大阪府立図書館

English 中文 한국어 やさしいにほんご
メニューボタン
背景色:
文字サイズ:

大阪府立中之島図書館だより「なにわづ」 No.135

更新日:2004年11月30日

なにわづ・題字

2001年9月 No.135

中之島図書館に思う

浅野 広三

 私の実家が当館から徒歩10分ばかりのところにあった関係で、若い頃は自習室をよく利用したものだ。夏の炎天下1時間以上並んで入館したこともあるし、また冬の寒い時期は懐炉を胸に開館を待ったのも懐かしい思い出である。こうした自習室の利用は「市民の図書館」(1970年 日本図書館協会刊)によれば図書館サービスではないとされているが、一応中之島図書館利用者としていただこう。

府庁に入ってからは調べもので何度か利用する機会があり、特に電話によるレファレンスサービスについては昭和40年代後半から利用していた。当館の司書の自慢をするわけではないが、なかなかのものであり、ぜひ一度皆様のご利用をお勧めしたい。

今年4月の異動により館長に就任したが、明治37年の開館以来私で19代目となるらしい。目下の関心事は、歴史と伝統ある当館が平成15年度末に開館100年を迎えることである。

昭和29年の開館50周年には、館正面脇に、建設にご寄付をいただいた住友財閥ゆかりの歌人川田順氏の賀歌「難波津の まなかに植ゑし 智慧の木は 五十年(いそとせ)を經て 大樹となりぬ」の記念碑が建てられている。

100周年事業として記念誌の発刊は計画されているが、予算措置がなされていないし、またその他の事業も決まっていないのが現状である。現下の府の財政状況では周年事業の実施は難しい。

言い古された言葉であるが金がなければ知恵を出せ汗をかけである。当館には先人が集められた西鶴の「好色一代男」(初版本)や「七夕」(奈良絵本)等の古典籍や浅井忠画伯等の絵画がある。これらを中心に当館の歴史と伝統を感じられるような100周年事業の実現に向け頑張りますので、広く館利用の皆様のご支援をお願いしたい。

(府立中之島図書館長)

平成13年度 初夏の展示・関連講演会報告

◆ 「近世の名所案内展」  6月26日~7月13日◆

今回の展示では、大阪最初の名所案内『芦分船』などの古版地誌をはじめ、名所・旧跡を絵入りで紹介した「名所図会」を地域別に紹介し、各地の名所の錦絵や社寺参詣案内として使われた絵図・道中図なども展示しました。

会期中には、多数の入場者をお迎えしました。ガイドブックとしての性格をもっている「名所図会」の正確な鳥瞰図に心をときめかせて、江戸時代の旅の雰囲気を楽しんだり、現在と比較されたようです。今後、実際に「名所案内」を手にとり頁をめくっていただける機会があれば幸いです。

◆関連講演会 「名所図会をめぐって」 ◆

平成13年9月1日、講師に宗政五十緒氏を迎えて講演会を開催しました。

大阪や京都の「名所図会」を中心に、多種多様の「名所図会」の見方や面白さ、活用法、奥深さなどを詳しく話され、質問も活発に出て盛況のうちに終わりました。

秋の展示会と講演会のお知らせ

近世大坂は商都として栄え、その経済力を基盤に自由で開放的な文化が花開きました。絵画についても同様で、町人たちの支持に支えられ、たくさんの画家が流派にとらわれない多種多様な新しい絵画を生み出しました。江戸時代には絵入の本がたくさん出版されました。この展示会では絵入の本の中に見られる大坂にゆかりのある画人約60名を紹介しています。

大坂の画人たちに興味を持っていただける契機になればと思います。

【特別展示】絵草紙に見る近世大坂の画家

平成13年10月2日(火)~18日(木) 午前10時~午後5時 〔但し休館日は8日(月)・9日(火)・15日(月)〕

【関連講演会】

(1)「大坂の文人画家 福原五岳」
講師:黒川修一氏(京都造形芸術大学 芸術文化学科助教授)
平成13年10月20日(土) 1時30分から
申込締切:10月10日(水)

(2)「海外に流出した大坂の絵画」
講師:中谷伸生氏(関西大学 文学部教授)
平成13年11月17日(土) 1時30分から
申込締切:11月7月(水)

於:大阪府立中之島図書館3階 文芸ホール
申込み:往復はがきに住所、氏名、講演会名を記入して下記まで。
〒530-0005 大阪市北区中之島1-2-10 大阪府立中之島図書館 大阪資料課

