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本蔵-知る司書ぞ知る(120号)

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本との新たな出会いを願って、図書館で働く職員が新人からベテランまで交替でオススメ本を紹介します。大阪府立中央図書館の幅広い蔵書をお楽しみください。

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2024年10月20日版

今月のトピック 【登山の前に

10月3日は登山の日でした。長かった残暑がようやく落ち着き、山の紅葉が見頃を迎えるこの時期、近隣の山に出かけようという方も多いのではないでしょうか。今回は、初心者が安全に登山を楽しむための本を3点ご紹介します。

登山入門(ヤマケイ登山学校)』(佐藤勇介/監修 山と溪谷社 2019.4)

登山計画の立て方、装備、歩き方、トラブルへの対処などについて解説した本です。写真やイラスト付きで分かりやすく、巻末には登山用語集も付いていて、これ一冊で、登山に必要な基本的な技術や知識を満遍なくカバーできます。初めての山におすすめの山として、大阪と奈良の県境にある金剛山が挙げられています。

登山と身体の科学:運動生理学から見た合理的な登山術(ブルーバックス)』(山本正嘉/著 講談社 2024.5)

山を登るとなぜ疲れるのか、水分補給はなぜ必要なのか、考えたことはありますか?本書は、これらの疑問に対する答えをはじめ、登山をする身体について、様々なデータを示しながら分かりやすく説明しています。運動生理学の観点から、自分に合った「無理のない登山」を考えるヒントをくれる本です。

生死を分ける、山の遭難回避術:実例に学ぶリスク対策の基礎知識』(羽根田治/著 誠文堂新光社 2017.4)

標高が低くても、体力のある人でも、山では常に危険と隣り合わせです。本書では、地図や天気など、登山にあたって気を付けるべきポイントから、万が一のときの救助要請の方法、生活の中でできる体力トレーニングまで紹介されています。
遭難事故の事例についてより詳しく知りたい場合は、山と渓谷社の「ドキュメント」シリーズもおすすめです。

今月の蔵出し

すごいグラウンドの育て方:阪神甲子園球場のひみつ』(金沢健児/著 Gakken 2023.8)

阪神タイガースにとって2023年は、オリックス・バファローズとの関西ダービーを制し、1985年以来38年ぶり2度目の「アレ」を獲得した記念の年になりました(「アレ」…A.R.E。日本一のこと。ユーキャン新語・流行語大賞の年間大賞も受賞しました)。
そして、実は今年2024年も記念の年。チームの本拠地である阪神甲子園球場が1924年8月に開場したので、ちょうど100周年にあたるのです。この本は、その阪神甲子園球場を整備するグラウンドキーパーの仕事を紹介する本です。

野球観戦では、マスコットキャラクターのパフォーマンスや観客の応援も、チームごとに独特かつ派手で楽しいですが、なんといっても一番目につくのが、選手たちの華麗なプレーです。一方、その華麗なプレーに欠かせないグラウンドキーパーの仕事に注目が集まることはあまりありません。しかし、その仕事には、職人として培ってきた技術や知識が詰まっています。
例えば、阪神甲子園球場の外野は天然芝で、一年を通して綺麗な緑色。これは、夏芝のティフトンと冬芝のペレニアルライグラスという二種類の芝を生育しているからで、夏芝の上に冬芝の種を蒔くので「オーバーシード」と呼ぶそうです。また、芝をゼブラ柄にカットするのも綺麗に見える秘訣があり、飛んできたボールの見え方にも影響する大事な作業だそうです。
天然芝の外野とは違い、内野は黒土でできていますが、規則によって規定の厚みに土を保つことが求められます。雨・風やプレーによって減った土を補充し、硬度計にも頼らずに土の硬さを仕上げるのは経験と勘の見せ所。季節や天気によって土の渇きやすさは違うので、その時々の状態を見極めて作業する必要があります。
こんなふうに、内野が土、外野が天然芝でできている日本のプロ野球チームの一軍の本拠地は、阪神甲子園球場だけです。

ちなみに、このグラウンドキーパーが働いているのは阪神園芸という会社です。グラウンドの整備はもちろん、名前通り、球場周りの花壇や外壁のツタの手入れも仕事のうち。

さて、このページでの紹介はこれまで。あとはぜひ本を読んでから、実際に球場を確かめてみてはいかがでしょうか。これからはグラウンドキーパーの仕事にもご注目ください。
なお、この本はわかりやすく書かれた児童書なので、親子で読んで楽しめます。大人向きの図書としては、同じ著者の『阪神園芸甲子園の神整備』(毎日新聞出版 2018.8)もあります。併せてどうぞ。

【善哉】

ふたりはともだち』(アーノルド・ローベル/作 三木卓/訳  文化出版局 1972.11)

10月になり、郵便料金が値上げされました。最近はメールやLINEなどでの連絡が大半となりましたが、すてきなレターセットをみつけると、手紙を書くのもいいなあと思います。そんな「手紙」で、思い浮かぶ作品はなんでしょうか?教科書で読んだ、がまくんとかえるくんが、お手紙を待つおはなしを思い浮かべられた方もいるのではないでしょうか。

この「おてがみ」という作品は、アーノルド・ローベルの「がまくんとかえるくん」シリーズの1作目『ふたりはともだち』に収録されています。なんと今から50年以上前の作品です。「おてがみ」のほかにも、冬眠から目覚めないがまくんを起こすために、かえるくんが知恵をひねる「はるがきた」ほか全部で5つのおはなしが載っています。ほかの作品も読んでから「おてがみ」を読むと、また違うものを感じるのではないでしょうか。

秋の夜長、なつかしい友達に手紙を書いてみようかなと思わせてくれる1冊です。

 【コップポーン】

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