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本蔵-知る司書ぞ知る(132号)

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本との新たな出会いを願って、図書館で働く職員が新人からベテランまで交替でオススメ本を紹介します。大阪府立中央図書館の幅広い蔵書をお楽しみください。

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2025年10月20日版

今月のトピック 【世界骨粗鬆症デー】

10月20日は世界骨粗鬆症デー(WOD)です(国際骨粗鬆症財団と世界保健機構が制定)。骨粗鬆症と骨代謝障害の啓発を目的とし、「世界中から骨粗鬆症による骨折をなくす」ことを目標に世界規模でキャンペーンを展開しています(公益財団法人骨粗鬆症財団HPより)。 ということで今回は骨粗鬆症や骨についての本をご紹介します。

ウルトラ図解骨粗鬆症:いつまでも丈夫な骨でいられるために(オールカラー家庭の医学)』(竹内靖博/監修 法研 2022.4)

まずは骨粗鬆症についての本を1冊。骨粗鬆症の種類や原因、薬物療法の知識、予防と改善のための生活術などについてオールカラー・イラスト付きで知ることができます。一生付き合っていく骨を大事にしていきたいですね。

骨折しない体をめざす毎日ごはん』(石原理/病態監修 蒲池桂子/栄養指導・献立 女子栄養大学出版部 2025.7)

次は骨粗鬆症の食餌療法について1冊。レシピの他に骨折・骨粗鬆症の基礎知識の掲載があります。主菜・副菜レシピはもちろんスイーツ・ドリンクレシピもあり、日々の食事作りに役立ちます。

骨が語る人類史』(ブライアン・スウィーテク/著 大槻敦子/訳 原書房 2020.2)

最後は骨についての本を1冊。カンブリア期から現生人類までの生物の骨の発達の歴史や発掘されたヒトの骨からわかる過去の暮らしなど、骨にまつわる文化と歴史について知ることができます。

今月の蔵出し

『怪盗クイーンはサーカスがお好き(講談社青い鳥文庫 174-11)』 (はやみねかおる/作 K2商会/絵 講談社 2002.3)

ようやく暑さも和らいできたこの頃、私は、図書館の向かいにやってきたサーカスに夢中になっています。

サーカス、わくわくする響きですよね!みなさんは行ったことがありますか?

私はサーカスを見に行ったことがないのですが、出勤や退勤の時に近くでみるサーカスのテントは思っていたよりも大きくて驚きました。夜になるとライトが光ったり、たまに音楽が聞こえたりしているので、あの中でどんな楽しいことが起こっているんだろうと想像するだけでいい気分になります。来年1月まで公演があるそうなので、絶対に見に行きたいです!

そこで、今回はサーカスが登場する物語をご紹介します。

本書は「怪盗クイーン」シリーズの1作目にあたり、怠けてばかりの大怪盗、クイーンがようやく仕事をしようと宝のある邸宅に侵入したところ、思わぬ邪魔が入り盗みに失敗してしまうところから物語が始まります。

その後クイーンの邪魔をしたのはサーカス団であることが発覚、クイーンは勝負を挑んできたサーカスに潜入して宝を取り返すことにします。

本書の魅力のひとつは、個性豊かなサーカス団員たちの華やかな芸です。彼らの芸は観客や読者を虜にする一方で、勝負においては秀でた能力でクイーンを追い詰めます。クイーンの活躍とともに、サーカス団員たちにも注目してみてください。

宝を巡ってクイーンに勝負を挑んできたサーカス団の思惑とは?クイーンは宝を取り戻すことができるのか?読めばきっとあなたもサーカスが好きになる1冊です。ぜひ、お楽しみください。

                                                                          【とまと】

イスラエルについて知っておきたい30のこと』(早尾貴紀/著 平凡社 2025.2)

イスラエルによるガザへの爆撃で命を、家族を、手足を失った子ども達。ミイラのようにやせ細った赤ちゃん。住む所や生活の基盤を奪われた人達について、連日のように報道されます。何故こんな非道な行いがなされ、世界中の誰も止めることができずにいるのでしょうか。

この本は高校生以上向きとして、図書館では1階のYA展示コーナーに配架しています。児童向きではなく、ルビも写真もありませんが、戦争の原因である宗教的、思想的、政治的背景と歴史的な出来事を分かりやすく教えてくれます。

著者は2002年から2004年まで東エルサレムに在住し、パレスチナ西岸地区、ガザ地区、イスラエルでフィールドワークを行った経験を持つ大学教員です。ユダヤ人とは? シオニズムとは? ディアスポラとは? ハマスとは? 事実と私見を分けて述べるなど偏りを避ける努力もなされています。また本書は二人の編集者が著者の講義を土台として原稿を再構成し、数字や日付の訂正や、理解しやすさを考慮した加筆修正を加えた三人四脚によるものであるとあとがきに書かれています。

私がこれまで得てきた、イスラエルの戦争に関する知識は、テレビや新聞などの報道や、武力で住居を追い出されガザ地区に閉じ込められた人たちを描いた絵本などによる断片的なものでしたが、この本を読むことによって、パズルのピースがはまって一枚の絵になるように、すべてつながる思いがしました。まず、知ることができて本当によかったと思います。

自由に本を読み、偏っているのかいないのか自分で判断し、考えを語れることの幸せがこの先も続くよう、強く念じます。

 【VC3rd】

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