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大阪府立中之島図書館だより「なにわづ」 No.143

更新日:2010年2月1日


>> No.143 PDF版

なにわづ・題字

2009年10月 No.143

電子図書館

隆�湊 大我 (おもき ひろかず)

 毎年夏に、国立国会図書館と都道府県・指定都市図書館との懇談会が開催される。

相前後して、文部科学省の行政説明や、公共図書館協議会の総会・研究集会なども開催されるため、全国の図書館関係者が集まってくる。

今年の情報提供の中で、出席者の関心を引いたのは、何といっても「電子図書館事業」に関するものであった。説明によれば、国会図書館が保有する、1968年以前に出版された資料類約90万冊のデジタル化を進めようとするものである。

本年度補正予算で、127億円が計上され、また、著作権者の承諾を得ることなくデジタル化を進めることができるという、著作権法の改正手続きを終えていることから、今後、国会図書館所蔵資料のデジタル化が、一気に進むこととなる。ただ、関係者との協議が終わっておらず、デジタル化の具体的な内容や公開については、まだ決定の段階には至っていないようである。従来の「近代デジタルライブラリー」並みに、公開の対象とされるには、まだかなりの年月が必要であろう。

ひるがえって、中之島図書館の現状は、一部の貴重書や近世後期から明治初期にかけての錦絵などをデジタル化し、ホームページ上で公開している。特に錦絵は、当時の鮮やかな彩色がほぼそのまま残るとともに、戦災などで失われてしまった風景なども多く見受けられ、江戸期から明治にかけての大阪をほうふつとさせるものも数多い。

これら貴重書や錦絵は、傷みや退色の可能性があることから、簡単に公開できないことが多いが、ネット上ならば、家庭にいながらでもじっくりと鑑賞することや読む事が可能となり、今までとは違った楽しみに浸ることもできる。

しかし、それ以外の和装書については、電子目録化すらほとんど進んでおらず、いまだに図書カードを繰って調べざるを得ない資料も数多い。昨年度から、ようやく作業に着手したところである。とはいえ、各種制約から、せいぜい年に数千から一万冊程度の規模で、細々と継続していかざるを得ない状況にある。所蔵する約18万冊について、一応の作業が終了するには、気の遠くなるような期間を必要とする。

一方、検索最大手のグーグルでも、Googleブック検索のシステム構築が進んでいると聞く。最近の動きや関係団体との調整に関しては不勉強ゆえ知らないが、近い将来、いながらにして、インターネットで世界中の書籍の全文検索ができるようになるらしい。国会図書館の電子図書館事業も進捗の暁には、技術的には同様なことになるのであろう。

私たちは、人類が千数百年にわたって築いてきた、紙を使って文化や英知を保存し、伝承していくというスタイルの最終局面を目撃しているのかもしれない。この十年のIT技術の進歩を考えると、サービス開始から106年目になる中之島図書館にも、抜本的な役割の変化が訪れるのも遠くないであろう。更にいうなら、グーテンベルグとワットによって開かれた今日の文明が、新たな段階に移行しているのかもしれない。

彼と我との物量の差を痛感し、文明論的な想いに行き当たった、一日であった。

(大阪府立中之島図書館長)

平成20年度新収資料紹介

昨年度収集した資料の中から、文明開化、西洋科学を吸収した時代の空気を垣間見ることのできる明治期に発行された資料をご案内します。
<>内は、請求記号。

『金銀精分 上・下』 ハラタマ/述 明治5(1872)年刊 1冊 <648/22/#>

『金銀精分』掲載の図(その1) 『金銀精分』掲載の図(その2)

≪この資料は、序に「西洋造幣局為ス所ノ金銀精分方ニ及ヒ且ツ説キ通常貨幣及ヒ金銀器械の真贋ヲ弁スルコトヲ知ラシム・・・・・」とあり、ハラタマが、開局予定だった大阪造幣局のために、貨幣の金・銀の分析法を講義したもの。銀の含有量の比率によるグラム表や計算方法、どのような器具を用いて分析するのか図で示されている。舎密局(せいみきょく)での弟子にあたる人物が翻訳している。

ハラタマは、オランダの化学者、陸軍軍医。江戸幕府の招来により長崎で精得館付設の分析窮理所の教師をしていた。来日2年目に江戸幕府が瓦解、新たに明治政府に雇われ、東京に開校予定の理化学校が明治2年大阪に舎密局(せいみきょく)として開設されるに伴い、教頭として赴任した。≫

