平成23年度 総合評価(自己評価) 市場化テストについて
更新日:2014年2月13日
平成21年9月、府は「行政責任の中心をなすもの以外の業務は民間事業者に開放する」という大阪版市場化テストの理念のもと、府立図書館管理運営業務の民間開放を決定した。
これをうけて、民間事業者の有する能力と経験を有効に活用し、より効果的・効率的な図書館運営の実施を図るため、平成22年度から、府立図書館の管理運営業務の一部を包括的に外部委託している。これまでの約2年間の取組みの成果を検証し、現時点での自己評価を以下にまとめた。
府立図書館業務の分担について
府立図書館は、司書の技能・知識・経験を活かし、都道府県立図書館としてのサービスを提供している。市場化テスト導入にあたり、次のとおり、業務分担を行った。
府職員(司書)が引き続き実施する基幹業務
- 資料収集方針、サービス方針等、館運営方針の決定
- 市町村図書館等との協力・支援業務
- 政策立案支援サービス、子どもへのサービス、障がい者支援、ビジネス支援、学校支援等、行政施策の推進に関する業務
- 選書、書誌データ整備、レファレンスサービス、大阪資料・古典籍サービス、その他府職員(司書)の技能・知識・経験を必要とする業務
外部委託している主な業務
- 資料の受入、装備等の資料の整理・保存業務
- 書架整理、蔵書点検作業、資料修理等の所蔵資料管理業務
- 貸出・返却・登録業務、書庫出納、利用案内・蔵書検索等の一部のレファレンスサービス
- 市町村図書館等への協力貸出業務
- 生涯学習事業、広報・展示等の補助業務
委託先の概要
委託先 | 株式会社図書館流通センター(TRC) | ||||||||
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委託期間 | 平成22年4月1日~平成25年3月31日(3年間) | ||||||||
委託金額 | 686,412,463円(平成23年10月契約変更:地下書庫出納業務を追加) | ||||||||
体制 | 合計 106名(平成24年4月1日現在)
従事スタッフの勤務形態が多様であるため、追加した地下書庫出納業務(13名)を除いて(106名-13名=93名)フルタイム換算すると、次のとおり。
H22年度、H24年度が市場化テスト |
モニタリングの実施
<大阪版市場化テスト対象業務モニタリング委員会>
- 対象業務の評価項目、実施方法等に関し、指摘及び提言を行う第三者機関 (事務局:総務部行政改革課) 委員4名
- 平成23年度分は、平成24年1月12日、7月9日に実施
成果
- 運営コストの縮減
- セルフ複写サービスの導入や複写機の増設による利用者サービスの向上
- 外部団体との連携など多様なイベントの実施
- 書籍販売の試行実施
今期の評価と課題
概ね円滑な業務運営を行った。受託事業者は、民間のノウハウを発揮して委託業務を効率的に処理するとともに受託者のリスク負担によるイベントの拡充、図書館内での書籍販売の試行実施など、新たな取組みもすすめている。その一方で、次のような課題がある。
体制整備上の課題
受託者は市町村図書館を中心に広い受託実績を持つが、大規模都道府県立図書館の受託の経験が不足しており、府立図書館にふさわしいサービス水準を維持するため、受託後に人員増や勤務時間増により対応した。大規模な業務委託に関する館側の経験が不足していた部分もあり、安定したサービスに入るまでの体制整備にかなりの時間を要した。
業者スタッフの課題
スタッフがなかなか定着せず、期間中のメンバー交代が頻繁に見られた。その中で安定したサービスを提供するにも責任者の能力が大きく影響するが、図書館委託事業の市場は未成熟で、都道府県立図書館クラスの大規模館で責任ある立場を務められる人材が予想以上に不足していると思われる。
委託している業務の切り分けの問題
現在、受託者と館との連携は概ねスムーズに機能しているが、一部業務については、館で担う業務と委託した業務とが入りくみ、業務の非効率化を招いているものがあり、整理が必要である。
レファレンスに関する課題
「利用案内と所蔵調査、所在調査の一部」を委託したが、一定の水準に達するにはかなりの時間を要した。館からも研修等のサポートを行うとともに、月次報告による対応記録をもとに検証とフィードバックを絶えず行うことで現在の水準を維持している状況である。スタッフの入れ替えが頻繁なこともあり、水準の維持のため、継続して検証していく必要がある。また、カウンターでの対応は、結果もさることながらプロセスが重要であり、これをいかに検証・評価するか、さらに検討する必要がある。
次期委託に向けて
今期の課題を踏まえ、次期委託にあたっては、柔軟により良い官民協力の形を今後も探っていく必要がある。特に、次の点に留意する必要があると考えている。
委託範囲について
業務の流れの検証を踏まえた委託業務範囲の見直しが必要である。レファレンスについては、今期の範囲が限界であると考えている。
事業者の選定方法について
事業者の選定にあたっては、民間のノウハウを十分発揮しつつ、府立図書館にふさわしいサービス水準を維持できる人材の確保という観点を重視して、最適な方法を選択する必要がある。