令和6年度第1回大阪府立図書館協議会の概要(令和6年8月30日)
更新日:2024年9月20日
令和6年度 第1回 大阪府立図書館協議会議事録
日時 令和6年8月30日(金曜日) 15時から16時55分
場所 大阪府立中央図書館 多目的室
1. 開会
2.委員紹介 出席委員:橋本会長、村上委員(活動評価部会長)、井上委員、内海委員、川窪委員、田中委員、西田委員、藤井委員
欠席委員:中野委員、日笠委員
3.中央図書館館長挨拶
4.地域教育振興課課長挨拶
5.議事(質疑要旨)
議題(1)令和5年度 大阪府立図書館の活動評価について
(2)その他
<議題1>令和5年度 大阪府立図書館の活動評価について
(事務局から資料1~5により第五期の活動評価について説明)
(活動評価部会部会長から外部評価報告について説明)
第五期の前の第四期についてはほとんどが新型コロナ感染対策の影響下にあった。非常に様々な制約を受けたその一方でオンライン、オンデマンドによる活動へのチャレンジや2つの報告書のまとめなど、挑戦され、成果もあった。第五期はこの経験を受け、ウィズコロナ、ポストコロナの時代の事業目標設定がなされたということになる。
第五期初年度については、設定したほとんどの数値目標を達成されており、全体として好調なスタートを切ったと評価して良い。当初設定した目標を達成するだけにとどまらず、関連する基本方針の更なる実現に向けて高みをめざしていただきたい。
(質疑応答)
[委員]すべて目標値の値設定の根拠に関わってくる話かと思うが、1つずつ質問したい。
1つ目の質問として、資料2の2-2、「パスファインダーの新規作成・更新数」に関する、対象者の設定について、子ども向けやヤングアダルト向け、大人向けと、対象者によってパスファインダーというものは色々あるかと思うが、60という目標値はそのすべてのジャンルを包含した数値なのか。
2つ目、3-1「府立学校等向けの講座回数」で、具体的に4校参加したという結果が書いてあったが、その母数である府立学校の対象校は何校なのか。この数により、この目標値および評価が果たして妥当なのかどうかというのが出てくるかと思う。
3つ目、資料2の項番4で、万博の収受タイトル数の目標数値が200点ということだが、これは紙媒体だけを対象にされているのか。資料種別として、立体的な博物資料、たとえばミャクミャクの人形やAV資料、動画など、いろんな資料が万博に関連して出てくると思うが、その資料種別の収集範囲はどこまでなのか。もし紙媒体だけに限って収集されるとしたら、それ以外の関係資料をどこが収集するのかということについての協議をしておかないと、万博が終わった後に紙媒体は確かに図書館にあるが、それ以外の資料については、どこに行ったかわからないという事態に陥ってしまう。まだ今の時点であれば集められるが、終わってからだと、集めるのはかなり大変。資料種別を紙媒体に限るのか、限らないのか。限るとしたら、博物館のようなミュージアム関係のところとどれぐらい協議されているのかというのを知りたい。それに基づいて、200点という目標値が妥当なのか、5年度の収集数が66点というのが少ないのか多いのかということが判断できると思う。個人的には200点は少ないのでないかという印象。
4つ目、資料2の「5-1関係機関との連携事業数」というのは中之島の指定管理者がビジネス支援セミナーを開催しているということか。であれば連携事業ではなく委託事業では。チラシを見ただけではわからなかったため、この辺の説明が欲しい。最後に、資料3のところにも出てくる非来館型のレファレンスサービスはどういうものか。メールなのか電話で受け付けるのか。コロナのときとは違う非来館型のレファレンスサービスとはどういったものなのかというのをもう少し具体的にご説明いただきたい。
[事務局]1つ目のパスファインダーの新規作成・更新数については、両館あわせての数字で、中央図書館で作成している子ども向けのものも含まれる。中之島図書館の大阪、ビジネスに関するパスファインダーや、中央図書館の法律関係のパスファインダーは新規に作成するというより、更新するものの方が多くなっている。
