大阪府立図書館

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活動評価 第二期の総括と第三期への課題

更新日:2018年6月28日


[PDFファイル/481KB]

<大阪府立図書館の使命>
府域の図書館ネットワークの核として、広域的かつ総合的な視点から府民と資料・情報をつなぎ、府民の知りたいという気持ちにこたえ、学びたいという意欲を育み、豊かで活気あるくらしと大阪における新たな知識と文化の創造に寄与すること

大阪府立図書館は上記の使命を掲げ、平成22年度から活動評価を実施してきました。第二期終了にあたり、3年間の状況を概観するとともに、図書館の取組みを5つの基本方針に沿って振り返り、第三期への課題をまとめました。なお、基本方針の下に設定した18の重点目標は概ね順調に達成できたと考えており、その詳細は「重点目標評価シート」に記載しています。

平成25年度「大阪府立中之島図書館のあり方検討に係るタスクフォース」において中之島図書館の今後のあり方が検討され、図書館としての機能を堅持しつつ施設と周辺のエリアとをセットに魅力あるものにしていくという方向性が確認されました。これを受けて中之島図書館では、耐震補強工事に続いてリニューアル工事、文化事業の試行実施、指定管理者の選定等を行い、28年度のリニューアルオープンに備えました。
中央図書館では、調査研究機能を強化するため商用データベースを拡充し、AV資料関連サービスの再構成を行いました。27年度には施設の維持管理とホール・会議室の運営等に指定管理者制度を導入し、業務の効率化と施設管理コストの削減を実現しました。
図書館業務のうち定型的業務の包括委託(大阪版市場化テストによる業務委託)については、開始以来6年を経過し、運用は安定しています。来館者の満足度は、3年間を通じて両館ともに95%前後という高いレベルを維持しました。一方で、全国的な状況と軌を一にして、貸出冊数が減少傾向にあるため、26年度には貸出上限冊数を引き上げ、貸出利用の活性化を図りました。外部機関との連携が進みイベントや展示が充実し、新たな図書館利用者を得る機会ともなったと考えています。図書館ホームページへのアクセス数は継続して増加していることから、立地や開館時間にとらわれない図書館サービスとして、インターネットを活用した資料・情報への橋渡しが今後さらに重要になることが予想されます。

情報環境や出版流通形態、人口構造の変化や、いわゆる読書離れなど、図書館を巡る社会状況は大きく変化しています。大阪府および府域自治体の財政状況も厳しさが増すなか、府立図書館として果たすべき役割を見据え、状況の変化に対応しつつ効果的なサービス提供を目指していきたいと考えています。

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「基本方針1」
大阪府立図書館は、市町村立図書館を支え、大阪府全域の図書館サービスを発展させます。

府域図書館の他館からの借受状況 府域図書館への資料提供に関しては、引き続き、市町村では収集が難しく府立図書館での所蔵が期待される専門書の収集と提供に努め、府域図書館から高い蔵書満足度を得ました。協力車による搬送資料数が増加傾向にあるため、コースを再編し搬送能力を強化しました。府民に対する協力貸出の広報にも注力し、府域図書館が利用できる広報グッズを配布しました。
研修事業では、ニーズに合った研修の企画・実施に努めた結果、参加者数を大きく伸ばしつつ、高い満足度を維持することができました。研修テーマと受講者の経験レベルを組み合わせ、研修メニューの体系化を進めました。とりわけ、経験年数の少ない職員を対象とした司書セミナー基本編の実現や、府立図書館から市町村へ出向いて実施する「情報検索出前講習」の拡充は今期の大きな成果と考えています。
府立図書館職員が研修講師を務める機会が増加し、そのことは府立図書館職員のスキルアップにもつながっています。加えて、外部研修への参加や事例共有等により人材育成にも努めました。

≪第三期に向けて≫
府域でも図書館運営形態の多様化に伴い、研修ニーズが多様化しています。図書館職員のレベルアップは図書館サービスの向上に直結することから、研修ニーズの変化に柔軟に対応し、必要とされる研修機会を提供していくことを第三期の重点目標とします。

