大阪府立中之島図書館だより「なにわづ」 No.157
更新日:2024年10月30日
2023年11月 No.157
-開館 120 周年を迎えて-
大賀 浩一
大阪府立中之島図書館は、令和6年(2024年)3月に開館120周年を迎えます。
明治37年(1904年)に、住友家から図書館建物と図書購入基金のご寄贈をいただき、この地中之島に開設されました。後日(大正11年(1922年))増築されました左右両翼(北館・南館)とあわせ、昭和49年(1974年)には、国の重要文化財に指定されました。
現在、国内において現役最古の公共図書館である当館は、開館以来、学びと文化の拠点として数多くの皆様にご利用いただいております。
一方、長い歴史の中で、災害など、幾多の歴史的な局面に対峙してきたことも事実です。直近であれば、世界的な新型コロナウイルス感染症の大流行により、感染拡大防止の観点から図書館施設としての利用を制限せざるを得ない状況となり、およそ2か月という長期にわたって臨時休館とした時期が、二度ありました。ようやく、今年5月になって、感染症法上の「5類感染症」となりましたが、社会全体の認識として、コロナ禍は過ぎ去ったという状況になるには時間が必要のようです。
ただ、府立図書館利用においては、これまでの来館型サービスのあり方の検討・充実のみならず、非来館型サービスについても、IT ツール等、新しいテクノロジーも取り入れながら、当初より前倒しで拡充するきっかけにもなりました。
また、建物としても、平成23年(2011年)から、耐震補強工事にとりかかり、平成26年(2014 年)には、本館及び南・北館で工事が完了し、現在、令和7年(2025年)1月の竣工を目指し、書庫棟等の改築工事を実施しています。
私事ではありますが、令和3~4年度(2021~2022年度)に府立中央図書館長を務め、令和5年度(2023年度)からは、当館館長を務めさせていただいており、近時の変革期において、府立図書館との縁を感じつつ、120年の歴史に恥じることのないよう、身の引き締まる思いです。
今後とも、時代の変遷に応じつつ、『府域の図書館ネットワークの核として、広域的かつ総合的な視点から府民と資料・情報をつなぎ、府民の”知りたい”という気持ちにこたえ、”学びたい”という意欲を育み、豊かで活気あるくらしと大阪における新たな知識と文化の創造に寄与すること』という府立図書館の<使命>を念頭に置き、引き続き利用者の皆様に親しまれ、愛される図書館を目指してまいりたいと存じます。
(大阪府立中之島図書館長)
令和4年度新収資料紹介 <大阪資料・古典籍課>
令和4年度中に収集した大阪にゆかりのある和古書・既刊書の一部をご紹介します。
※【 】内は当館の請求記号です。
『古今俄選』5 冊 |
『[御座舩賃値段附]』 |
『猫そうし』三毛の人は爪隠/作 小信/画 |
『京阪名所図絵 大坂松嶋廓出火之図』 |
その他、『天滿織物株式會社紡織工程』[天滿織物][19‐‐]【586.7/4NX】、『中南米展覽會報告書』大阪府立貿易館 昭和10年(1935年)【606.9/39NX】等の資料を収集しました。
イベントレポート <ビジネス支援課>
他機関共催セミナー
ビジネス支援課では、仕事に役立つ資料を収集・提供するとともに、セミナーを開催しています。セミナーは、関係機関と連携し、各分野で活躍中の専門家を講師に迎え、まだ出版物になっていないトレンド情報や新しい考え方に触れられる講義や受講者同士のつながりを生む場として、セミナーだからこそ体験できる内容となっています。「課題解決のヒントとなる資料」を読み解くきっかけにもなるよう、集合形式のセミナーでは、テーマに関連する図書館資料を展示しています。また共催セミナーの他にも、図書館職員が講師となり図書館資料を使った調べ方の紹介をする講座等も開催しています。今回は、大阪中小企業診断士会共催「学んですぐ実践!仕事力・経営力アップ講座」から、第 1 回と第2回の模様を紹介します。
●第 1 回「健康経営~生産性向上につなげる運動の意味と実践~」
※健康経営は、NPO 法人健康経営研究会の登録商標です。
講師:数本 優さん(中小企業診断士,エスモット代表)
