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大阪府立中央図書館 国際児童文学館 「大黒屋のみどり」

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更新日:2015年11月28日

『大黒屋のみどり (新少年少女物語第5編)』
(大正3年10月3日 忠誠堂出版部) 秦豊吉:著 96頁 縦16cm×横12cm 定価金15銭

大黒屋のみどり

樋口一葉「たけくらべ」(明治28~29年、『文学界』に断続的に連載)を原作とする物語。

子ども向けにリライトされた最初のものと思われる。

まず、本書冒頭に忠誠堂主人による叢書「発刊の趣意」がある。それに拠れば、発刊の目的は、世界的視野に立って深い教養を培うためには新しい書物が必要であるが、数ある読物のなかでもそうしたものは少ない。しかしその少数のなか、本書は帝国の将来を担う少年少女の一助になるという。ちなみに、巻末広告には[新少年少女物語]として全10編のラインナップがある。

物語は、〈これは樋口一葉と仰やるその頃評判の女小説家がお聞かせ下さいましたお談を、あんまりおもしろうございましたので今晩ざつとこれから皆様にお取次いたさうと存じましたの〉という「口上」から語り始められる。長吉、真如、みどりなどの登場人名、大黒屋、龍華寺などの名称、大筋での展開も忠実に再現しつつ、一方で〈口上〉に見られる通り本書は口語体で語られている。末尾には再び語り手が顔を出し、〈皆さん、お談はこれだけ〉〈みどりがあれだけおきやんだつたのになぜ急にそんなに内気な子になつてしまつたのでせうね〉などと述べて語りの構造を虚構している。

なお、作者・秦豊吉は実業家、演出家、翻訳家として知られる文筆家。東京帝大ドイツ文学科を出てゲーテ『ファウスト』などの翻訳も行っている。

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