令和6年度第1回大阪府立図書館協議会活動評価部会の概要(令和6年7月17日)
更新日:2024年9月6日
令和6年度 第1回 大阪府立図書館協議会活動評価部会議事録
日時 令和6年7月17日(水曜日) 14時から16時
場所 大阪府立中央図書館 多目的室
1. 開会
2.委員紹介
出席委員:村上委員(部会長)、川窪委員、佐藤委員(専門委員・遠隔参加)
3.中之島図書館副館長挨拶
4.議事(質疑要旨)
議題(1)令和5年度 大阪府立図書館の活動評価について
(2)その他
〈議題1〉令和5年度 大阪府立図書館の活動評価について
(事務局より資料1から5および参考資料のアンケートの概要、令和5年度の総括について説明)
(事務局より二つの重点事業について説明)
[委員] 資料1の重点事業シートの1(ⅰ)について、確認したい。「見て、聴いて、さわって楽しむ読書の世界」のチラシでマルチメディアDAISY図書も紹介されていたが、「NDL視覚障害者等用データ送信サービスへのデータ提供」には、マルチメディアDAISY図書も含まれているか。
[事務局] 図書館ではマルチメディアDAISYは作成していない。
[委員] 資料5に「見て、聴いて、さわって楽しむ読書の世界」の様子を紹介した写真が掲載されているが、写っているのは府の職員か、ボランティアか。
[事務局] 写真に写っているのは府職員である。
[委員] このようなイベントは、府域の市町村図書館にも勉強になり参考となる取り組みだと思う。市町村図書館で同様のイベントをするときは、点字の資料を作っているボランティアや、さわる絵本を作っているボランティア、マルチメディアDAISYを作っているボランティアが主体となって、参加者と一緒に楽しめる形になることが望ましいと思う。市町村図書館で実施する際には、ボランティアとの協働についてもアドバイスをするのがよい。
[事務局] マルチメディアデイジー再生機器等があり、障がい者サービスを行っている図書館でないと「見て、聴いて、さわって楽しむ読書の世界」と同様のイベントにチャレンジするというのはなかなか難しいと考える。障がい者サービスを実施されている市立の図書館で同じイベント名でされたと伺っており、地域の図書館でもそれぞれの設備や規模に応じた開催方法で行っていただければと思う。
[部会長] 具体的内容1の活字による読書や来館が困難な利用者や日本語を母国語としない利用者への多様なサービスの提供に関して、他に特に意見等ないか。
[委員] 大体の取り組みが素晴らしいと思うので、特にコメントはない。
[部会長] (1)の2の障がいのある子どもへの支援というところに関連して確認したい。病気で入院している子どもへの支援、例えば、府立の大阪母子医療センターに、「親と子のとしょかん」等もあるが、そういったところとの連携等は何かされているか。
[事務局] これまで病院図書室とは連携を試みたが、新型コロナの感染拡大の影響で途切れてしまい、いまも病院との連携は模索中である。支援学校の先生方との情報共有もでき始めているので、そこから徐々に何か試みていけることがあればと考えているが、具体的に動けてはいない。
[部会長] 今進めている支援学校向けのサービスが定着したあたりで、そうした病院に入院している子どもたちに向けたサービスも考えていただけたらと思う。他に意見のある委員はいないか。
[委員] インクルーシブの観点でということであれば、障がい者向けの資料だけに焦点を当てるのではなく、多言語の資料も含めた、障がいの有無や言語に関わらず皆で楽しめるイベントも開催してみてはどうか。例えば、マルチメディアDAISYを体験しての言語体験や、布の絵本を触ってみたり、点字点訳絵本作りを実演しているとなりで、多言語による絵本の読み聞かせや人形劇、ストーリーテリングをするグループがあるような会場作りも考えられないか。大阪市での取り組みで、ボランティアが2日間一堂に会して行うイベントがある。参考にされてみてもよいかと思う。