開催日時:令和5年(2023)年6月21日(水)18時30分~20時
身体や心の調子がどことなく優れず全力を出し切れない、今よりも集中してパフォーマンスを上げたいビジネスパーソンを対象に開催しました。運動が、集中力を高め、ストレス軽減し、意欲・記憶力・想像力・幸福度向上につながるという理論とともに、仕事の合間にできる運動を紹介いただき、実際に体を動かしました。15名の受講者の中からは「運動した後、お酒を飲むなら、どのくらいの時間を空けた方が良いか」など実生活に直結した質問があり、講師から経験に基づいた回答がされました。お天気が不安定な日でしたが、元気が沸いてくる時間を過ごすことができました。
●第2回「チームの心理的安全性を高め 成果を出すリーダーシップ」
講師:深野 愼一さん(中小企業診断士,SORA-MON 株式会社代表取締役,認定経営革新等支援機関,キャリアコンサルタント,国家試験知的財産管理技能検定試験委員)
開催日時:令和5年(2023)年7月19日(水)18時30分~20時
「心理的安全性が高い状態とは」「チームを導くリーダーとは」について、講師からの質問に対する受講者の反応を糸口に始まりました。42名の方に参加いただき、受講者からは「答えが一つでなかったのが良かった」「思っていたリーダーシップと違う内容で、なるほどと思った」といった感想をいただきました。講師や他の受講者の話を通じて、受講者ごとに「求められるチーム」「自分らしいリーダーシップ」について考える機会となり、会場で行うセミナーだからこそ得られる体験を持ち帰られた様子でした。
<令和5年度(2023年度)開催(予定を含む) 主なビジネスセミナーの概要>
○大阪府中小企業診断士会共催「学んですぐ実践!仕事力・経営力アップ講座」(通年開催、全10回)
各回異なる専門性を持つ中小企業診断士による当日から実践できるパワーアップ講座。
○大阪産業経済リサーチセンター共催「大阪の産業・経済を知る!」(秋季開催、全3回)
大阪産業経済リサーチセンターの研究員による大阪の産業・経済を取り巻くトピック解説。
○情報活用講座(冬季開催、全3回)
中之島図書館司書による、法情報、企業情報、業界情報の調べ方紹介。
○MOBIO 共催 おでかけ MOBIO-Cafe「ほんまに!?図書館でビジネス支援」(7月13日開催)
○オンライン・データベース講座(未定)
~新書庫完成に向けて~
令和2年度(2020年度)より、建物の耐震化とそれに伴う書庫容量減少の解消、バリアフリー動線の整備などを目的とした建替工事を行ってきましたが、令和4年度(2022年度)中に旧書庫棟などの取壊しが終わり、現在は新書庫の姿が少しずつ明らかになってきたところです。
ここで、建設中の新書庫の完成イメージ図を紹介させていただきます。
今回の新書庫建設の目的の1つに、バリアフリー動線の整備があります。現在、工事のためエレベーターがご利用いただけないため、皆さまには大変ご不便をおかけしております。完成後は、新書庫のエレベーターをご利用いただき、ガラス張りの渡り廊下を通じて、各階の資料室や展示室にアクセスができるようになります。
建替工事が終わり、書庫が本格的に稼働する時期及び新エレベーターの使用開始時期は、ともに令和6年度末を予定しております。利用者の皆さま向けのイベントとしては、新書庫内の様子や重要文化財である旧書庫の中を見て回ることができる「書庫案内ツアー(仮)」を計画していますので、楽しみにお待ちください。
この「なにわづ」発行以後も、新書庫完成に向けて工事を続けてまいります。ご利用いただきます皆さまには引き続きご迷惑をおかけいたしますが、中之島図書館の歴史に新たな1ページが刻まれるその日に向けて、ご理解・ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
開館時間 月~金 午前9時~午後8時
土 午前9時~午後5時
休館日 日曜日・国民の祝日及び休日・年末年始
6月、10月、3月の第2木曜日
大阪府立中之島図書館
〒530-0005 大阪市北区中之島1-2-10
電話(代表) 06-6203-0474