大阪府立図書館 基本方針と重点目標(平成25-27年度)
更新日:2016年10月19日
大阪府立図書館の「使命」と「基本方針」
使命
府域の図書館ネットワークの核として、広域的かつ総合的な視点から府民と資料・情報をつなぎ、府民の”知りたい”という気持ちにこたえ、”学びたい”という意欲を育み、豊かで活気あるくらしと大阪における新たな知識と文化の創造に寄与すること
基本方針
- 大阪府立図書館は、市町村立図書館を支え、大阪府全域の図書館サービスを発展させます。
- 大阪府立図書館は、幅広い資料の収集・保存に努め、すべての府民が正確な情報・知識を得られるようサポートします。
- 大阪府立図書館は、府域の子どもが豊かに育つ読書環境づくりを進めるとともに、国際児童文学館の機能充実に努めます。
- 大阪府立図書館は、大阪の歴史と知の蓄積を確実に未来に伝えます。
- 大阪府立図書館は、府民に開かれた図書館として、府民とともにあゆみます。
大阪府立図書館は、平成22年度に「大阪の未来をつくる図書館をめざして 大阪府立図書館の基本方針と重点目標」を策定し、「使命」として以下を掲げ、5つの基本方針と、基本方針ごとに平成22年度~24年度までの3カ年の重点目標を定めて取組みを進めてまいりました。
国際児童文学館の移転・開館と大阪版市場化テストの導入が始まったこの時期に、これからの大阪を展望し、府民と地域社会の要請にこたえるため、あるべき図書館サービスを追求する大阪府立図書館の<使命>を、次の言葉に集約して掲げました。
<使命>
府域の図書館ネットワークの核として、広域的かつ総合的な視点から府民と資料・情報をつなぎ、府民の”知りたい”という気持ちにこたえ、”学びたい”という意欲を育み、豊かで活気あるくらしと大阪における新たな知識と文化の創造に寄与すること
平成22年度から24年度の3年間、毎年度、目標の達成に向けた行動計画としてアクション・プランを策定し、その成果について自己評価および外部評価を行い、図書館活動の運営・改善に役立ててきました。これにより、当初、目標として掲げた事項は概ね達成することができ、さらなるサービス向上に向けての新たな課題を確認することができました。
府立図書館のサービス向上に向けて見えてきた課題は、現状分析とニーズ把握の必要性、広域自治体としての府立図書館の役割についての府民の理解の促進、外部連携の強化などです。そして、これらの取組みを積極的に展開していくためには、知見と能力を備えた計画的な人材育成が必要です。
府立図書館を取り巻く社会状況は、今、大きく変わっていこうとしています。
少子高齢化が進む中、図書館に対するニーズはますます多様化しています。高齢者の社会参加の入口として、「知識」「情報」の提供を図書館に求める人々が増加すると予想されます。少子化については、子どもの育ちを支え、生きる力を育む読書環境の整備が求められます。
また、デジタル化・ネットワーク化の一層の進展が予想される情報通信環境の変化を含め、こうした状況の変化を的確に把握し、対応する力を高めつつ、一方で、上記の<使命>に掲げた府立図書館の変わらない役割を見つめなおし、府民に求められるサービスとは何かを問い続け、常に発展への可能性を追求していくことが重要です。
大阪府域では、平成23年12月、大都市制度のあり方など府市共通の課題に関して、重要事項を検討していくために、大阪府市統合本部が設置され、府市の図書館のあり方についても検討が進められています。
また、中之島図書館については、平成25年3月末から重要文化財部分の耐震化補強工事を実施し、施設面等の制約の大きい中でのサービス提供になります。
大阪府立図書館では、この3ヵ年の成果と課題をふまえ、平成25年度~27年度の3カ年を実施期間として、上記に掲げた<使命>のもと、5つの基本方針に沿って重点目標を策定し、府民サービスの向上に向けて、アクション・プランによる取組みを推進するとともに、毎年度検証し、評価結果を公表してまいります。
<基本方針1>
大阪府立図書館は、市町村立図書館を支え、大阪府全域の図書館サービスを発展させます。
府域市町村立図書館への支援は、都道府県立図書館である府立図書館の重要な役割です。このため、府立図書館ではこれまでに、市町村立図書館への資料搬送システムの拡充、図書館サービスを支える「人」の育成と連携を目的とする研修事業、サービス向上のための「情報」の共有と活用等の、さまざまな取組みを進めてきました。