2つ目の府立学校等向けの講座回数に関連したご質問については、府立学校の数は支援学校も含めると現在200校ぐらい。講座は、府立学校等としているように府域の公立図書館、学校関係者が受講できるため、市町村の学校の司書教諭や学校司書の参加もある。
3つ目の万博の収受資料については、紙媒体だけでなく、ボーンデジタルの資料も収集対象である。令和5年度は紙媒体資料が中心であったが、今年度は(動画などの)デジタル資料も集まりつつある。立体的なもの、ミャクミャクのぬいぐるみ、バッジは博物館にお任せしたい。図書館なので、いわゆる紙媒体資料やデジタル資料をすることから200点という目標数値としている。
4つ目の「5-1関係機関との連携事業数」には指定管理者が開催している事業は含まれていない。図書館が主催する事業についての目標である。
最後のご質問については、非来館型のレファレンスは来館によるレファレンス以外。メールによるレファレンス、電話、FAX、手紙、市町村図書館を通じてのレファレンスを含む。
[委員]パスファインダーは、対象年代別の統計はとっていないということでよいか。中之島の地域関係とか法律関係、ビジネス関係は、私も授業で教材としてよく使わせてもらっているが、子ども向けとかYA向けが少ないのではと思う。年代に応じたパスファインダーが、探究学習や調べ学習のためにはもっと必要なのではと考えている。
[事務局]資料2の2ー2の数字は、それぞれのパスファインダーを更新した各担当、各課による集計数値である。子ども向けのパスファインダーは子ども向けホームページの中で公開している。
[委員]万博の資料について、本などの資料を集めるという話だったが、DVDなどの視聴覚資料は対象外か。
[事務局]現在図書館で収集している資料については対象としており、視聴覚資料も収集する。
[会長]資料2の3-1府立学校等向けの講座回数に関連して質問がある。「等」とあるが、この対象には市町村立の学校が入るか。また、さっきの説明の中で、学校の司書教諭対象の研修も入っているというような話があったと思うが。具体的な対象について聞きたい。
[事務局]例えば「公立学校と学校との合同研修」を実施しており、その講座については広く大阪府域の市町村図書館や学校に案内をして、司書教諭や学校司書の方にも参加いただいている。
[部会長]市町村の図書館もあるので、基本的に小・中学校の児童生徒へのアプローチは市町村の図書館が行うべきものということで、これまでの評価部会や図書館協議会の中でも話し合われてきたと認識している。
その上で、府立図書館は各基礎自治体の支援を行うことで、全ての府内の児童生徒への支援を図っていくというのが基本的な姿ではないかと考える。もちろんその府立図書館が直接来館希望のある学校に対して支援を行わないということではない。
[委員]重点目標の2つ目の古典籍資料のデジタル化等について聞きたい。国文学研究資料館との協力の中でやっているということだが、基本的には国文研主導の事業に依存している形になっているのかなという印象。国文研の事業がなくなった後も、大阪府立図書館独自の形で継続してデジタル化は進めていけるのかどうか。また、基本事業点検シートの万博の資料について、先程の説明では図書が11点、ポスターやリーフレットが55点で、最終的に足し算して66点とあったが、少しカテゴリー別に分けて確認した方が良いと思う。200点の内実も挙げておくべき。
同じく基本事業点検シートの5-1、連携事業の参加者満足度について、アンケートで確認している部分かと思うが、一般的なイメージでは85%というのはあまり高くない数字ではないかという印象である。何かしらの改善を検討した方がよいのではないか。
[事務局]国文研の事業は昨年度で終了しているが、後継事業の方で中之島図書館とは何年かは協力関係を継続する契約をしている。また、図書館として継続して撮影しているものが5年度は5,506画像であり、数字としては落ちるかもしれないが、6年度、7年度も継続していく。
万博関係資料に関するご指摘については、特記事項に何かしらわかるような内訳を書くなどの工夫を検討したい。
参加者満足度については、ビジネスセミナーについての満足度である。セミナーは初心者でもわかる、ある程度知識が必要なものとレベルを示して案内しているが、参加者の想定していた難易度とズレがあるなどの場合に満足度が低くなることもある。引き続き広報や、講師との連携において調整を進めていきたい。
