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第6回大阪資料・古典籍室1小展示
平成8年12月3日〜12月27日


木村蒹葭堂関連展覧会の歴史




図書館ものがたり その2


「木村蒹葭堂関連展覧会の歴史」展示外観



 当館において、木村蒹葭堂の展覧会が開催されたことはない。蒹葭堂の遺品・遺墨の展観については、肥田晧三「蒹葭堂日記献本法要」(『上方風雅信』人文書院)によれば、明治以降このかた、「日記献本法要」をふくめて5回開催されているという。

 そしてそれらの展観には当館の資料が出品されてもきた。また当館では開館以来幾度か展覧会は開催されてきたが、それら各種展覧会においても、当館所蔵のものだけでなく他の機関や個人蔵の蒹葭堂関連資料が展示されてきている。

 今回のこの小展示では、これら木村蒹葭堂の法要や遺品・遺墨の展観、当館で開催された蒹葭堂関連の展観を概観してみた。
 以下、蒹葭堂没直後の法要および明治以降の遺品・遺墨の展観、それに当館関連の展覧会など年次を追って記していく。そして当館にかかわる出展資料やその折の展示の目録などもあわせて記す。



文化10年9月25日 蒹葭堂13回忌 於大応寺


 二世蒹葭木村石居主催。三都・諸州からよせられた追薦供養の書画幅を展観。
 この展観には鳥羽台麓、頼山陽、後藤漆谷、篠崎三島、小竹らおおくの文人が出品した(相見香雨「蒹葭堂と立原翠軒」『上方』146号)。
 『癸酉展観目録』



文化8年4月 蒹葭堂25回忌 於大応寺




明治34年春 蒹葭堂百年忌  於書籍商事務所(東区安土町)


 鹿田古丼(2代目松雲堂)の肝入りで開催。
 追薦の記録『蒹葭堂誌』(352-204)



大正2年10月24日(和漢書目展覧会) 於大阪市立高等商業学校


 日本図書館協会主催全国図書館大会に協賛して、和漢の書目をあつめた展覧会。2日目に内藤虎次郎「唐本書目に就て」、和田万吉「和書書目に就て」と題して講演が持たれている。
 『図書陳列目録 第8回和漢書目』(館資料137 )。ただしここに掲げられている書物すべてが陳列されたわけではなくまた出品者名を記載していない旨の注記がある。

出品された蒹葭堂関係図書
『蒹葭堂書目』 写本 2冊
『蒹葭堂蔵書目 附、太刀図目録』 写本 1冊



大正8年2月25日 大阪名家稿本展覧会 於大阪府立図書館


 『大阪名家稿本展覧目録』(館資料69)

出品された蒹葭堂関係図書(所蔵は当時のもの)
『蒹葭堂雑録後篇』  暁鐘成手稿  5冊  大阪府立博物場蔵
『本草綱目解』  木村巽斎手稿  2冊  鹿田松雲堂蔵
『皇和文房具図』  木村巽斎稿  森川竹窓補  1冊  鹿田松雲堂蔵
『琉球物産志』  木村巽斎手稿  1冊  水落露石氏蔵
『蒹葭堂雑録』  木村巽斎稿  1冊  大阪府立博物場蔵
『夫木和歌抄抜書』  西順録 (蒹葭堂旧蔵)  2冊  鈴鹿三七氏蔵



大正10年1月30日 蒹葭堂120回忌 於懐徳堂(東区豊後町) 遺著遺墨展覧会



 1枚刷目録『木村蒹葭堂遺著遺墨翁並関係書展観目録』『贈位』



大正13年2月 贈位卿賢事績展覧会 於大阪市立大阪市民博物館


 『贈位卿賢事績展覧会記念誌』(大正13年2月11日、蒹葭堂は従五位に追贈された)



大正13年2月25日〜3月6日 先賢遺物展覧会 於大阪府立図書館

 府下故人功労者に贈位がなされた木村重成・古林見宜・五井持軒・土橋友直・木村蒹葭堂・片山北海・草間直方・広瀬旭荘・篠崎小竹・佐々木春夫の10人の功業を顕彰するため当館で遺書・遺物を展観した。

