大阪府立図書館

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大阪府立図書館の活動評価~第三期の総括と第四期への課題~

更新日:2019年10月10日


[PDFファイル/389KB]

<大阪府立図書館の使命>
府域の図書館ネットワークの核として、広域的かつ総合的な視点から府民と資料・情報をつなぎ、府民の知りたいという気持ちにこたえ、学びたいという意欲を育み、豊かで活気あるくらしと大阪における新たな知識と文化の創造に寄与すること

大阪府立図書館は上記の使命を掲げ、平成22年度から活動評価を実施し、28年度から30年度の3年間が第三期となります。図書館の5つの基本方針の下に設定した重点目標等は概ね達成できたと考えており、詳細は「重点目標評価シート」「重点取組業務自己点検シート」に記載しています。

中央図書館では27年度に施設の維持管理とホール・会議室の運営等に指定管理者制度を導入し、第三期を通じて利用者サービスの拡充を模索しました。中之島図書館においても28年度から指定管理者制度を導入し、地域の賑わい創出に努めています。

図書館業務のうち定型的業務の包括委託(大阪版市場化テストによる業務委託)は9年を経過し、運用は安定しています。来館者の満足度は、3年間を通じて両館ともに95%前後という高いレベルを維持しました。一方で、図書館来館者、資料貸出数については、漸減傾向が続いており、課題となっています。保存図書館の機能を重視して館内利用のみとしていた中央図書館所蔵雑誌の協力貸出試行を平成30年7月より開始し、府全域へのサービス向上と資料利用の活性化を図りました。また、「図書館でボードゲームをする日」といったイベントなど新たな図書館利用者層へのアプローチをしています。図書館ホームページやレファレンス事例DBへのアクセス数が継続して増加しており、インターネット、SNSによる情報伝達の有効性を検証し、適切な情報発信のあり方を追求し続ける必要があります。情報環境や出版業界の趨勢、人口減少と高齢化など、図書館を巡る社会状況の変化は予断を許しません。大阪府、府域自治体の財政状況も引き続き厳しい中、府立図書館として果たすべき役割と新たに取り組むべき課題を整理し、令和元年度からの第四期活動評価で取り組んでまいりたいと考えています。

「基本方針1」
府立図書館は、市町村立図書館を支援し、大阪府全域の図書館サービスを一層充実させます。

府域図書館の他館からの借受状況(平成30年度) 3年間の最重要課題としていた府域図書館職員を対象とした研修は高い満足度を得て、内容的にも充実したものを実施できました。中でも28年度に6自治体で実施した出前講習は、「障がい者への接遇」を加えた30年度には18自治体等からの依頼があり、高等学校および途中辞退館を除く16自治体で実施しました。情報ネットワークのハブとして、メーリングリストでは積極的に情報発信し、府域図書館からもイベント開催案内などの情報提供がありました。ここ数年減少傾向である協力貸出冊数については、PRポスターを作成して府域図書館へ配布するなど、利用を促した結果、30年度の協力貸出冊数は前年度を若干上回りました。今後も資料をより多くの府民に提供できるよう努めます。

(次期に向けて)

これまで府域図書館間では、「大阪府内図書館員のページ」と「大阪府内図書館メーリングリスト」を中心に、情報の集約・共有を図ってきました。今後一層、効率よく、迅速に情報共有ができるインフラの整備が必要と考え、第四期では新たなコミュニケーションツールを活用し、府域図書館間ネットワーク機能の強化・充実を図っていくことを重点目標とします。

「基本方針2」
府立図書館は、幅広い資料の収集・保存に努め、すべての府民が正確な情報・知識を得られるようサポートします。

企画展示「大原社会問題研究所と「大原文庫」の百年」 中央図書館では書庫スペースの一層効率的な活用による資料収蔵能力の確保、及び資料の安定的な長期保存をめざして、計画的に所蔵複本の精査に取り組みました。また、府民サービスの向上に資する電子書籍の導入形態を検討するため、コンテンツや障がい者のアクセシビリティ等について調査しました。課題が明らかになり、第三期中の導入には至りませんでしたが、今後とも技術的な進展や、提供元の環境整備状況を注視していきます。

平成31年1月のシステムリプレイス時には、平成2年に採用した『日本十進分類法』8版による分類を、10版へ切り替え、新しい知識体系に即した書誌情報を府民に提供できるようになりました。

レファレンスでは、利用者自ら調査を深めることができるよう調査ガイド・資料案内を充実させるとともに、CCBYライセンスによるオープンデータ化も行いました。庁内向け政策立案支援サービスでは、サービス内容の拡充に努めた結果、部局の偏りなく活発に利用され、先進事例として図書館関係の雑誌や研修でも取り上げられました。

ビジネス支援では、30年度は新たに3機関と連携し海外ビジネスに関するセミナーを充実させることができました。ビジネスに関する有用な資料の収集に努め、随時パスファインダーを更新し、最新の情報提供を心がけました。第四期も関連機関との連携を深め、経営上の課題解決のヒントとなるような、ニーズをとらえた満足度の高い事業を企画・開催していきたいと考えます。