大阪府域における図書館サービスは、市町村立図書館の取組みにより、全体としてみると全国的にみても高い水準にあります。一方で、図書館サービスまた府民による図書館利用には地域によってばらつきがあり、図書館未設置自治体の存在も含め、府域全体の図書館サービスをいかに向上させていくか、引き続き追求していく必要があります。
現状把握と分析に基づいて資料搬送システムの見直し、また市町村立図書館のニーズにマッチした研修事業の実施といった取組みを推進するとともに、市町村立図書館との情報共有を進め、府域の図書館ネットワークのハブとして、他府県や他館種の図書館、関係機関との連携を深めていくことが求められます。
重点目標
- 府域市町村立図書館へのより効果的な資料および情報の提供を行い、図書館間相互の連携・協力を強化します。
協力貸出/市町村間物流の資料分析 協力貸出対象範囲の拡大 等
- 府域図書館職員のスキルの向上を図るため、研修事業を充実させます。
府域職員を対象とした研修の体系的な計画の策定 等
- 府域図書館活動を推進するため、近隣府県の公共図書館のほか、学校図書館、大学図書館、国立国会図書館、専門図書館、類縁機関その他の社会教育機関・施設や行政機関等との連携・協力を広げます。
大学や関係機関等との連携の拡充 等
- 図書館サービスを充実させるための調査・研究活動を進めるとともに、府立図書館職員の専門性を高める取組みを推進します。
図書館サービス等に関する各種調査・アンケートの実施・分析 外部研修への参加と情報共有 等
<基本方針2>
大阪府立図書館は、幅広い資料の収集・保存に努め、すべての府民が正確な情報・知識を得られるようサポートします。
平成22年度に本格実施を開始した個人利用者向けe-レファレンスは、その後の2年間で大きく利用が伸び、Web複写サービスなどを含め、遠隔サービス(非来館サービス)の利用は順調に増加しています。ビジネス支援においては、関係機関等と連携した事業や広報に取り組み、市町村立図書館も含めた連携の強化を図ろうとしています。障がい者支援では、直接サービスとともに、府域図書館職員等を対象とした研修や情報交換会を開催する等、市町村立図書館を支援し、協働する取組みをさらに進めます。行政支援(政策立案支援サービス)では、着実な利用の増加がみられますが、一層の充実をめざします。
情報化、高齢化等の大きな社会の変化を受けて利用者のニーズは変化し、「楽しみ」や「課題解決」等に限らず、今後もさらに多様化していくと考えられます。このため、利用実態をさまざまな角度から調査・分析し、レファレンスサービスをはじめとする資料提供サービスをより役立つものにしていくために、ニーズにマッチしたサービスの推進や情報発信の強化を図っていく必要があります。
図書館サービスの基盤となる蔵書構築の面では、市町村立図書館とは異なる府立図書館ならではのコレクションをめざして、資料収集に取り組んできました。
今期3カ年においては、平成25年度に予定している図書館情報システムのリプレイスにあわせ、重要性を増すデジタル資料の収集・提供ができる環境を整備するほか、蔵書評価のための分析手法の検討、府域の「保存図書館」としての役割を果たすための収蔵スペース確保に向けた取組みと府域における資料保存体制の検討に、重点的に取り組みます。
重点目標
- より効果的な蔵書の構築を行うとともに、大阪府域における「資料の保存図書館」としての役割をはたすため、資料収蔵能力確保の取組みを進めます。
蔵書評価の実施 府域における資料保存体制の検討 等
- 図書館資料と検索技術に精通した職員(司書)の専門性を活かし、レファレンスや資料提供サービスを充実させます。
レファレンスの利用分析 政策立案支援サービスの拡充 等
- ビジネス支援サービスの新たな展開と強化を図ります。
関係機関・市町村立図書館等との連携強化 等
- 大阪府域全体の障がい者サービスの向上を図ります。
市町村立図書館への支援・協働 他団体等との連携強化 等
- デジタル資料の提供をはじめとする、情報通信技術の進展に合わせたサービス提供基盤の構築を進めます。
図書館情報システムのリプレイスの実施 等
<基本方針3>
大阪府立図書館は、府域の子どもが豊かに育つ読書環境づくりを進めるとともに、国際児童文学館の機能充実に努めます。
大阪府立中央図書館は、国際児童文学館の移転・開館を契機として、子ども読書活動推進事業や学校支援サービスを着実に広げるとともに、受け継いだ資料を広く利活用してもらうため、再整理に向けた道筋を整えてきました。