[部会長] それでは(2)の府立図書館蔵書の利活用の拡充の方について、委員から質問や意見等はあるか。
[委員] オンラインによる利用者登録について、令和7年1月から運用開始予定ということで開始時期が迫っているが、方式としては公的個人認証を使う想定か。
[事務局] 個人認証に関しては、「大阪府行政オンラインシステム」という電子申請システムを使うことを想定している。
[委員] オンライン利用者登録は世の趨勢なのでぜひ進めていただきたい。ただ、オンラインで利用者登録できても、利用するには来館する必要があるのであれば、複写サービスを除くとメリットが薄いのではないか。長期的な展望としては、登録利用者に限定した商用オンラインデータベースのリモートアクセスの可能性を探っていただけるとよいのではと考える。無数の同時アクセスを認めると公立図書館の場合、契約金額が過大になると思うので、5ライセンスとか3ライセンスとかに限定する形での運用の調整を進めていけないか。オンライン利用者登録の実施と並行して、ということは難しくても、その後に進めていけると、非来館型利用を促進しているというメッセージにもつながるのではと思う。
[部会長] ペンディングとなっている電子書籍サービスも入ってくると、このオンライン利用者登録が活きてくるのではないか。
[委員] 相変わらず「文字もの」の電子書籍は皆そこまで利用していない状況なので、文字ものの電子書籍を入れてほしいという要求はそんなに高くないと思うが、図書館等公衆送信サービスが開始されれば、大阪府立、特に中之島図書館や、国際児童文学館については、所蔵資料への調査研究に対する要望が非常に高いと考えられる。お金がかかってもデジタルデータで送ってもらえた方が嬉しいという人は多くいるだろうから、オンライン利用者登録の制度もかなり活きてくるのではと思う。
[事務局] 公衆送信サービスについては、まだ制度や動向がはっきりとしない部分があるので、そちらを見守りつつではあるが、引き続き府立として一番良いサービスを探っていくことになるかと思う。
個人情報のセキュリティの部分で図書館が単独で責任を持つということはハードルが高いので、大阪府のIT担当部署とも情報共有・調整しながら進めていくこととしたい。
[委員] 認証のシステムを自前で持つことは、どう考えても大変なことと思うので、致し方ないだろう。
[委員] 他に続けてもう1点、デジタルコンテンツの発信はX (旧ツイッター)のみか。
[事務局] ほとんど Xである。インスタグラムはYA(ヤングアダルト)向けにしている部分があり、Xかホームページ、メルマガを使って発信している。
[委員] 巷では Xの勢いが弱まっているのと逆に、インスタグラムがより上の世代にも一般に普及するようになっている。お店等がほとんどインスタグラムで情報発信するので、 40 代 50 代までフェイスブックと同じぐらいインスタグラムが普及しているという。どの SNS を運用するかということは新しいSNSが普及するたびに頭を悩ませるところではあるが、デジタルコンテンツ障害のことを想定しても、インスタグラムでも何か流せるチャンネルがあるといいかと思う。
[委員] 国文学研究資料館の事業に協力というのは、事業費があったのか。
[事務局] 国文学研究資料館にていろいろなコンテンツや画像を増やすというミッションがあり、中之島図書館には古典籍も多く所蔵しているので、画像の撮影も先方からお申し出いただいた。
[委員] 画像撮影は国文学研究資料館が行い、経費も持たれたということで理解した。その画像は大阪府立のサーバーに格納されているのだろうか。
[事務局] 画像自体は国文学研究資料館にあるが、府立にも提供していただいている。いずれネットワーク事業の方で公開されたものを府立でも公開できる。
[委員] いずれはジャパンサーチとも連携されて、その時は大阪府立図書館との連携ということになるのか。
[事務局] 今年度中に公開されるようだが、今現在未定とのことで公開時期をお伝えできる段階にはないが、国文学研究資料館が携わった 117 点についてはそういった形になる。
