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大阪府立中央図書館 国際児童文学館 「少年探偵エミイル」

印刷用ページを表示する 掲載日:2015年11月28日更新

『少年探偵エミイル』
(昭和9年6月4日 耕進社) エリッヒケストナー:作 山本夏彦:訳  158頁 縦19cm×横14cm 1円

少年探偵エミイル

ドイツの児童文学作家、ケストナー作品の翻訳。日本では高橋健二や池田香代子の訳出(ともに岩波書店)が有名。

原作(原題:EMIL UND DIE DETEKTIVE)は昭和3年。ほどなくゲルハルト・ランプレヒト監督、ビリー・ワイルダー脚本によって「少年探偵団」(昭和6年)として本国ドイツにて映画化されたが、それが日本でも昭和9年5月から封切られ(73分、白黒)、これに併せて俄かに本作が出版ラッシュとなった。

まずは、「春陽堂少年文庫」の『少年探偵団』(中西大三郎訳、春陽堂、5月29日)が出て、続いて『少年探偵エミール』(菊池重三郎訳、中央公論社、6月3日)、そして一日違いで本書『少年探偵エミイル』(山本夏彦訳、6月4日)刊行となる。映画公開を意識した出版であることは言うまでもないが、これだけの短い期間(6日間)に同じ翻訳が3冊も出るのは児童文学史的にも珍しい。

訳は、フランスの童話『年を経た鰐の話』(レオポール・シヨヴオ、桜井書店、昭和16年)の翻訳者・山本夏彦。本書が初めての訳出となる。訳文は、冒頭の章「話はまだぜんぜんはじまらない」「十まいの絵が説明する」(高橋健二訳から)などをカットする抄訳だが、これは仏訳本からの重訳であるためと思われる。なお、山本は戦後の『週刊新潮』や『諸君!』(文藝春秋)の連載コラム、またインテリア雑誌『木工界』(のち『室内』工作社)を約50年に渡って主宰・発行したことでも知られる。