大阪府立図書館

English 中文 한국어 やさしいにほんご
メニューボタン
背景色:
文字サイズ:

大阪府立中之島図書館だより「なにわづ」 No.155

更新日:2021年11月30日


なにわづ・題字

2021年11月 No.155


書庫改築工事中の図書館サービスについて

*****外部書庫収蔵資料の利用・階段昇降機の設置*****

当館は現在、書庫の改築工事を実施中です。明治から収蔵してきた資料を次の世代に繋いでいくために書庫の耐震化を行います。閲覧室のある本館(南棟、北棟含む)は、既に耐震化工事が完了していますので、いわばバックヤード部分にあたる今回の工事は、図書館を開館しながら実施します。そのため、一部のサービスに変更が生じています。

***外部書庫収蔵資料の利用***

 前号の154号で紹介しましたとおり、書庫の改築工事のために、2号書庫と3号書庫に収蔵していた資料、約48万冊を外部の書庫に一時移転しました。移転先には、資料を収める書架がなかったため、資料とともに書架も移設を行いましたので、昨年10月に開始した運び出し作業は、今年の3月末まで半年かかりました。

4月からは、移転した資料がきちんと書架に排架されているか、資料の住所番地である所在表示に間違いがないかなどを確認し、5月から資料搬送の運行を始めました。週3回、外部書庫と中之島図書館を往復しています。外部書庫にある資料の利用には、これまでのようにバックヤードにある書庫からすぐに、というようにはいかず、事前にご予約いただくことや数日待っていただくことなど制約がありますが、引き続き当館の資料をご活用いただきたいと思います。

***階段昇降機の設置***

さて、本館(南棟、北棟含む)は、重要文化財に指定されており、中央のドーム装飾やホールからの階段の曲線など、明治時代の建築様式を見るためだけに訪れる方も少なくありません。文化財のため、軽々に現状を変えるような改修工事ができず、本館内にはエレベータがありません。これまで車椅子のご利用や階段での移動がしづらい方には、迂回していただくルートにはなりますが、書庫など重要文化財ではない建物に設置していたエレベータを使用していただき、本館の各階にご案内しておりました。

階段昇降機

今回の書庫の改築工事によりエレベータが使えなくなりましたので、その代替として北棟に階段昇降機を設置しました。

操作は、係員が行いますので、ご利用の際には遠慮なくお申し出ください。少し先になりますが、改築工事完了後には、新書庫棟にエレベータを設置し、本館との間に渡り廊下をつなぎますのでどなたでも移動ができるようになります。

10月から解体工事が始まり、書庫の改築工事がいよいよ本格的になってきました。重要文化財の本館建物に影響がないように細心の注意を払って解体作業は進められています。別棟とはいえ本館に接続されている建物を解体しますので、閲覧室でも騒音や振動を感じることがあると思われます。

皆様には、工事の騒音や振動、資料提供、階間移動などの利用について、諸々ご不便をおかけしますが、ご理解、ご協力をお願いします。


令和3年度新収資料紹介     <大阪資料・古典籍課>

令和3年度中に収集した大阪にゆかりのある和古書・既刊書の一部をご紹介します。                                   ※【 】内は当館の請求記号です。

『日本勇武誉草』3冊 高木幸助貞武画

寛保2年(1742)【914-558】

高木幸助貞武は江戸時代中期の大坂の浮世絵師。通称幸助、素黙と号した。人物画に秀で、版本の挿絵を多く描いている。         

『煙華漫筆』張葛居辰著 【255.4-46】

洒落本。大坂道頓堀島之内の廓・芝居などの案内記。南地繁盛の由来にはじまり、当時の浪花南地の妓楼に関する17の項目を挙げ、解説・寸評を加える。

日本勇武誉草

『日本勇武誉草』

煙華浪漫

『煙華漫筆』

『〔浪華料亭名物広告〕』11枚 〔明治〕

【542.4-8】彩刷木版

明治時代の料亭のお品書き、広告を貼り合わせまとめたもの。「大阪の食い倒れ」に表される高級料理店の格式、風流な様子が伝わる。

              『〔浪華料亭名物広告〕』

浪華料亭名物広告          

差上証文表紙差上証文中

 『〔農人橋二丁目〕差上申証文之事』      

『〔農人橋二丁目〕差上申証文之事』

安永2(1773)【文書-292】

宗旨人別改帳。戸籍台帳に相当する町の基本資料である。

その他、『大阪市水道全圖』東湖久兵衛著 泉万助 明治24(1891)【518.1-36NX】、『萬華 花柳界便覽』豐島康世編纂

萬華通信社出版部 昭和8(1933)【384.9-9NX】等の資料を収集しました。

イベントレポート     <ビジネス支援課>

大阪中小企業診断士会共催セミナー「学んですぐ実践!仕事力・経営力アップ講座」

令和3年度に入っても新型コロナウイルス感染症の感染拡大は続き、緊急事態宣言に基づく大阪府の方針を受け、4月25日から6月20日まで大阪府立図書館は臨時休館することとなりました。そのような状況の中、第1回目の『仕事力・経営力アップ講座』は7月7日にオンラインにより開催することとなりました。

今回のレポートではオンライン開催の第1回と参加者に別館会場に来館いただき開催した第4回の様子をそれぞれご紹介します。

●『事業構想に役立つ、マーケティング基礎』講師:三宅 庸仁さん(中小企業診断士)

開催日 令和3(2021)年7月7日(水曜日)18時30分から20時 ※オンライン開催

『仕事力・経営力アップ講座』第1回は、通販会社で長くマーケティングに携わった後独立され、現在はデータサイエンティスト協会をはじめ、様々な団体に所属されている三宅庸仁さんにご登壇いただきました。