障がい者サービスでは、平成28年4月1日施行の障害者差別解消法に対応するべく、府域図書館への研修を積極的に実施しました。また、国立国会図書館視覚障害者等用データ送信サービスへのデータ提供数を着実に増やし、当館提供コンテンツの利用数も大きく増加しました。DAISYをはじめとしたデジタル資料の活用に関する法制度が整備されつつある状況に合わせて、読書に支援が必要な方へのサービスが適切に提供できるよう、今後とも努めていきます。

(次期に向けて)

ますます進展するデジタル環境のもと、府立図書館ほか各機関で公開している電子媒体資料を、より多くの府民へ提供していくことは重要な課題です。所蔵する紙媒体の資料と電子媒体資料双方を効果的に提供する方法についての調査を第四期の重点目標とします。また、大阪府の保存図書館として、保存資料を精査し収蔵スペースを確保する取組は今後も継続して進めていきます。

「基本方針3」
府立図書館は、府域の子どもが豊かに育つ読書環境づくりを進めるとともに、国際児童文学館の機能充実に努めます。

手話を用いたおはなし会「楽しい手話」  24年度から府立図書館の職員が講師を務めている「子どもの読書活動推進支援員養成講座(派遣)」は、第三期中にすべての図書館未設置自治体で開催することができました。

こども資料室では外国語資料の定期的なミニ展示や多国語によるおはなし会、手話を用いたおはなし会「楽しい手話」、「こども向け調査ガイド」の拡充など児童サービスに関する様々な取組を実施し、その成果を実習、研修等で府域の児童サービス担当者等に提供しました。

国際児童文学館では、専門的な研究利用の促進を企図した「特別研究者」制度(28年度~本格実施)に募集予定数を超える応募があり、着実に根付いてきています。「専門協力員」による連携、協力を得て実施したイベントや資料展示も好評を博しました。

(次期に向けて)

子どもの読書活動推進に関わる人への研修等を継続し、第3次大阪府子ども読書活動推進計画の基本方針で対象とする「全ての子ども」への読書活動を一層推進するため、図書館の直接利用に配慮が必要な子どもへの支援方法を検討し実施していきます。

「基本方針4」
府立図書館は、大阪の歴史と知の蓄積を確実に未来に伝えます。

「おおさかポータル」トップページ

大阪に関する情報発信の新たな拠点となる「おおさかポータル」を、システムリプレイスに合せ平成31年1月7日に公開しました。今後は、府域図書館、大学、研究機関等とのデータベース連携を拡充し、多様なデータを結びつけ、データベースの質と量の拡大と利便性の向上を図り、大阪の歴史と知の蓄積をより積極的に発信していきたいと考えています。

デジタルコンテンツの拡充については、30年度はこれまでモノクロ画像による提供だった貴重書約1,600点をカラー画像に一新しました。28年度に「近世後期小説類」940点、29年度に「浄瑠璃本」804点を公開し、デジタル形態で発行された大阪府の行政資料も着実に収集・公開を進めてきました。また、28年度には立命館大学アートリサーチセンターとの連携による芝居番付の画像検索システムの公開など、外部機関との連携も行っています。資料展示や講演会、高校生を対象とした「なにわタイムとらべる」、好評の古文書講座など、所蔵資料を広く知ってもらい、利用につなげることを目的としたイベントも、順調に開催することができました。

(次期に向けて)

30年度に構築した「おおさかポータル」が情報発信の拠点となるよう、府域図書館、大学、研究機関等とのデータベース連携の拡充を図り、情報社会の進展とともにますます高度化する利用者のニーズに応えていきたいと考えています。

「基本方針5」
府立図書館は、府民に開かれた図書館として、地域の魅力に出会う「場」と機会を提供します。

(中央図書館)図書館でボードゲームをする日

中央図書館では、指定管理者と協働し、各種イベントの実施や館内の魅力向上に努めました。29年度に新たに設置したリフレッシュルームや会議室の学習スペース開放は、利用者から好評を得ています。生涯学習事業では外部機関との連携を一層活性化し、多彩なイベントや展示の実現に繋げました。

中之島図書館では、指定管理者との共同企画として「特別展 明治初年の大阪」や近隣施設との連携講座「堂島米市場跡モニュメント『一粒の光』完成記念講演会」を開催し、大阪の「歴史」と「文化」についてスポットライトをあて、大阪の魅力に出会える「場」と機会の提供に努めました。

今後も魅力的な企画と広報強化を通して、より多くの府民から図書館への関心を得、利用の活性化に繋げていきたいと考えています。

(次期に向けて)

これまで図書館利用者からは高い満足度が得られている一方、入館者数は減少傾向にあり、新規利用者の獲得が課題となっています。その第一歩として、図書館に来館してもらう機会を創り出すことが必要です。中央図書館では第三期に続き、外部機関との連携による生涯学習事業の拡充を第四期の重点目標とします。中之島図書館では、第四期に向けては「大阪の歴史と商い」を基本コンセプトとして、指定管理者との連携を今後一層強化し、多彩な事業展開を通じて、大阪の「魅力」についての情報発信に努めます。

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