大阪府立図書館ホームページを開設しました

これまで中之島図書館ホームページをご覧いただいて参りましたが、この7月5日より府立中央図書館ホームページと統合し、「大阪府立図書館ホームページ」が誕生しました。

新しいホームページでは中之島・中央両館の蔵書をインターネットで検索していただけるようになりました(和本など、一部検索できない資料もあります)。さらに、放送・通信機構(TAO)の実証実験として「大阪府Web-OPAC横断検索」を立ち上げました。ここでは、国立国会図書館やNACSIS Webcatによる大学図書館所蔵の資料、府内市町村図書館4館の蔵書を一度に横断検索できます。検索対象館は随時追加の予定です。

また、両館の催し物の案内や所蔵する貴重書の紹介、主要新聞の目録、大阪市を除く府内市町村図書館の雑誌の総合目録も揃えております。

中之島・中央図書館独自の情報も発信しており、「障害者サービスのページ」や「こどものページ」を新設しました。大阪に関する資料の情報や図書館の上手な活用法をお知らせする「おおさかページ」も健在です。

ぜひ一度アクセスしてください。

URL:http://www.library.pref.osaka.jp

寄贈図書紹介

大阪在住の作家眉村卓氏が「日課・一日一枚以上」(913.6/15924N)という図書を自費出版しています。新聞にも掲載されていましたが、闘病中の奥さんのために毎日書いて送っていたショートショート作品が1巻に100編ずつ纏められています。現在9巻まで。短くて読みやすいので、ぜひ一度読んでみてください。

作家が大阪、出版社も大阪というまさに大阪発の資料です。また、昨年大阪を舞台またはテーマにした広義のミステリー小説を募集していた「大阪ミレニアム・ミステリー大賞」の結果が、同タイトルの図書にまとめられました。最優秀賞と大阪21世紀協会賞の2作品が掲載されています。

大阪府では今年、大阪府立狭山池博物館がオープン、図書館には「大阪府立狭山池博物館常設展示案内(図録1)」が寄贈されました。治水灌漑の土木遺産を継承する博物館です。図書館で図録や周辺資料を読んでから、展示を観に行くってどうでしょう。

カ-ド箱

「磁気誘導ループ装置」の設置

平成13年6月25日、聴覚障害者の方のための「磁気誘導ル-プ装置」を中之島図書館一般資料室受付カウンタ-に設置いたしました。

これは、床面に敷設した導線(フラットル-プ)に音響システムの出力(マイクロホン)による音声信号を流すと床上に交流磁界が発生し、磁界内にある受信器(補聴器)を耳につけた方は、マイクロホンの音を耳元で直接聞くことができるという構成になっています。

従って、必要な音をはっきり聞くことのほかに、ル-プを敷設した場所にいる方にだけ、あるいは、受信器(補聴器)を持った方にのみ連絡することもできます。周囲の騒音や反響に影響されず、また、音源からの距離に関係なく明瞭な音声等を聴取することができます。

なお、最近、電磁波が人体に悪い影響を与えるとの話題がセンセ-ショナルに報じられております。そこで、磁気誘導ル-プ装置が植込み型心臓ペ-スメ-カへの影響について、製造業者に聞きました。

業者の説明によりますと、「当社の磁気誘導ル-プ装置を用いてのペ-スメ-カへの影響評価では、通常の動作ではあり得ない過大入力状態でも安全域にある。」とのことです。

           (管理課 山田)

新(?)人司書

この4月に中央図書館より中之島図書館に、異動してきました。リニューアル前の中之島図書館人文科学室に勤務していたことがありますが、その頃とのあまりの変わりようにいまさらながら驚いています。

OPACの導入により、その重みで中央ホールの床が沈んだ?カード箱が無くなってしまいました。確かに「あいまい検索」が可能とか、コンピュータ検索は便利で実用的なのですが、図書カードを繰るという作業に「図書館」を感じるといわれる利用者もおられるようです。

もうひとつリニューアルで一般資料のほとんどが中央図書館に移動してしまい、なかなかお問い合わせや資料の提供に即座に応じ難いことがあります。利用者の方からも「昔ここにあったのに!」とお叱りを受けることもあります。

とはいうものの、7月から新OPACシステムも稼動し、インターネットの利用とか、中之島図書館もITの波をまともに受けています。

利用者の新しいニーズはしっかりと受けとめながらも、明治以来の大阪の図書館の伝統は守る努力を続けたいと思います。

(一般資料課 萩原)

 平成12年度利用状況

入館者数337,443人  貸出冊数116,249冊

◆IT講習を開催しました◆

(一般対象)375 名が参加 

・平成13年3月下旬~8月中旬 ・全10コースのべ40日間

(視覚障害者対象)10名が参加 

・平成13年8月下旬~9月下旬 ・全2コースのべ10日間 


PAGE TOP