大阪府立図書館

English 中文 한국어 やさしいにほんご
メニューボタン
背景色:
文字サイズ:

【資料展示】小展示「子どもたちの万博(EXPO’70)」展示資料一覧

更新日:2023年6月30日


 
 

国際児童文学館の小展示「子どもたちの万博(EXPO’70)」の展示資料一覧です。

展示資料一覧

はじめに

1970年、日本で初めての万国博覧会が、大阪・千里丘陵で開催されました。

通称大阪万博は、「人類の進歩と調和」をテーマに、3月15日から9月13日までの183日間にわたり開催され、会期中には日本全国から6400万人を超える人が来場し(当時の日本の人口は約1億人)、大変な熱狂に包まれました。その感動は、今でも多くの人の心に残っていることでしょう。

とりわけ、子どもたちは、万博が見せる未来像に胸をときめかせました。各パビリオンで紹介する未来の都市や暮らし、先進技術にワクワクし、初めて出会う外国の人や文化にドキドキし、大変な混雑さえも非日常の体験として心に刻まれました。当時の写真には、よそいきの服でおめかしして家族と万博を楽しむ子どもたちの姿や、遠足や修学旅行で訪れた子どもたちの笑顔があふれています。

今回は、国際児童文学館で所蔵する資料を通して、子どもたちが大阪万博にみた夢を紹介します。

「未来」と「世界」を見せた万博

 万博会場には、建築や展示に趣向を凝らした世界77ヵ国と民間企業合わせて116個のパビリオンが立ち並びました。

 中でも、前年に初めて月面着陸に成功したアポロ11号と「月の石」を展示した「アメリカ館」、それに対抗するように高さ109mの威容を誇った「ソ連館」が人気1、2を争いました。

「光の木」のモニュメントが幻想的な「スイス館」、恐竜のようなデザインの「オーストラリア館」など、今見ても斬新なパビリオンに加え、世界の童話を未来的な空間演出で見せた「住友童話館」、手塚治虫がプロデュースして、子どもと遊ぶロボットが展示された「フジパン・ロボット館」なども、子どもたちに大人気となりました。

各国パビリオンでは外国人ホステスやホスト(アテンダント)が来場者を出迎え、その国の料理が味わえるレストランもありました。まだ海外旅行が身近ではなかった頃のこと、外国人スタッフや観光客にサインを求めるのも子どもたちの楽しみのひとつでした。

万博エリアの南東側に設けられた「エキスポランド(遊園地)」には五連のジェットコースターが一斉にスタートする「ダイダラザウルス」や、回転ブランコの「宇宙線シャワー」など、ワクワクするアトラクションがありました。

1.万博の子どもの本

万博の本や雑誌は、万博に行く前の予習として、また遠方で行くことができない子にとっては情報を得る手段として活用されました。

『ニャロメの万博びっくり案内』は、当時連載中の人気マンガ『もーれつア太郎』(赤塚不二夫/著)に登場するニャロメをはじめとした赤塚マンガのキャラクターが万博を紹介しているもので、当時の子どものバイブルのような存在でした。

『わたしたちの万国博読本』は万博を訪れる児童のための学習用冊子で、必要な情報がコンパクトにまとまっています。他に『中学生の万国博読本』『高校生の万国博読本』も発行されていました。

幼い子どもが万博に抱いた高揚感をのびやかに表現した絵本『たのしいばんこくはく』などもありました。

 
  タイトル 著者 出版者 出版年月日 請求記号
1 私たちの万国博(少年少女20世紀の記録33) 柴田献一/著 渡部高揚/著 あかね書房 1970年4月30日 N630131/1-33
2 21世紀へのかけ橋(人類の記録シリーズ2) 相島敏夫/共著 餌取章男/共著 ポプラ社 1970年4月10日 N691225/4-2
3 世界のタイムトンネル : むかし・いま・みらい
(ポプラ社の少年文庫5)
古田昭作/文 山崎昌子/文 関口公治/絵 ポプラ社 1970年4月1日 N700130/1-5
4 少年少女日本万国博ガイドブック 塩野孝夫/編 講談社 1970年3月15日 N700315/6
5 万国博カラーガイド : 中一・中二・中三時代合同臨時増刊   旺文社 1970年5月1日 N700501/3NX
6 小学生のための日本万国博 : 学研版   学習研究社 1970年4月1日 N700401/7NX
7 ニャロメの万博びっくり案内 : びっくりニュース
第1集 万国博がやってきた!!
赤塚不二夫とフジオプロ/著 実業之日本社 1970年4月1日 N700401/3-1
8 ニャロメの万博びっくり案内 : びっくりニュース
第2集 万博で未来をのぞこう!!
赤塚不二夫とフジオプロ/著 横山孝雄/作画・写真 実業之日本社 1970年5月15日 N700401/3-2
9 ニャロメの万博びっくり案内 : びっくりニュース
第3集 万博で世界をまわろう!!
赤塚不二夫とフジオプロ/著 横山孝雄/作画・写真 実業之日本社 1970年7月1日 N700401/3-3
10 わたしたちの万国博読本 : 人類の進歩と調和 日本万国博覧会教育研究会/編 日本辞書 1970年 受入予定
11 中学生の万国博読本 : 人類の進歩と調和 日本万国博覧会教育研究会/編 日本辞書 1970年 N700000/28NX
12 高校生の万国博読本 : 人類の進歩と調和 日本万国博覧会教育研究会/編 日本辞書 1970年 受入予定
13 たのしいばんこくはく : お子さまの万国博ガイド 西谷喬/文 大石巌・安井敬造・坪田広平・増原優/イラスト ひかりのくに昭和出版 1970年 N700000/29NX