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「基本方針2」
大阪府立図書館は,幅広い資料の収集・保存に努め,すべての府民が正確な情報・知識を得られるようサポートします。

e-レファレンス利用者満足度

第一期の外部評価を受け、蔵書評価に取り組みました。資料の貸出回数などのデータ分析から、発行後時間を経た資料にも一定の利用があることが確認されました。このことは、従来から専門書の収集を重視し、原則永年保存としてきたことが蔵書への信頼を育み、貸出利用として表れたものと考えています。法律分野と医療情報分野に関しては外部専門家による評価も実施し、概ね高い評価を得ました。中央図書館では書庫の収蔵能力を確保するため、複本の精査と除籍を試み、定例的な処理に移行することもできました。
府域全体での資料保存に関しては、「大阪府立図書館寄贈資料取扱方針」を策定、その後府域図書館との調整を経て、「大阪府立図書館寄贈資料受入基準」を策定しました。これらに対する府域図書館の理解を高め、協力を得ていくことが今後の課題です。
レファレンス満足度はe-レファレンス利用者、来館者ともに高水準で推移しました。「レファレンスサービス利用者アンケート」の結果から、利用者自身で情報にたどり着くための支援も必要と考えられることから、利用者向けの講座や調査ガイドの作成・更新に取り組みました。ニュース性の高い展示を迅速に企画・実施し、貸出利用の増加に結び付けることもできました。ビジネス支援サービスでは、他機関との連携により多彩なイベントを展開しました。庁内向けの政策立案支援サービスでは、サービス内容を着実に拡げるとともに効果的な広報にも努めました。部局の偏りなく活発に利用されています。
障がい者サービスでは、法制度の変化や国立国会図書館等の新サービスに着実に対応し、サービスを向上させました。24年度に初めて開催した「障がい者サービス情報交換会」は定例化し、毎年の開催が実現しています。
25年度に実施した図書館情報システムのリプレイスにより、「おおさかeコレクション」の運用、国立国会図書館「図書館向けデジタル化資料送信サービス」利用のための環境整備、APIによる外部連携等を実現しました。「おおさかeコレクション」についてはその機能を活用し、所蔵資料等のWeb公開を進めています。

≪第三期に向けて≫
資料の収集と保存は府立図書館機能の根幹です。しかし、府の厳しい財政状況から、資料購入に際して一層厳しい選択が必要となっています。また、貴重な資料を保存するための書庫スペースの逼迫も大きな課題となっています。今後の効果的な蔵書構築に向けての検討と保存スペースの確保を第三期の重点目標とします。

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「基本方針3」
大阪府立図書館は、府域の子どもが豊かに育つ読書環境づくりを進めるとともに、国際児童文学館の機能充実に努めます。

こども向け調査ガイド こども資料室では各種の先進的なサービスを実践し、その成果を府域図書館へ情報提供するとともに、実習を含む研修の場を府域の児童サービス担当者に継続して提供しています。研修事業では国際児童文学館とともに内容の充実に努め、今期は中級者向けの研修を新たに開始したほか、学校図書館関係者も対象に含む研修を幅広く実施しました。また、子どもの読書活動推進に関わる人の情報収集に役立つホームページ「子どもの読書活動推進のページ」を作成しました。
図書館利用が困難な環境におかれた子どもへのサービスとして、乳児院・児童養護施設への出前おはなし会を実施しました。矯正施設や長期入院児童のいる病院等を視察し、矯正施設については貸出サービスを始めました。また、外国語によるおはなし会、手話を用いたおはなし会を着実に実施しました。
学校支援では、スクールサービスデイ等の従来のサービスに加えて、高校生向けの新規プログラムを企画し試行実施しました。
国際児童文学館では、図書館協議会の提言「大阪府立中央図書館国際児童文学館の今後のあり方報告書」の方向性に基づき、取組みを進めました。外部資金の活用により、移転資料の再整理や街頭紙芝居のデジタル化等、事業が大幅に進捗しました。街頭紙芝居のデジタル化とWeb公開の反響は大きく、ホームページアクセス数を大きく伸ばしました。外部機関の連携・協力を得て実施したイベントや資料展示も好評で、26・27年度には移転後初めて国際講演会を実施することができました。また、専門的利用の一層の促進を企図して「特別研究者」「専門協力員」の両制度を試行し、28年度からの本格実施に備えました。
こども資料室と国際児童文学館の職員は児童サービスの実践経験と絵本・児童書に関する幅広い知識を身につけ、さらに今期は研修講師としてのスキルも向上させることができました。改正学校図書館法の施行(27年4月)により学校等からの出講依頼も増加傾向にあり、内容についても高い評価を得ています。

