書館の職員が「日記帳」としてブログを作成し、公開しています。日常の業務のこと、最近読んだ本のことなど、特にジャンルは決まっていません。どうぞみなさんにもお読みいただき、少しでもみなさんとの距離が縮まることを願っています。
  • このブログには「コメント」の掲載や「トラックバック」は受け付けていませんのでご了承ください。
宮沢賢治の誕生日
8月27日は詩人、童話作家として知られる宮沢賢治の誕生日です。
賢治は1896年に現在の岩手県花巻市に生まれ、自然や宗教を題材にした数々の作品を残しました。彼の作品は死後高く評価されるようになり、今なお多くの読者に愛されています。

賢治の写真といえば、うつむき畑にたたずんでいるものが有名です。何かを憂いているようにも見えるこの写真、実は全くそんなことはなく、賢治が好きだったベートーベンの肖像画のポーズを真似して撮ったものだといわれています。まじめな人というイメージを持たれがちな賢治ですが、そうしたお茶目な一面もありました。『屋根の上が好きな兄と私 宮沢賢治妹・岩田シゲ回想録』(岩田シゲほか/著 蒼丘書林 2017.12)では、賢治の色々なエピソードを知ることができます。賢治の趣味である浮世絵収集でわざと詐欺師に騙される話や、賢治が育てていた野菜にまつわる思い出、さらに賢治の最大の理解者であった妹トシの死の日の事や父との複雑な親子関係といった、家族にしか語れない賢治の姿が収録されています。賢治について知りたいという方におすすめの一冊です。

「銀河鉄道の夜」は賢治の代表作です。ジョバンニとカムパネルラという二人の少年が銀河鉄道という不思議な列車に乗って旅する中で様々な人に出会い、本当の幸せとは何なのか考えます。透き通るような風景描写と、登場人物の抱える嫉妬や劣等感といった鬱屈とした感情の描写が入り混じった美しくも切ない物語です。
この作品は何度も改稿されてなお未完の作品で、推敲を重ねるうちにジョバンニとカムパネルラの関係性や物語の結末部は大きく変化していきました。『新校本 宮澤賢治全集10 ─童話3』(宮沢賢治/著 筑摩書房 1995.9)と『新校本 宮澤賢治全集11−童話4』(宮沢賢治/著 筑摩書房 1996.1)には四つの改稿原稿が収録されています。ぜひそれぞれの「銀河鉄道の夜」を読み比べてみてください。

賢治は天ぷらそばが好物で、天ぷらそばを食べるときはよくサイダーを頼んでいたそうです。とても変わった組み合わせですが、8月27日は賢治の誕生を祝して試してみようと思います。
2019年8月24日  海ほたる
室生犀星生誕130年(2)
 室生犀星には記念館が二館あります。

 ひとつは、石川県金沢市の生家あとに立つ「室生犀星記念館」。
故郷金沢で、室生犀星は泉鏡花、徳田秋声とともに金沢三文豪と呼ばれ親しまれています。鏡花と秋声、二人の記念館は市内の東側、江戸の風情が残る古い町並みの茶屋町付近を流れる浅野川近くの繁華な場所にあり、幻想的な小説を書いた鏡花、通俗小説の秋声、二人の作風とよく似合っています。
 一方犀星の記念館は、市内西側を流れる犀川近くの住宅街の中にひっそりとたたずんでいます。市内中心部を抜け、遠く源流の北アルプスの山々を望む広々とした清流に出会うと、思わず“うつくしき川は流れたり/そのほとりに我は住みぬ”(「犀川」)と、犀星気分に浸れます。川を渡り、犀星が育った雨宝院の前を通り抜けてすこし入ったところにある記念館は住宅街の中では目立つ現代的な建物。犀星の人生と作品を心ゆくまで味わったあとは、ぜひミュージアムショップへ!犀星が愛した猫のグッズがかわいくて、猫好きさんでなくともほしくなるかも!

 もうひとつは、長野県軽井沢町にある「室生犀星記念館」。
 長期の保存補修工事を経て、ついこの間、7月25日に開館したばかりです。こちらは金沢とはうって変わって古風な日本家屋。昭和6年(1931)に建てられました。こちらはこちらで、昭和レトロ好きにはたまりません!昭和9年(1934)の夏に初めて訪れてから、その死の前年の昭和36年(1961)まで、犀星が毎夏滞在した別荘です。犀星自身が築庭したという苔むした庭を、縁側から眺めるのが好きだったようです。庭いじりが趣味だった犀星は、「庭をつくる人」など庭に関する作品も書いています。この山荘には堀辰雄、立原道造、川端康成、志賀直哉ら多くの文豪が訪れ、犀星と交流を深めたといいます。時間が止まったような空間で、在りし日の文豪たちの様子を思い浮かべるのも楽しいかも。室生犀星と文豪たちの交友関係を知りたい人は、『犀星と周辺の文学者』という本がおススメ!

 もし旅行で金沢や軽井沢に行くことがあれば、ぜひ訪ねてみてください。なお、軽井沢の記念館は、避暑地という場所柄か、今年は11月4日までの公開となるようですので、ご注意を!

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2019年8月1日  文豪倶楽部
室生犀星生誕130年(1)
 近代を代表する詩人・小説家の室生犀星は、2019年8月1日に生誕130年の記念日を迎えました。
 室生犀星って誰?という人も、“ふるさとは遠きにありて思ふもの/そして悲しくうたふもの”(「小景異情 その二」)のフレーズは教科書などで見たことがあるのでは。ほかにも“いまもその川ながれ/美しき微風ととも/蒼き波たたへたり”と故郷・金沢の生地のそばを流れる川をうたった「犀川」など、一枚の絵のようにその情景が目に浮かぶうつくしい詩をたくさんつくっています。そんな詩を知ると、神経質でアンニュイな感じの文学青年風に犀星をイメージしちゃいますよね?しかし、犀星についていろいろ調べると・・・あれ、なんか違う気が???そう、彼は“文明という生活形態とは全く同調できない野生児”(by佐藤春夫)だったのです!
(注)佐藤春夫はあくまで犀星の詩才について書いています。念のため。(「天成の詩人」)

 作風と風貌のギャップに衝撃を受けた人が犀星のすぐそばにもいました。犀星が「二魂一体」と称した親友、詩人の萩原朔太郎です。朔太郎は「詩壇に出た頃」(『日本現代文学全集26 萩原朔太郎集』所収)というエッセイに、初対面での犀星の印象を書き残しています。この時、犀星は無一文で風呂敷に原稿用紙とタオルと石鹸だけを包み、犬殺しのようなステッキを携えて現れました。(室生犀星「我が愛する詩人の伝記」)

“この「あこがれの詩人」に対する、僕の第一印象は甚だ悪かった。「青き魚を釣る人」などで想像した僕のイメージの室生君は、非常に繊細な神経をもった青白い魚のような美少年の姿であった。然るに現実の室生君は、ガッチリした肩を四角に怒らし、太い桜のステッキを振り廻した頑強な小男で、非常に粗野で荒々しい感じがした。”

もっとも、犀星もまた朔太郎を見て「気障な虫酸の走る男」と思ったようですが。
 第一印象はサイアクで性格も全く似ていない二人でしたが、すぐにうちとけ、のちに犀星が詩から小説の世界への転向を宣言してからも、朔太郎がこの世を去るその時まで生涯友情を保ち続けました。そんな二人の詩をまとめて味わってみたい方は『日本語を味わう名詩入門9 萩原朔太郎/室生犀星』をどうぞ。二人の友情に着目した詩集です。

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2019年8月1日  文豪倶楽部