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大阪の地名を調べるには

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年10月18日更新
  • 難波宮以来の歴史を有する大阪。「放出」「高津」など、往古の雰囲気を伝える地名から近世の賑わいを伝える「阿波座」「土佐堀」、今は失われた「雑喉場」まで、由緒のある地名も少なくありません。
  • そこで、大阪の地名を探るための資料を、「放出」「雑喉場」について調べるという例を用いて紹介いたします。

 1)地名の読み方を知りたい。 |  2)現在のどの辺りに当たるのか知りたい。 | 3)大坂三郷の町名について知りたい。 

 4)史跡や名勝を知りたい。 |  5)地図で場所を確認したい。

1)地名の読み方を知りたい。

地名の読み方については、各辞典中に難読地名を集めて挙げたものや、総画数から引ける索引などが備えられている場合がありますが、その他にも、読み方だけに的を絞った辞典もあります。『難読地名辞典』で8画の「放」を見ると、210頁に「放出」の読み方が「はなてん」であることが分かります。

■ 難読地名辞典 山口恵一郎、楠原祐介編 東京堂出版 1978年   中・央 374-133# / 291-79 / 291.03-47N

全国の難読地名を集めて見出語の画数順に並べたもの。対象となる地名は、郡・区・支庁・市・町・村のものを主としています。

■ 全国地名読みがな辞典 清光社 1991年   中(第4版)・央(第6版) 291.03-13N

都道府県ごとに、町・丁・字名をとり、行政地域別に一覧にしたもの。地名の読み方は分からないが、所在地域は特定できるという時などに利用できます。

2)現在のどの辺りに当たるのか知りたい。

『角川日本地名大辞典』27大阪府で「雑喉場」を調べると、538頁に「ざこばちょう 雑喉場町<西区>」として項目が立てられています。それによれば、雑喉場町は江戸期から明治5年までの町名で、明治5年に「江戸堀下通1~5丁目・京町堀上通1~5丁目・京町堀通1~5丁目」となったとあります。

 ■ 『角川日本地名大辞典27大阪府 「角川日本地名大辞典」編纂委員会編集 角川書店 1983年   中・央 374-135# / 291-81 / 291.03-2N

日本全国の地名辞典で、第27巻が大阪府にあたっています。4部構成で、「総説」には大阪府内の風土や歴史の概要が記され、「地名編」は歴史的行政地名(国・郡・藩・府など)、自然地名(山・川・峠など)、人文地名(街道・鉄道・橋など)が50音順に並べられています。「地誌編」は府内の市区町村の編纂当時の状況と行政地名に関する記述があり、「資料編」は「国郡沿革表」「藩府県沿革表」「市町村沿革表」等を含んでいます。

■ 日本歴史地名大系28 大阪府の地名I・II 平凡社地方資料センター編集 平凡社 1986年   中・央 374-147# / 291-95 / 291.03-1N

日本歴史地名大系全50巻のうち、第28巻の2冊が大阪府にあたっています。歴史的行政地名、自然地名、人文地名が地域ごとに配列されています。Iは摂津国、II河内国・和泉国で、大見出し項目は「現在の郡・市・区名」、中見出し項目は「現在の町・村名、大・中都市の地域区分名、中世・近世の都市名」とし、それぞれの見出しの中に多くの地名を収めています。巻末には地誌の「文献解題」等がつけられていて、大阪の地誌を調査する時の参考になります。

 使い分けのヒント 上記掲載の『角川日本地名大辞典』は中世から現代までの記述であり、『日本歴史地名大系』は基本的に近世(江戸時代)までの記述に詳しい。よって、近代・現代の変遷等を調査するには『角川日本地名大辞典』を、近世までについて調査する場合は、『日本歴史地名大系』を使う方が便利。

■ 市町村名変遷辞典(3訂版)』 地名情報資料室編 東京堂出版 1999年   中・央 291.03-3N

明治22年の市制町村制施行以来の市町村名を対象として、その合併・編入・境界変更等の変遷の履歴を、変更年月を含めて逐一記したものです。項目は50音順に配列されており、巻末には各都道府県別に画数索引が備わっています。