[委員] 導入以来27、28年ぶりのベンダー交代にも関わらず、指標の数値は上回り、素晴らしい。1600年代の資料がこれだけある図書館も珍しいと思うので、府立図書館が持っている資料をデジタル化してインターネット公開してくれるのは嬉しい。Europeanaのようにジャパンサーチへの連携を期待している。
[部会長] 私もジャパンサーチとの連携に関しては、大阪もそろそろかと考えている。
国文学研究資料館へのデータ提供も、追加されたコンテンツをより広く活用してもらうことが、これからは大事になってくると思う。 X 等で発信をしていく中で、その反応も気になるところだが、そのあたりはどうか。
[事務局] 今後分析方法も含めて検討したい。
(事務局より基本事業および基礎指標の追加項目について説明)
[委員] 資料2の「令和5年度の総括」で基本方針1について注目の取り組みを行った図書館へのインタビュー記事を掲載する、という試みを順次開始されたということが書かれているが、グループウェアでしか書けないような裏話的なものも尋ねられているのか。
[事務局] 昨年度、第1号を3月に公開したところだが、こちらは豊中市立図書館が図書館内で保育スペースを設け、一時保育事業を開始されたことを受けて、大阪府域ではおそらく初めての取組みかと思われることからインタビューをさせていただいた。一旦はグループウェアの掲示板の機能を使って記事を掲載する、というところから始めている。
[部会長] 外部にもインタビュー記事を公開してほしいがどうか。
[委員] グループウェアならではの情報であれば内部公開でもよいと思うが、図書館一般にとって有益な情報であれば一般公開してほしい。
[事務局] グループウェアでの発信という前提でインタビューさせていただいたことで、予算や実際の人員等も回答してくださり、他の市町村が実際に始めてみるときの参考になる情報をいただけたのではと思っている。
[委員] それであれば、確かに広く一般に公開する前提でないからこそ回答してくれているところもテーマによってはあると思う。今の形でしばらく続けてみていってもよいかと思う。
[委員] 4についてだが、資料の受け入れの呼びかけはどういう形で行われているのか。
[事務局] 万博協会や万博関係の部局に重点的に声をかけている。加えて、庁内LANの中で府職員向けに定期的に収集している旨を発信している。
[委員] 企業や同好会等からは集めていないのか。
[事務局] 企業に対しては、新聞等の情報をもとに寄贈依頼等により収集している。
[委員] ウェブ等では収集している旨を発信しないのか。
[事務局] 収集したいものを正確に発信するのが難しく、万博協会や行政以外には、こちらから個別に働きかけて収集する形を取っている。
[委員] ウェブ等で広く発信した方が、チラシやパンフレット等、通常は収集できないような資料が集められるのではないか。
[事務局] 今年度や来年度に向けて各社・関係機関ともより盛り上げるように万博協会も力を入れているようなので、こちらも引き続き情報収集していきたい。
[委員] 3に関連して、本のPOP広場は、応募が多く、それをインスタグラムで発信しているところも素晴らしい。応募総数はどこかに公開しているか。
応募総数何点中の最優秀なのかということがわかると、本人たちにとっても励みになるのではないか。どれだけの応募数があったなかでの優秀賞なのか、ということが分かると、受賞した人にとっても重みを感じられると思う。
[事務局] 応募総数は受賞者が決まった際にホームページに出しているが、今年度はまた秋に開催予定なので、応募者や受賞者の励みになるように発信方法も考えていきたい。
[委員] せっかく実際の事業が盛り上がっているので、ウェブ上やSNS上でもその盛り上がりが伝わる感じの発信にするとより効果的ではないかと思う。