2.児童雑誌・マンガ雑誌にみる万博

万博が始まると、児童雑誌や子ども向けのマンガ雑誌では、しばしば特集が組まれました。

パビリオンの紹介と合わせて、会場を一周するモノレール、透明チューブの中を進む「動く歩道」などの乗り物に注目した記事も目立ちます。

万博会場の入場者数は、会期が進むにつれ増え続け、人気のパビリオンは長蛇の列をなし、2~4時間待ちとなることもありました。マンガ雑誌でも、効率のよい廻り方や、無料でもらえる記念品などの裏ワザを紹介する記事や、何もかもが桁違いの規模であった万博のびっくり記録を取り上げた記事もありました。

また、当時流行の切手収集に関連して、外国の万博記念切手の特集も見られます。

バラエティに富んだ雑誌記事は、読むだけで、万博の臨場感を感じさせてくれます。

 
  タイトル 巻号 出版者 出版年月日 請求記号 記事名
14 5年の学習 25巻1号 学習研究社 1970年4月1日 PBJ/175N 万博会場びっくりどっきり
15 4年の学習 25巻1号 学習研究社 1970年4月1日 PBJ/174N ちびっこ万博たんけん記
16 冒険王 22巻4号 秋田書店 1970年3月1日 PBM/44N 万国博案内パノラマ/万博会場早まわりゲーム盤
17 週刊少年マガジン 12巻36号 講談社 1970年8月23日 PBM/478N アメリカ館のすべて
18 週刊少年ジャンプ 3巻34号 集英社 1970年8月24日 PBM/456N おしゃれなパビリオン
19 週刊少年ジャンプ 3巻31号 集英社 1970年8月3日 PBM/456N エキスポランドであそぼう!
20 1年の学習 23巻10号 学習研究社 1970年1月1日 PBJ/171N のりものにはくふうがいっぱい
21 週刊少年ジャンプ 3巻24号 集英社 1970年6月15日 PBM/456N レッツゴー万博!世界のカワイ子ちゃんがまってるよ
22 週刊少女フレンド 8巻16号 講談社 1970年4月14日 PBM/427N 世界の国からこんにちは
23 小学6年生 23巻5号 小学館 1970年8月1日 PBJ/751N 万博びっくり数字クイズ20
24 週刊少年マガジン 12巻34号 講談社 1970年8月9日 PBM/478N きみに見えない場所 万国博のウラ側
25 週刊少年マガジン 12巻40号 講談社 1970年9月20日 PBM/478N EXPOオール珍記録
26 週刊少女フレンド 8巻15号 講談社 1970年4月7日 PBM/427N 万国博の話題をあなたに もしいけなくてもこれでじゅうぶん
27 週刊少年チャンピオン 2巻11号 秋田書店 1970年6月3日 PBM/443N 万国博はじょうずに見なはれや!!
28 週刊少女フレンド 8巻17号 講談社 1970年4月21日 PBM/427N こう見よう あなただけの万国博
29 週刊少年マガジン 12巻26号 講談社 1970年6月21日 PBM/478N 本誌が足で集めた(秘)ガイド 万国博ガッポリ特報
30 小学1年生 26巻3号 小学館 1970年5月1日 PBJ/745N だいちゃんとあっこちゃんのたのしいばんこくはく
31 ぼくらマガジン 2巻18号 講談社 1970年5月12日 PBM/47N 切手でみる日本万国博77
32 5年の科学 9巻4号 学習研究社 1970年7月1日 PBJ/328N 表紙(万国博は旗に注意)
33 4年の学習 25巻2号 学習研究社 1970年5月1日 PBJ/174N 表紙(エキスポランドの大観覧車)

3.1970年の“未来予想図”

万博では、宇宙開発から、日々の生活に密着したものまで、さまざまな先進技術が展示されました。サンヨー館の人間洗濯機、電気通信館のワイヤレステレホンなどは、今でも万博を象徴する光景として人々に記憶されています。