[委員]参加者満足度を出すよりも、参加人数という母数を示した上で、満足と答えた人数の数を具体的に出した方が良いのでは。
[事務局]令和6年度の報告をする際には、基本事業点検シートにどのようにわかりやすく表記するかについてまた検討したい。
[委員]国文学研究資料館との連携事業で、撮影された画像は国書データベースにも搭載されると聞いているが、その画像はオープンデータ化の検討を始めているのかどうか。
[事務局]国文学研究資料館のプロジェクトなので、そのようになると考えている。公開については国文学研究資料館のスケジュールに沿うため、今年度には公開されると聞いている。
[委員]著作権フリーでオープンデータ化されるということか。
[事務局]最終的にはそれを目指したいが、現時点での状況では(メタ)データの方から先にオープンデータ化し、画像はその後ということも考えられる。
[委員]古典籍なので著作権問題はクリアしていると思うが、許諾の関係であればきちんと確認しておいた方がよいと思う。また、オープンデータ化してくれるプラットフォームはたくさんあるのだから、他の連携先も検討してはどうか。
[委員]重点事業の中で図書館利用に配慮が必要な府民への支援、非来館サービスの中でデジタルコンテンツの拡充というところを挙げられている。中小規模の図書館では予算や人員の関係から、こういったところにはなかなか手が回りにくいこともあり、きっちり重点事業に挙げてしっかり取り組まれていることについて、非常に心強いと感じた。ぜひこれからもしっかり続けていただければと思っている。
また、基本事業の点検シートの3ー1、府立学校等向けの講座回数というところで、公立図書館の職員向けだけでなく学校の図書館に勤める司書も対象に研修等を行われているのがありがたい。国の方針も公共図書館、学校図書館一体となった読書推進に力を入れているので、市町村の図書館にとって学校支援は重要な位置づけとなっている。職員を学校図書館に派遣して授業のサポートをするなどの取り組みを行っているが、研修まできちんと行うというのは手が回らず難しいので、府立図書館の方でやってもらえると有難い。今後も継続してほしい。
[会長]ご意見として承った。他にご意見はあるか。
[委員]基本事業点検シートの関西万博の目標値について感じたのは、3年間で200とあるが、ジャンル別の数値目標が必要かと思う。これから「OSAKAシティウオーク」や市町村の催しの中で、だんじりや歴史文化など様々なものが出てくるかと思うが、紙ベースにこだわらず、デジタルや視聴覚資料も含め、情報を図書館の方で集めて残していくべきだと思う。
また、基本方針に「開かれた図書館」と書かれているが、インバウンドの方々も増えている中で、特に中之島図書館は興味を持ってよく行かれると思う。インバウンドの増加と、万博開催も近づいている中で、開かれた図書館としてどういった取り組みをされているのかについて聞きたい。
[事務局]中之島図書館の建物を見にいらっしゃる方は多くおられ、最近は海外からのお客さんもたくさんいらっしゃる。今館内の掲示としては日本語表記しかないような状態になっているが、紙ベースでのリーフレットは日本語、英語、中国語、韓国語を用意している。ただ、現在のところデジタルでの掲示というのがないため、例えば館内にQRコードを示して読み取ってご覧いただくことを検討しており、早急に進めていきたいと考えている。
[委員]多言語での災害に関する情報発信についてはどうか。
[事務局]いろんな方がご利用いただいている中で、日本語を母語としない利用者のサービスについてのアンケートの概要版でも、文化庁のホームページや内閣府の外国人のための減災ポイントなどで、「やさしいにほんご」での案内も効果的ということが示されており、こういったところを参考にしながら、図書館の館内の掲示案内もブラッシュアップしていきたいと考えている。
また、母国語しか理解できない方が来館された場合にも備えていきたいと思う。