『和洋菓子製法獨案内』第7版 岡本純/著 青木嵩山堂(発売)明治31年 1冊 <596.6/266N>

『和洋菓子製法獨案内』より68・69頁」

≪和菓子は、小倉餡の練り方から葛饅頭、金玉羹など様々な種類の作り方が目次にあがる。

嘉壽庭羅(カステイラ)も和菓子に分類されている。

西洋菓子には、Pancakes、RiceBall、SugarBisquiなど28種のケーキが紹介されている。

パンケーキは、うどん粉をスープ匙3杯に卵一個を入れて氷にてよい加減に溶いたものを油を引いた鍋で薄く焼いてジャムを餡にするか、上にかける・・・・・・・といったふうに簡潔に文字のみのレシピが紹介されている。題字は、風月堂主人。岡本純は、岡本半渓谷ともいい、岡本綺堂の父。序に以前は京都で和菓子を修行していた書肆魁真楼の主人に菓子の製法を広めるため文を起こすことを依頼されたとある。人気があったのか当館のものは明治22年の初版から版を重ねた7版である。≫

デジタル情報室のリニューアルについて

デジタル情報室座席図

 大阪府立中之島図書館デジタル情報室は、2009年7月3日からシステム、端末機器を新しく入れ替えて再出発しました。その内容はオンラインデータベース端末(4台)、CD-ROM端末(2台)、インターネット端末(11台)、持込パソコン専用席(27席-電源・無線LAN利用可)となっております。

オンラインデータベースは、これまでのものに加えて「MPAC(マーケティング情報パック)」、「The Sankei Archives(産経新聞)」が利用できるようになりました。 企業情報、業界情報、過去の新聞記事の検索がより便利になったと考えます。オンラインデータベースおよびCD-ROMについてはプリントアウトが可能です。(A4、白黒、1枚50円)

新聞室の端末図

なお、新聞データベースについてはデジタル情報室だけでなく、新聞室3に端末を4台設置し、そちらでも閲覧可能となりました。ただ、新聞室ではプリントアウトができませんのでデジタル情報室をご利用ください。

インターネット端末については、従来より設置台数が減少しましたので、利用のシステムをより効率的に運用できるよう変更しました。 1人1回30分を1枠として4回まで、図書館の資料検索、調査・研究等にご利用できます。上記端末のご利用にはお申し込みが必要です。大阪府立図書館の利用者カードか、お名前、ご住所の確認できる公的機関の証明書を持参の上、カウンターでお申し込みください。

デジタル情報室インターネット端末図

持込パソコン専用席は、ご自分のパソコンを使った作業をしていただけます。今回のリニューアルから無線LAN環境を利用してインターネットへも接続できるようになりました。(無線LAN内蔵のパソコンか無線LANカード、Eメール受信可能な携帯電話が必要です。携帯電話がない場合は利用者カードあるいはお名前、ご住所の確認できる公的機関の証明書持参でお申し込みできます。)

お探しの資料が府立図書館になくてもあきらめないで・・・

 

 所蔵が確認できれば、府内の公共図書館・他府県の図書館・国立国会図書館・大学図書館 から取り寄せができるかどうかお調べします。ただし、各図書館、それぞれの資料によって、利用の条件が異なりますので、まずはカウンターでお尋ねください。(送料が必要な場合や館外貸出ができない場合などがあります。)また、特定の資料の複写物を手に入れたい、大学図書館の資料を閲覧したい、そんな時もどうぞご相談ください。当館2階の図書館協力室でお待ちしています。

寄贈絵画の紹介

菅楯彦画 鼗鼓楽[とうこらく] この度、株式会社 大阪新歌舞伎座から絵画を寄贈いただきましたのでご紹介します。

 
寄贈資料 菅 楯彦画 『鼗鼓楽[とうこらく]』  タテ192cm×ヨコ200cm
寄贈者 株式会社 大阪新歌舞伎座
寄贈年月日 平成21年8月19日

菅楯彦は大阪の庶民生活を温かく表現した浪速風俗画や神事祭事、歴史画などを得意とする画家で、襖絵『鼗鼓楽[とうこらく]』には鼗鼓(たいこ)や鳳笙[ほうしょう](吹き物)等で雅楽を奏でる楽人[がくにん]の姿が描かれています。寄贈いただいた絵は、当館文芸ホールでご覧いただけるよう準備中です。

中之島図書館ふれあいルーム

当館では従来多目的室として使用していた旧食堂を、より多くの方に文化的交流の場として活用していただくため、環境を整備するとともに、名称を『ふれあいルーム』と改め、今年度より小規模のセミナーやワークショップの会場などにご利用いただいています。宝生流謡教室や古文書の会、図書館相互講座等が開催されており、気軽に集える文化活動の場となっています。

記念室の特別公開 ~特別開館事業~

記念室の様子

 重要文化財に指定された歴史的建造物の魅力に親しんでいただくため、当館3階にある記念室を平成21年9月19日から23日まで期間限定で特別公開しました。

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