本蔵-知る司書ぞ知る(118号)
本との新たな出会いを願って、図書館で働く職員が新人からベテランまで交替でオススメ本を紹介します。大阪府立中央図書館の幅広い蔵書をお楽しみください。
2024年8月20日版
今月のトピック 【アイスクリーム】
冷たい食べ物がおいしく思う暑い日がまだまだ続いています。夏に食べたい冷たいおやつといえば、かき氷やゼリーなど色々ありますが、今回は多くの人に愛されるアイスクリームに関する資料をご紹介します。
『アイスクリーム図鑑』(黄建勲/撮影 日本アイスクリーム協会 1996)
日本アイスクリーム協会が出版した、アイスクリームの基礎知識がつまった図鑑です。味の種類の紹介や歴史、基本のバニラアイスの作り方をはじめ、器やディッシャー、トッピングなどアイスクリームを演出するアイテムについても紹介されています。「アイスクリームでホームパーティ。」では、お正月からクリスマス、各種イベントなど1年を通じたアイスクリームの作り方を紹介しています。
『アイスクリームの歴史物語(お菓子の図書館)』(ローラ・ワイス/著 竹田円/訳 原書房 2012.3)
かつて高嶺の花だったアイスクリームがどのような経緯で世界中の多くの人が楽しめる安くておいしいスイーツになったのか、歴史をたどりながら紹介しています。アイスクリームに関する豆知識や図版、1700年代のレシピなども掲載されているアイスクリーム通必読の1冊です。
『日本アイスクロニクル(タツミムック)』(アイスマン福留/著 辰巳出版 2019.9)
昭和に発売されたアイスと平成の主要なアイスを、パッケージの写真に短い解説を添えて年代順に紹介している資料です。あなたがかつて食べていた思い出のアイスもきっとあります。日本に上陸したアイスショップの歴史がわかるコラムなども掲載されています。
『パフェの教本:定番から最新まで』(富田佐奈栄/著 旭屋出版 2020.3)
アイスクリームにフルーツやチョコレート、ホイップクリームやフルーツソースを添えた華やかなスイーツ「パフェ」。本書では定番レシピを含む77品のパフェレシピを掲載しています。パフェメニューを開発する人向けのパフェの魅力に関する記述を読むと、パフェをより楽しむことができます。
今月の蔵出し
『小説土佐堀川:広岡浅子の生涯』(古川智映子/著 潮出版社 2015)
みなさんは、図書館で借りて読んで、これは手元に置いておいて折に触れて読み返したいなぁ、と思って購入されることはあるでしょうか?私はたまにあります。
その中の1冊が、今回ご紹介するこちらです。
今から約10年ほど前に放送されたNHKの連続ドラマ小説「あさが来た」の原作となった小説です。初版が出版されたのは1988年で、著者は広岡浅子本人を知る関係者への取材も行いながら、この本を書き上げられたそうです。
大同生命の創業者で、京都の小石川三井家から大阪の豪商の加島屋に嫁いだ広岡浅子の一生を描いた本で、私は「あさが来た」が放映されたかなり後に手に取りました。
浅子は婚家である加島屋の経営に危機感を抱いて携わり、先見性とバイタリティと強い信念で次々に事業を拡大・成功させていきます。大同生命はいつ出てくるのだろうか?と途中で思えるほどに、多種多様な事業を立ち上げ、軌道に乗せていく手腕にも驚かされますが、何よりも印象に残るのはペンネームの「九転十起生」にもうかがえる浅子の「諦めなさ」。しっかりと書かれた本で、読みとおすのにもなかなか時間がかかるのですが、少年漫画の主人公のレベルは優に超えるのではと思われるほどに、とにかく諦めない浅子の姿に勇気を貰え、自分が一生かけて守りたいものに思いを馳せるきっかけにもなる本だと思いますので、ぜひ1冊読みとおしていただけたらなと思います。
なお、来年2025年はちょうど加島屋の創業から400年にあたる年で、大同生命の大阪本社(大阪市西区)でも、広岡浅子に関する歴史的文書等を公開する特別展示(※)を行われているようです。本書を読んでご興味を持たれた方は、立ち寄ってみられるのも面白いかもしれません。
※特別展示の詳細は次のページをご覧ください。
特別展示『大同生命の源流“加島屋と広岡浅子”』のご案内(外部リンク):https://www.daido-life.co.jp/knowledge/memorial/
【いろは】
『新國史大年表』*(全10巻)(日置英剛/編 国書刊行会 2006.10-2015.8)
みなさんは、教科書や歴史の本で収録されている「歴史の年表」というものを一度は目にしたことがあるかと思います。
どの時代にどんなことが起こったかを年を追って一覧にしてくれている便利なものですが、この本はそんな歴史年表の「大型版」です。
日本の歴史における紀元前219年~2012年までの間の出来事を、全9巻+索引1巻に分けて出版されています。歴史の重みが感じられる、重厚な本です。
この本の特徴は、歴史的な出来事の記述のみならず、その出典も書かれているという点です。
例えば645年に「大化の改新」があったのは有名ですが、この始まりとも言える中大兄皇子と中臣鎌足が蘇我入鹿をたおした出来事は6月12日に起こっており、その出典は『日本書紀』であるとこの年表には書かれています。出来事の年月日がわかるだけでなく、出典もわかる便利な本になっています。
中央図書館4階人文系資料室の参考図書の棚に並んでいますので、ぜひ手に取ってみてください。
*の資料は館内利用のみです。
【RY】