[会長]私からも意見、要望を申し上げる。学校教育が専門ということもあり、子どもたちにどんな支援ができるのかに関心がある。一つが日本語を母語としない子どもたちに、いかに図書館サービスを届けるかという大きな課題があるということ。もう一つが、障がいのある子どもへの支援だが、障がいの有無に関わらず誰でも参加できる子ども向けのおはなし会やイベントという形への接続をしていくべきではないかいうことについては全く同意見だが、それだけでなく障がいの種別に関わらずということも重視したいと考えている。
特別支援学校との交流をやっておられるという報告があるが、内訳を見ると、1校が聴覚支援の学校で、もう1校は肢体不自由の子どもを中心に受け入れている支援学校である。そこで、知的な障がいのある子どもに対しても同じようにサービスを届ける努力をしていただければと考えている。
難しい面は確かにあると思うが、頑張ってやってもらいたい。最後に要望として申し添える。
[事務局]今後に繋がる要望として承った。支援学校への出張おはなし会では、重複障がいの生徒や児童も混じって楽しんで参加している。年に1回ぐらい、来館しての利用もあり、できるだけ先生方と連携して気持ちよく利用していただけるようにしている。知的障がいのある児童については、おはなし会で伺っている支援学校の先生方との連携も深めてきていることから、連携先の先生方にお話を伺いながら次のステップに進めるようにしていきたいと考えている。
[会長]よろしくお願いしたい。他にご意見などはあるか。
[事務局]委員の先生方はご存知かと思うが、国の方では多文化共生推進プランというものを定めており、その中で図書館も多文化共生の場であるようにと明記されている。府立図書館もそういった場であっていきたいと基本的に考えている。参考資料の「日本語を母語としない利用者へのサービスについて」のアンケート調査で、市町村図書館の要望も確認している。それを踏まえて今年度早速「やさしいにほんご」の研修を10月末ぐらいに実施する予定である。
災害時弱者になりやすい外国人への情報発信が重要というのも委員のご指摘のとおりと思う。多文化共生の場として、今後も取り組んでいかなければならないと認識している。
[会長]ほかの方で何か伝えておきたいことなどはあるか。
[委員]大阪府子ども文庫連絡会が主催している児童文化講座については、会場提供などいつも協力をいただいている。今年は講師として登壇された長倉洋海氏の写真のパネル展を、大阪府立図書館との共催事業として開催した。また、現在国際児童文学館の方でチェコの絵本展を開催されているが、9月10日の児童文化講座の講師がたまたまチェコ語の翻訳家の先生ということもあり、それに合わせて開催時期を延ばしてくださったということがあった。この場を借りて感謝申し上げる。
[会長]外部評価で指摘提案された事項については、今後の図書館活動に生かしてもらうこととし、令和5年度の活動評価における、図書館の自己評価および活動評価部会の外部評価を承認するということでよろしいか。
[各委員]承認。
<議題2>その他 報告事項等
<中之島図書館書庫棟改築その他工事の状況について>
(資料⑥について事務局より説明)
<中央図書館 書庫改修工事の進捗について>
(資料⑦について事務局より説明)
[会長] 今年度は図書館運営について大きな変更等がなければ、本協議会および活動評価部会の開催は今回の1回とする。ただし、来年度の令和7年度は、第五期の活動評価の最終年に当たるため、それに続く第六期の取り組み内容や数値目標等の審議を行う必要がある。従って、活動評価部会、協議会ともに2回程度開催することになるのではないかと考えている。これについてご意見はないか。
[各委員]なし
6.中之島図書館館長挨拶
7.閉会
資料1 第五期活動評価_重点事業シート
資料2 第五期活動評価_基本事業点検シート
資料3 基礎指標第五期【令和5年度】
資料4 基本統計(都道府県別公共図書館集計)
資料5 大阪府立図書館の活動評価~令和5年度のまとめ
資料6 中之島図書館書庫棟改築その他工事の状況について
資料7 中央図書館 書庫改修工事の進捗について
参考資料 【外部評価報告書】大阪府立図書館の活動評価について(令和5年度)
【概要】R5「日本語を母語としない利用者へのサービスに関するアンケートについて」