 『大日本地名辞書(増補版)第2巻上方 吉田東伍著 冨山房 1981年   中 374-17#

1900(明治33)年の初版以来、版を重ねてきました。第7版増補版は第1巻「汎論」は地名に関する総論で「地名転化論」「地名起因論」などが記述されています。第2巻以降は国郡別で各地名について触れています。「上方」は第2巻で、山城国・大和国・河内国・和泉国・摂津国・近江国・伊賀国・伊勢国・志摩国・紀伊国・淡路国に分けられ、「海陸の形状、古今の変遷、事物の興廃等、凡、事の其地に起り、其地に係り、而も重要、世に伝へ後に垂るべき者、悉皆之を各条(地名)下に類聚羅織」(序言より)されています。

3)大坂三郷の町名について知りたい。

『大阪の町名 ―大坂三郷から東西南北四区へ―』の巻末索引で「雑喉場」で掲載箇所を確認していくと、251頁に、京町堀5丁目、かつての雑喉場町に、「近世大坂の三大市場の一つといわれた雑喉場魚市場があった。」として、現在では「雑喉場魚市場跡」顕彰碑が建てられていることなど、雑喉場の来歴が説明されています。

■ 大阪の町名 ―大坂三郷から東西南北四区へ―』 大阪町名研究会編 清文堂出版 1977年   中・央 374-119# / 291.63-806N

大阪市内旧三郷(中央区・北区・西区)の町名について書かれた資料です。第1部は総説で古代から昭和に至る町名変遷の概説と大阪の地名に関する特徴が記述されています。第2部の「町名のうつりかわり」では「東区」「西区」「南区」「北区」の各区の町名ごとに由来と変遷が述べられています。出典資料も多く、記載されたこれらの資料から調査を深めていくことも可能です。参考文献一覧も揃っています。

 『大坂町鑑集成』 有坂隆道、藤本篤著 清文堂出版 1976年   中・央 378-691# / 291.63-607N

『大坂町鑑』というのは、江戸時代の大坂三郷(現在の中央区・北区・西区の辺り)の町名や橋の名前などをイロハ順に配列して、その位置を記述したものです。江戸時代の大坂で出版された3種の町鑑(宝暦6年、天保13年、明治3年)を翻刻と合わせて1冊の本にしたのが、この資料です。今は失われた町名の位置を確認するには適した資料といえます。ちなみに、これら3種の原本【宝暦版378-160# / 天保版378-156# / 明治版378-480#】も当館は所蔵しています。

 

4)史跡や名勝を知りたい。

『大阪史蹟辞典』で「雑喉場」を調べると214頁に「雑喉場魚市場の跡」として項目が立てられており、顕彰碑の文面から地名の由来、また、北条団水『日本新永代蔵』の中に「雑喉場」が登場していることなどが分かります。他に「雑喉場橋ガス燈」「雑喉場橋柱」の項目も立てられています。

 ■ 大阪史蹟辞典』 三善貞司著 清文堂出版 1986年   中・央 372-341# / 291.6-111

大阪市内を対象に、神社・寺院の縁起、歴史・社会的事件、文学・芸能等の遺跡旧蹟、名墓古墓、歌碑・句碑、地蔵・石仏に関する記述が収められています。改名・地名・町名の由来や橋、建造物などに関するものも含めた辞典で、各項目の50音順に並べられています。

『大阪史蹟辞典』で分かったように、かつてあったとされる「雑喉場橋」を調べるためには、大阪の橋に関する資料も役に立ちます。『大阪の橋』の巻末索引をもとに「雑喉場橋」の掲載箇所を確認していくと、138頁に「雑喉場橋」として紹介されており、昭和39年に百間堀川が埋め立てられるまで存在していたことが分かります。