高度経済成長が最高潮に達した1970年には、冷戦や公害などが影を落としつつも、全体として、来たるべき未来への明るい希望があり、子どもの雑誌にも、宇宙開発やロボット社会、海底牧場など、未来に希望を抱かせる記事がたくさん載っていました。

当時の“未来予想図”をご覧ください。

 
  タイトル 巻号 出版者 出版年月日 請求記号 記事名
34 4年の科学 11巻10号 学習研究社 1970年1月1日 PBJ/327N ロボット時代がやって来る
35 3年の学習 24巻11号 学習研究社 1970年1月1日 PBJ/173N 宇宙への大きなゆめ これがパルスロケットだ
36 5年の学習 24巻11号 学習研究社 1970年1月1日 PBJ/175N 火星への道 人類に火星に立つ
37 5年の学習 25巻5号 学習研究社 1970年8月1日 PBJ/175N 未来の海底牧場
38 4年の学習 25巻8号 学習研究社 1970年10月1日 PBJ/174N あなたも水中人間になれる?
39 6年の学習 24巻11号 学習研究社 1970年1月1日 PBJ/177N ぼくの夢 わたしの夢 地下にできる大都市
40 4年の学習 24巻12号 学習研究社 1970年2月1日 PBJ/174N もし新聞が空飛べば
41 4年の学習 25巻5号 学習研究社 1970年8月1日 PBJ/174N あすにいどむ自動車 これがスチームカーだ!

4.1970年の子どもの本

戦後日本の創作絵本の勃興期であった1960年代に続いて、1970年代は優れた絵本がたくさん発行された「絵本ブーム」の時代でした。今も読み継がれているロングセラー絵本にも、この時期に出版されたものがたくさんあります。

1970年、万博の年に出版された「子どもの本」を集めました。

 
  タイトル 著者 出版者 出版年月 請求記号
42 こぐまちゃんおはよう(こぐまちゃんえほん1) わかやまけん/[著] こぐま社 1970年10月15日 N701015/6N/1-(1)
43 おふろでちゃぷちゃぷ
(松谷みよ子あかちゃんの本8)
松谷みよ子/文 岩崎ちひろ/絵 童心社 1970年5月5日 N670415/2-8
44 はけたよはけたよ(創作えほん3) にしまきかやこ/え かんざわとしこ/ぶん 偕成社 1970年 N701210/6-3/20
45 とこちゃんはどこ(こどものとも傑作集3) 松岡享子/さく 加古里子/え 福音館書店 1970年4月1日 N660610/2-3/7
46 かわいそうなぞう(おはなしノンフィクション絵本 ) つちやゆきお/ぶん たけべもといちろう/え 金の星社 1970年8月 N700800/1-1
47 なつのあさ(国際版絵本[104]) 谷内こうた/文・画 至光社 1970年 N670000/1-(104)/13
48 かたあしだちょうのエルフ(おはなし名作絵本9) おのきがく/ぶん・え ポプラ社 1970年9月30日 N690301/1-9
49 スプーンおばさんのゆかいな旅
(新しい世界の童話シリーズ[37])
プリョイセン/著 大塚勇三/訳 ビョールン・ベルイ/画 学習研究社 1970年3月10日 N651201/4-(37)/24
50 ロボット・カミイ(福音館創作童話シリーズ[23]) 古田足日/さく 堀内誠一/え 福音館書店 1970年3月10日 N621225/2-(23)/2
51 大きい1年生と小さな2年生(創作どうわ傑作選1) 古田足日/さく 中山正美/え 偕成社 1970年3月 N700320/1-1/29

 

【参考文献】展示の開催にあたり、次の文献を参考にしました。

  • 『大阪万博 20世紀が夢見た21世紀』(Shogakukan Creative Visual Book) 平野暁臣/編著 小学館クリエイティブ 2014年3月
  • 『大阪万博の戦後史 EXPO’70から2025年万博へ』橋爪紳也/著 創元社 2020年2月
  • 『まぼろし万国博覧会』串間努/著 小学館 1998年7月
  • 『学年誌が伝えた子ども文化史 昭和40〜49年編』(ワンダーライフスペシャル) 神原史子/構成・文 黒沢哲哉/コラム執筆 小学館 2018年2月
  • 『まんがで見る日本の戦後50年 第6巻 1970年~1974年(昭和45年~49年)』 岩崎書店/編集 岩崎書店 1995年4月
  • 『はじめて学ぶ日本の絵本史 3 戦後絵本の歩みと展望』(シリーズ・日本の文学史) 鳥越信/編・著 ミネルヴァ書房 2002年7月
  • 『1970年・万博の年に出版された[子どもの本]』([大阪国際児童文学館展示資料]) 財団法人大阪国際児童文学館 2000年
  • 『早わかり20世紀年表』(「朝日年鑑」別冊) 朝日新聞社 2000年3月


PAGE TOP