今期3カ年では、図書館協議会からご提言いただいた「大阪府立中央図書館国際児童文学館の今後のあり方報告書」の方向性に基づき、<児童文化の総合資料センター機能><府域の子どもの読書支援センター機能>を拡充していく必要があります。
こども資料室における児童サービスの実践を積み重ねながら、国際児童文学館とこども資料室のより一体的な取組みを推進し、学校と連携した読書推進のモデル事業や、府域図書館職員、学校および学校図書館の司書・司書教諭、ボランティア等児童サービスに携わる幅広い人材の育成と交流を目的とした研修事業の拡充を図るとともに、国際児童文学館の専門図書館的機能の充実に向け、専門性の確保、外部連携と情報発信の強化、および移転資料の再整理を推進します。
重点目標
- 図書館利用が困難な環境におかれた子どもへのサービスを広げます。
図書館利用が難しい子どもへのサービス提供 外国語資料の収集・利用促進 等
- 児童サービスの実践および情報収集の成果を広く発信し、子ども読書活動の推進に寄与するとともに、児童サービスに携わる人材の育成と交流を進めます。
児童サービスに関する研修の実施 児童サービスホームページの拡充 等
- 学校のニーズ把握を進め、市町村立図書館と協力しながら、学校支援サービスを推進します。
小学校との連携によるモデル事業の検討 等
- 国際児童文学館機能の充実に向け、資料の有効活用を図り、外部機関との連携を進めます。
外部連携の基盤整備 ホームページの充実 移転資料の再整理 等
<基本方針4>
大阪府立図書館は、大阪の歴史と知の蓄積を確実に未来に伝えます。
大阪資料・古典籍サービスは、府立図書館が蓄積してきた有数のコレクションをベースに、講演会や資料展示といった取組みに加え、参加型ワークショップやギャラリートークといったさまざまな試みを実施しながら大阪の文化に関する情報発信を進めてきました。外部の研究者、関係機関との連携も広がっています。
今期3カ年は、中之島図書館の耐震化補強工事のため、スペース的に大きな制約を抱えた中での取組みとなりますが、平成25年度に予定している図書館情報システムのリプレイスを見据え、重要性を増すインターネットを通じた情報発信を一層強化し、大阪府の行政資料を中心に、デジタル形態で発行され、インターネット上で提供される資料の収集と提供を進めます。
府立図書館が築いてきた地域資料のコレクションは、大阪のあゆみを伝え、未来を展望する手掛かりとなる貴重な文化遺産です。研究機関等との外部連携を深めながら、これをさらに充実させ、確実に将来に伝えるとともに、一層の利活用につなげるための取組みを推進します。
重点目標
- 地域資料および古典籍の有効活用を図るとともに、大阪に関わる情報へのゲートウェイをめざして、データベースの拡充など、大阪のあらゆる分野に関する情報発信を強化します。
「大阪文献データベース」の拡充 等
- 地域資料および古典籍サービスにおける専門性を活かし、外部人材・機関とのネットワークを形成します。
出前講習等の研修の実施 連携事業の連携先の拡大 等
- 大阪府の行政資料を中心に、デジタル形態で発行される資料の収集と提供を進めます。
デジタル形態で発行される資料の収集に向けた運用体制の整備 等
<基本方針5>
大阪府立図書館は、府民に開かれた図書館として、府民とともにあゆみます。
先の3カ年においては、図書館の資料と施設を活用した多彩なイベントの開催や、ホームページ・メールマガジンを通じた情報発信に取り組み、それぞれ着実な進展がみられた一方、いくつかの指標で、横ばい、または減少傾向が見られました。
府民のニーズや図書館を取巻く社会状況が大きく変化する中で、多くの要因が複雑に関連している課題もみられることから、その対応には、さまざまな指標の分析による総合的な現状把握と分析が不可欠です。それらに基づき、関係機関との連携を強化しながら、引き続き大阪の「知の拠点」として、府民に親しまれる図書館づくりを推進します。
重点目標
- 図書館が持つ資料や施設を活用し、府民の生涯学習活動を支援するとともに、地域の魅力づくりに貢献します。
効率的な施設管理の検討 外部機関との連携強化 等
- 広域自治体の図書館としての府立図書館の役割や活動についての理解を広げ、利用促進につなげるため、特にインターネットを活用した情報発信を推進します。
ホームページの再構築 等