 ■ 大阪の橋』 松村博著 松籟社 1987年   中・央 515-6N / 515-17

大阪市の土木局橋梁課にいた著者によるもので、「淀川の橋」「大川の橋」「浪華三大橋」「中之島の橋」「木津川の橋・尻無川の橋」「大川支流の橋」「東横堀川の橋」「西横堀川の橋」「長堀川の橋」「道頓堀川の橋」「各堀川の橋」「神崎川筋の橋」「寝屋川筋の橋」「平野川筋の橋」「大和川筋の橋」「その他の橋」に分けられ、架けられている川ともども、それぞれの橋について、歴史や造りについて記しています。「大阪の川にかかる橋」一覧もあります。

● 大阪の橋  Web   http://www.library.pref.osaka.jp/site/osaka/bridge.html

大阪の橋に関して調べたいときに役立つ、基本的な資料を紹介しています。

■『大阪の橋ものがたり』 伊藤純・橋爪節也著 創元社 2010年     中・央 515-110N 

   全88橋のエピソードを、貴重図版とともに紹介しています。

5)地図で場所を確認したい。

旧「雑喉場」を含む現在の地域の1つである「京町堀」について、国土地理院の「地図・空中写真閲覧サービス」の住所検索を利用すると、現在の京町堀付近の地形図が表示されます。また、古い地図の中には、かつての地名が記されていることもありますので、年代と地域が特定できる時は、地図によって地名を確認できる場合もあります。

 ■ 新日本地名索引』 金井弘夫編 アボック社出版局 1993年   中・央 291.03-22N

2万5千分の1地形図の地名を検索し、どの地形図に収載されているかを確認できます。ただし、中之島図書館では大阪府域の地形図のみ所蔵しています。

●地理院地図 (国土地理院) WEB http://www.gsi.go.jp/tizu-kutyu.html

全国の電子国土基本図(地図情報)を公開している地図閲覧サービスです。「地図・空中写真閲覧サービス」から地図の検索のページから住所検索を選択すると、地名から必要な箇所を検索・表示することができます。

なお、地形図や住宅地図など、中之島図書館が所蔵するものを中心とした地図については、調査ガイド18「地図のしらべかた(基本編)」も参考にしてください。

なお、地形図や住宅地図など、中之島図書館が所蔵するものを中心とした地図については、調査ガイド18「地図のしらべかた(基本編)」も参考にしてください。

● 調査ガイド18「地図のしらべかた(基本編)」  Web    http://www.library.pref.osaka.jp/site/osaka/guide-chizu.html

この他、地名に関する資料として体系的に記されたものに『大阪府全志』があります。その巻之二に「大阪市」が含まれていますので、目次を見ていくと、第三項が西区となっており、雑喉場が項目として立てられていることが分かります。また、別巻の索引で「雑喉場」を調べると、事項索引に「雑魚場」「雑喉場」などとして、掲載箇所が示されています。そこから、例えば巻之二の780頁に進んで、雑喉場の由来などの説明へとたどりつくこともできます。

 ■ 『大阪府全志』 井上正雄著 大阪府全志発行所 1922年   中・央 328-17# / 216-I1 / 291.63-243N

大阪府地方課にいた著者による労作です。明治43年から資料の収集に着手し、大正2年には職を辞して完成にいたりました。第1編は大阪府の分合の変遷、第2編は江戸時代以来の制度の変遷、第3編で府内各地域の分合と山川沼沢名所旧蹟の由来について記述しています。全5巻で構成されていて、第1巻は第1編と第2編、第2巻から第5巻までが第3編となっています。第3編は地名以外にお寺や施設に関する記述があり、国郡市町村別に並べられています。

また、井原西鶴に因む地名を集めた『西鶴地名辞典』や、近世地誌資料の『摂津名所図会』・『河内名所図会』の類、地域の限定された地誌類(例えば今宮町志【378-71# / 291.63-562N】や淡輪村誌【328-473#】)などにも、由来が記載されていることがあります。