[部会長] 大阪・関西万博公式WebサイトのトップページがWARPに収集されていないのではないか。関西経済連合会の報告書とかは出てくるが、そのトップページ自体が出てこない。東京五輪は開催の何年も前から収集されているので、もし収集されていないのであれば働きかけた方がいいのではないか。
また、2のところに出てきている府立図書館職員向けレファレンス研修の実施回数は要覧の館内向け研修の中に明記されていないようである。手話研修や新規採用職員研修、危機管理研修等は列記されている中に、レファレンスがない。基本事業に挙げている項目ということもあるので、要覧にわかるように載せてもよいのではないかと思うがどうか。ご検討いただければと思う。
[委員] 基礎指標の項番11から13の政策立案支援サービスについて、受付件数自体がそんなに変わりはないにも関わらず、昨年度比較でいうと貸出冊数が半減しているのは、どう分析されているか。複写枚数もそんなに変わっていないので、最新情報は図書ではなく雑誌論文等の文献で、ということなのだろうか。どう分析されているかをお伺いしたい。
[事務局] 昨年度まで数字が大きかったのは大阪府教育庁で実施している「絵本のひろば」という事業に、一度に100冊単位程度で貸出をしていたため。昨年度に、その事業のために本を大量に購入することができたため、当館からの貸出を利用しなくてよくなったという理由である。
[部会長] その他、特に意見はないか。
[委員] 新たに設定した非来館サービスの割合が落ちてしまっているが、もっぱら来館サービスが伸びているためなので問題ないかと思う。
[部会長] 様々な観点からご意見をいただき感謝する。本日の意見を踏まえて、活動評価部会では大阪府立図書館の令和5年度外部評価報告を作成する。この外部評価報告は、大阪府立図書館の自己評価とともに、8月に予定している令和6年度第1回の大阪府立図書館協議会において報告し、ご審議をお願いすることになる。
〈議題2〉その他
[事務局] (事務局より資料6と資料7の両館の書庫工事等の状況について報告)
[委員] 中之島図書館の貴重書庫の資料は、一部中央図書館に移転されていたのか。外部書庫に貴重書庫はあったのか。
[事務局] 貴重書庫の資料については、工事期間中中之島図書館のスペースを1ヶ所あけて、仮の貴重書庫にしていた。新書庫が完成し、その中に貴重書庫もできたので、そちらに6月の中旬から下旬に移し終わったところ。外部書庫には持って行っていない。
[部会長] 令和2年度からつい最近まで外部書庫を運用されていたが、その間の運搬等は順調だったのか。
[事務局] 順調であったと考えている。週3日外部書庫と中之島図書館の間に搬送車を契約し、中之島図書館への取寄せだけではなく、中央図書館や市町村図書館への資料提供にも対応していた。外部書庫からの取り寄せについては、図書館情報システムで予約をかけてもらう形で対応していた。
[部会長] 外部書庫から新書庫へ移転をしてくる7月から10月の間はそれらの資料は使えないのか。
[事務局] その間については利用を停止している。資料移転中にそこから抜き出すことは困難であるため、利用停止させていただいている。
[部会長] 他に何か質問はあるか。
[委員] 中央図書館の平面駐車場の会計システムは現金決済か。クレジットカード決済やタイムズアプリ等に対応される予定はないか。
[事務局] 地下駐車場と並行しての利用になり、既存のシステム等の関係もあるため、現金決済としている。利便性の向上に関しては今後の利用等も調査して改めてご報告したい。
5.中央図書館副館長(代理)挨拶
6.閉会
資料1 第五期活動評価_重点事業シート
資料2 第五期活動評価_基本事業点検シート
資料3 基礎指標第五期【令和5年度】
資料4 大阪府立図書館の基本統計(都道府県別公共図書館集計)
資料5 大阪府立図書館の活動評価~令和5年度のまとめ
資料6 中之島図書館書庫棟改築その他工事の状況について
資料7 活動評価部会(資料)中央図書館書庫改修工事
参考資料 令和5年度実施「日本語を母語としない利用者へのサービスに関するアンケートまとめ」