≪第三期に向けて≫
28年度から始まる第3次大阪府子ども読書活動推進計画に沿い、引き続き子どもの読書活動推進に取り組みます。
府立図書館が府域全体の子どもを直接サービスの対象にすることは現実には困難ですが、府立図書館の資料と職員の活用により、府域図書館職員や学校関係者等を含む子どもの読書活動推進に関わる人たちの育成とネットワークづくりに取り組みます。特に図書館未設置自治体における研修機会の提供に努め、府域の子ども読書活動推進を支えることを第三期の重点目標とします。

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「基本方針4」
大阪府立図書館は、大阪の歴史と知の蓄積を確実に未来に伝えます。

なにわ百景の内「中の嶋蛸の松」

大阪資料・古典籍室では大阪の地域資料を幅広く収集・提供しており、サービスに関するノウハウの蓄積があることから、府域図書館からの研修要望に柔軟に対応しました。
古典籍のデジタル化と電子目録化も進めることができました。外部の研究者や研究機関等との連携・協力により情報発信の機会も増加しました。
電子資料検索システム「おおさかeコレクション」の運用を開始しました。その一部である「大阪の行政資料」は、デジタル形態で発行される大阪府政資料を収集・提供する新しいサービスです。資料の収集については庁内各部局へ協力を依頼したほか、26年度には大阪府統計課との連携が実現し、資料収集・提供の効率的な運用体制を整備することができました。
図書・雑誌に掲載された大阪に関する記事索引「大阪文献データベース」の収録データを毎年着実に追加し、これまでの蓄積を一層活かせるよう、システムの機能強化案を整理しました。

≪第三期に向けて≫
大阪の歴史・文化に関する情報発信を一層強化します。Webによる情報発信は不可欠であり、「大阪文献データベース」の蓄積を活かす観点から、大阪に関する資料と情報の集積をWebで魅力的に提示し、利活用できるしくみの実現を第三期の重点目標とします。

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「基本方針5」
大阪府立図書館は、府民に開かれた図書館として、府民とともにあゆみます。

新装の大阪資料・古典籍室1

中央図書館では、27年度から指定管理者によるカフェの運営やエントランスホールの整備、各種イベントの実施が始まり、図書館のにぎわいづくりに貢献するものと考えています。同じく27年度に開始したESCO事業により光熱水費の節減を実現しました。
生涯学習事業では外部機関との連携事業が順調に進み、展示やイベントで好評を得ました。
中之島図書館については、耐震補強工事・リニューアル工事により制約の多い図書館運営となりましたが、臨時窓口の設置や、利用の多い資料を中央図書館へ一時移動するなど、利用者への影響を抑えるよう努めました。リニューアル工事の結果、27年度からは正面玄関の開扉が実現し、重要文化財である建物の魅力が一層増しました。また、28年度の指定管理者制度の導入に向けて、文化事業を試行実施するなど着実に準備を進めました。
ホームページでは、資料紹介の「本蔵(ぼんくら)」のページ、街頭紙芝居、「やさしいにほんご」のページ等、新規コンテンツを加え、アクセス数は順調に増加しました。イベントやお知らせの通知を主な内容としてツイッターの運用も開始しました。ユニークな蔵書の紹介等、ツイート内容を徐々に広げています。
「府政だより」や大阪府公式ツイッターの活用、外部メディアへの寄稿、報道資料提供など、積極的な情報発信に努めました。今後も魅力的な企画と広報強化を通して、より多くの府民から図書館への関心を得、利用の活性化に繋げていきたいと考えています。

≪第三期に向けて≫
これまで図書館利用者からは高い満足度が得られている一方、入館者数は減少傾向にあり、新規利用者の獲得が課題となっています。その第一歩として、図書館に足を運んでもらう機会を創り出すことが必要です。
中央図書館では外部機関との連携による生涯学習事業の充実を第三期の重点目標とします。
中之島図書館は28年4月より指定管理者制度を導入し、リニューアルオープンしました。中之島図書館では、資料だけでなく建物および中之島エリアの魅力を活かした「文化ステーション」として、指定管理者との連携による文化事業の企画・実施を第三期の重点目標とします。

平成28年度8月   大阪府立中央図書館
大阪府立中之島図書館

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「基本方針と重点目標(平成25-27年度)」およびそれに基づく活動評価について

平成25-27年度

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