大阪府立中央図書館 国際児童文学館 「海賊の旗」
更新日:2013年11月1日
『海賊の旗』
(昭和29年7月20日 美育社)酒井七馬:画作 痛快面白文庫1 100頁 縦18cm×横20cm 100円
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大阪赤本マンガ界の巨匠・酒井七馬による作品。戦後、紙芝居とともに貸本マンガがブームとなり、大阪でも多くの赤本マンガと呼ばれる作品が出た。きっかけは、大ヒットした手塚治虫のデビュー作『新宝島』(1947年、育英出版)だが、酒井はその共作者として知られる(同書には、「酒井七馬:原作構成、手塚治虫:作画」とある)。このヒット以来、1950年代にかけて酒井は多くの赤本マンガや紙芝居を手がけたが、本書もその一つ。
物語は、1780年代の地中海が舞台。英国商船で航海中の少年ハリイは、ある日海賊船「タイガーシャーク号」の襲撃を受け、船長ダックによって囚われの身となる。しかし心やさしいハリイを助ける海賊船の乗組員マックやジルマとともに、やがては英国軍船に助けられる。
画はアニメーターとしても活動した酒井らしく動きがあり、映画的表現を意識したものとなっている。酒井の作品は、アニメ史や手塚との関係から近年再評価の流れにあり、散逸しがちな著作に注目が集まっている。