大阪府立中央図書館 国際児童文学館 「月刊雑誌月曜」
更新日:2015年11月28日
月刊雑誌『月曜』
(尾形亀之助:編輯 鈴木恵一:発行 恵風館) 第1巻第1号(大正15年1月3日) 縦22cm×横15cm 定価20銭
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『月曜』は、詩人・尾形亀之助主宰の雑誌。〈子供を客とする雑誌ではない〉(「編集後記」)と言いつつ、〈ひろい意味での童話〉〈ひろい意味での「メールヘン」〉をめざし、〈童話、童謡、詩、絵、音楽、戯曲、小説読物、随筆すべてやさしい形のもので、手離してはもの足りない春のステッキ〉(同)との宣言文句のもとに創刊された。この期の〈童話〉が意味するものを示すとともに、大正期童心主義の影響下にある雑誌ともいえる。作品を寄せている作家に、島崎藤村、室生犀星、山村暮鳥、佐藤春夫らの詩人とともに、児童文学関係では浜田広介、武井武雄らの名も見える。また、本誌には宮沢賢治の数少ない生前発表童話「オツベルと象」が掲載(初出)されていることが注目される。宮沢賢治は生前、一般的には無名であったとされるが、詩壇においては大正末期、既に定位を持ち始めたと言われており、詩人としての評価が本誌への寄稿に結びついたと考えられる。
なお、本誌第1巻第2号(大正15年2月1日発行)に賢治は「ざしき童子のはなし」を、第3号(同年3月1日発行)には「寓話猫の事務所」をそれぞれ寄せている。
(本誌発行日の表記について、奥付では1月3日、表紙では1月1日となっている)