「陳列目録」(『乃木宗(第54号)附録)』(館資料214)
*(出品リストは文末)



大正15年11月23日〜29日  125回忌 於高島屋(長堀橋) 蒹葭堂会主催


 高梨光司『蒹葭堂小伝』(352-302)はこの高島屋での展観にあわせて刊行された。
 図録『蒹葭堂遺墨遺品展覧会図録』(905-51)

出品された当館所蔵図書
『和蘭新定地球図推定木孔恭手描』



昭和3年5月26日〜6月5日 和漢本草書展覧会 於大阪府立図書館


 『和漢本草図書展覧会目録』(館資料76)

出品された蒹葭堂関係図書( 所蔵は当時のもの)
『蒹葭堂人参録』 木村孔恭 嘉永3年7月山本榕室写 岩瀬文庫出陳
『蒹葭堂人日七種考慮』 木村孔恭述 1冊(8枚) 写本 岩瀬文庫出陳
『蒹葭堂本草随筆』 木村孔恭手記 鹿田静七出陳
『本草綱目解』 2冊(約700 枚)  木村孔恭手稿 鹿田静七出陳
『蒹葭堂自画賛石柱図』 1幅 大阪府立博物場蔵



昭和10年5月12日〜14日 橋本曇斎先生関係資料展覧会 於大阪府立図書館  橋本曇斎先生百年記念会


  『橋本曇斎先生関係資料展覧会出品目録』(館資料66)

出品された蒹葭堂関係図書(所蔵の記載なし)
『蒹葭堂日記』 木村巽斎 1冊



昭和13年10月16日〜18日 郷土先儒遺著展覧会 於大阪府立図書館


  『郷土先儒遺著展覧会目録』(館資料74)

出品された蒹葭堂関係図書
『蒹葭堂甲申稿』 1冊 木村孔恭手稿本 西宮 辰場悦蔵氏蔵



昭和18年1月24日 143回忌展観 於大応寺 蒹葭堂主催、大阪史談会・上方郷土研究会・橋本曇斎会後援 遺物遺品諸文献の展観会


 高梨光司講演「文化人としての蒹葭堂」、当日の世話人後藤捷一・鹿田静七・高梨光司・浪岡具雄・南木芳太郎(「蒹葭堂追遠忌法要次第」『上方』146 号( 雑468)に大応寺参詣者芳名あり)。
 「木村蒹葭堂遺著遺墨並関係書展観目録」( 『上方』146 号) 、『大阪史談』復刊2号(328-59)に転載)。

出品された当館所蔵図書
『蒹葭堂雑抄』 木村孔恭手写 1冊
『過眼法帖目』 木村孔恭手写 1冊
『煎茶略説』 楽水居述明和元年板蒹葭堂板 1冊
『沈氏画塵』 明沈朗曜述木世粛註明和6年板蒹葭堂板 1冊
『■山園記註』 木村孔恭註明和7年板蒹葭堂板 1冊
『貝よせの記』 木村孔恭著延享4年板蒹葭堂板 1冊
『蒹葭堂贈編』 蒹葭堂板 1冊



昭和25年10月 蒹葭堂150回忌 於大阪美術倶楽部 坂田脩軒主催 梁江堂杉本要・松泉堂中尾熊太郎協力


 『展観目録』(昭和25年12月刊『日本美術工芸』146 、『大阪史談』復刊2号に転載)



昭和47年4月29日 於大応寺 蒹葭堂日記複刻完成奉告墓前祭 主催蒹葭堂日記刊行会


 代表者羽間平三郎 世話人野間光辰・大谷篤蔵・中村幸彦・水田紀久・中尾堅一郎『遺墨遺品展観目録』(『混沌』創刊号(雑3064)に所載

出品された当館所蔵図書
『遡遊従之』 自筆 蒹葭堂・大田南畝問答録 1冊