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本蔵-知る司書ぞ知る(131号)

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本との新たな出会いを願って、図書館で働く職員が新人からベテランまで交替でオススメ本を紹介します。大阪府立中央図書館の幅広い蔵書をお楽しみください。

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2025年9月20日版

今月のトピック 【世界と未来を知ろう!】

2025大阪・関西万博に関連して、当館では資料展示「世界と未来を知ろう!」を10月8日まで開催しています。万博に出展している国を紹介した本、最新技術や未来の社会について知ることができる本を展示しています。今月はそのうち、パビリオン出展国について紹介する「世界を知ろう!」コーナーから3冊ご紹介します。

謎の海洋王国ディルムン:メソポタミア文明を支えた交易国家の勃興と崩壊(中公選書)』(安倍雅史/著 中央公論新社 2022.1)

ペルシア湾に浮かぶ島国・バーレーン(バハレーン)には、世界最大の古墳群があります。今から4000年前に繫栄を極めたディルムン王国の歴史について、発掘調査を行っている著者がその成果を踏まえて考察しています。

羊と樅の木の歌:ルーマニア農牧民の生活誌』(みやこうせい/著 未知谷 2008.8)

ルーマニア北西部・マラムレシュ。ここは山に囲まれた環境により、中世の暮らしが今も残されています。足繫く現地を訪れ記録している著者が、農牧民の生活様式や祭礼などを写真とともにつづった一冊です。

バリ島服飾文化図鑑:The Mystique of Balinese Textiles(亥辰舎BOOK)』武居郁子/著  亥辰舎  2018.8)

インドネシア・バリ島では9つの基本原色それぞれに方位や守護神などが決まっています。それらを組み合わせて、色鮮やかな衣装が作られます。豊富なカラー図版で正装衣装クバヤや婚礼衣装などを紹介するとともに、通過儀礼や歴史などについても触れています。

今月の蔵出し

旅する小舟』(ペーター・ヴァン・デン・エンデ/著 求龍堂 2021.11)

暑い毎日が続いています。暑すぎて殺人的な太陽光線を避けて休みの日も家に引きこもり、ぼんやり本を読み、そのうち読むのもしんどくなって、本をながめていたことが多かった夏。選ぶのは絵本、しかも文字の少ない絵本を手に取っていました。

その中でもじっくり読んだのが、『旅する小舟』です。

外国の著者なのに訳者がいない、そう、この絵本はモノクロで描かれた文字なし絵本。絵だけで展開しますが、それが壮大な物語なのです。

2人の人物が1枚の紙から小さな1艘の小舟を折りあげる場面から始まり、紙の小さな舟は広い海へと出発します。空には鳥が飛び、人の姿は見えないのに魚を釣りながら舟は進みます。じっくり見ると、海の中には何やら不可思議な生き物がうごめいていて、時にはその不可思議な生き物を釣りあげます。小舟は星空の下、魚に囲まれ、オーロラの下を進み、氷山を抜け、嵐に遭遇したり大きな船とすれ違ったり。いろいろな生き物たちとであいながら、ゆるゆると大海原を旅します。

文字がないのにページをめくるたびに、線で描かれた精密な絵からものすごい情報量が与えられ、隅から隅まで見て、気がつけば集中していました。何度見ても新しい発見があるのです。見る人によって気が付くところなどは違うかも。表見返しには地図があり、裏見返しにはその地図上に舟が旅した航路(と道中にであったものたち)が描かれています。地図を見ながら、またページをめくる・・・。繰り返し余すところなく、絵本全体を堪能できます。

旅に行きたいと思っているのに(私と同じように)暑さに負けているみなさま、ぜひ小舟とともに不思議な海の旅をお楽しみください。

【企鵝】

日本からみた世界の食文化:食の多様性を受け入れる』(鈴木志保子/編著 第一出版 2021.11)

4月に始まった大阪・関西万博も、閉幕まで1か月を切りました。既に万博を訪れた方の中には、海外パビリオンのレストランやカフェで世界各国のグルメを楽しんだ方も多いのではないでしょうか。

初めて出会う料理や新しい味を発見したり、日本でもお馴染みとなっている食べ物・飲み物の魅力を再確認したりして、世界の食文化に興味が湧いたとき、手に取ってみていただきたいのがこの本です。

世界42か国の食習慣や一般的な一日の食事メニューをはじめ、食法・マナーや、行事食、地域や民族ごとの食文化の特徴などが解説されています。

たとえば、ブルガリア。ヨーグルトが有名ですが(日本で広く知られるようになったきっかけは1970年の大阪万博!)、そのまま食べるだけでなく料理やソースの材料としても使われるのはもちろん、お祝いの食事としてヨーグルトが必ず食卓に上がる国民の祝日まであるそうです。

また、主だった宗教や思想による食べ物や食べ方の制約について触れられているほか、意外と知らないことも多い日本の食文化についても、食材、食器などの歴史や特徴がまとめられています。これからの社会で様々な人と関わり生活する中で、自国の伝統的な食文化を大切にしながら、多様な食文化や食習慣を受け入れ、対応していくために必要な情報が詰まった一冊です。

写真もたくさん載っているので、読みやすく、「知らないものを食べたい」欲の強い私はページをめくるたびにワクワクしました。

ちなみに、本書で紹介されている料理で私が特に食べてみたいと思ったのは、ギリシャの「コロキソアンシ・ゲミスティ」、エジプトの「ターメイヤ」、トーゴの「フフ」、ペルーの「パン・コン・チチャロン」です。それぞれどんな料理か、皆さんはご存知ですか?ぜひ本書を開いて、探してみてください。

【どんぐり】

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