セミナーでは、マーケティングについて、ピクトグラムのようなイラストで構成された視覚的にも分かりやすい資料を使い、いちから順を追って解説していただきました。一般的にオンラインセミナーはどうしても途中で気が散ってしまう印象でしたが、今回は最後まで流れを追いながら楽しく受講することができました。講師は「オンラインの場合は少しテンポを速めにするとよい」とのアドバイスを受けてセミナーに臨まれたそうです。また、内容も面白く工夫をこらされていたため、参加者の方も、全員が最後まで集中して受講されていました。

リアルタイムでのオンラインセミナーの開催は大阪府立図書館でもはじめての試みでしたので、講師も交えて開催2週間前にリハーサルを行うなど、事前準備を積み重ねました。その過程で、音声やスライド画面についての課題も浮き彫りになりましたが、どうにか本番までに課題を改善した結果、当日は講師の声もはっきりと聞き取れ、スライド画面も最後まで見ていただくことができました。終了後にはチャットでお礼のコメントを沢山書き込んでいただき、講師と参加者の間でコミュニケーションが生まれていく様子も担当者として嬉しかったです。講師の三宅さんのご協力あってこそ、でした。

オンラインセミナーの継続を希望してくださる声を多くいただきました。運営側として、課題や発見もいくつかありましたので、これらを踏まえて今後に生かしていきたいと思います。

●『SNSで売れ!今日からできるポストコロナ時代の「シン・ネット通販」』講師:黒田 和也さん(中小企業診断士)

開催日 令和3(2021)年8月18日(水曜日)18時30分から20時

第4回は、飲食業に従事後、EC(electronic commerce(エレクトロニックコマース=電子商取引)の略)事業をゼロから立ち上げ独立、東南アジア各国での事業育成も行うなど、様々な分野で活躍されている黒田和也さんにご登壇いただきました。

セミナーではまず、海外と比較した日本のEC市場の伸びしろと新型コロナウイルスの影響を受けて加速した消費者のオンライン移行について、それぞれデータを引いてご紹介されていました。講師である黒田さんは「大阪府よろず支援拠点」でも活動されており、最近では実店舗のみで営業されていた事業者の方からオンラインショップの立ち上げのご相談をよく受けるとのことです。オンラインショップの立ち上げについては、データでは緊急事態宣言解除後もオンラインでの購買率が高止まりであることが示されているため、片手間ではなく新しく店舗を出すぐらいのつもりで本気で取り組むべきであると発破をかけられていました。そのほか、現在オンラインショップで大きな売上を上げている会社の共通点や特徴、オンラインショップを作る時に利用できるサービスの比較、補助金などについて紹介され、充実した内容でした。

セミナー風景


令和3年度ビジネス講座を開催しました                <ビジネス支援課>

当館の指定管理者であるShoPro・長谷工・TRC共同事業体との共同企画として、8月19日(木曜日)にビジネス講座「英語コミュニケーション講座 スピーチとプレゼンテーションの基礎」を開催しました。甲南大学国際言語文化センター教授の野村和宏さんを講師に迎え、オンラインでのコミュニケーションを意識した英語によるスピーチとプレゼンテーションの基礎に関するお話をしていただき、簡単なワークショップも行いました。

当日には大阪日日新聞による取材が入り、8月30日(月曜日)発行の同新聞に講座の紹介記事が掲載されています。参加者数は27名で、アンケートでは「とても分かりやすかった」「勉強になった」といった感想が複数見られました。また、シリーズ化や講座の続編を望む声も寄せられており、参加者の満足度は非常に高いものとなっていました。

なお、7月30日(金曜日)から8月20日(金曜日)には、ビジネス英会話や英語スピーチ等に関する資料を館内で100冊程度展示し、講座の広報を行いながら資料の利用促進も図っています。

英語コミュニケーション講座講座風景

令和3年度特別展「古典籍でみる江戸時代の大坂」を開催しました <大阪資料・古典籍課>

月1日(木曜日)より31日(土曜日)まで、3階展示室にて令和3年度特別展「古典籍でみる江戸時代の大坂」を開催しました。

今回は特定のテーマを絞らず、江戸時代の大坂を政治・経済・生活・文化・災害など様々な角度から紹介することを目的とし、大坂夏の陣後幕府によって大坂城を再建した際、西国諸国の大名への普請の分担配置を描いた『大阪城古図[大阪城普請丁場割之図]』や大坂城代以下城番以下代官、与力同心などの名鑑である『大坂武鑑』『御役録』、当館所蔵の町方行政文書の代表である『道修町三丁目文書』、その他『浪華名所独案内』などの案内類や摂河泉の名所図

会、『大阪大火之図』など災害を取り上げた瓦版、上方歌舞伎を題材にした浮世絵(『〔中村歌右衛門 片岡仁左衛門〕』右上画像)、淀川両岸の地理を紹介した『淀川両岸一覧』、『[三郷惣会所火消役絵]』など大塩の乱を題材にした瓦版、『製油録』『綿圃要務』といった河内の産業を取り上げた資料、堺刃物の店頭を描いた『泉州堺打物見世之図』など約70点の資料を展示しました。

古典籍で見る江戸時代の大坂

 いずれのイベントも新型コロナウィルス感染症対策を講じて実施しています。ご参加いただいた皆様のご協力にこの場をお借りして感謝申し上げます。


中之島図書館周辺の地図

開館時間 月~金 午前9時~午後8時
土    午前9時~午後5時

休館日  日曜日・国民の祝日及び休日・年末年始
6月、10月、3月の第2木曜日

大阪府立中之島図書館   
〒530-0005 大阪市北区中之島1-2-10
電話(代表) 06-6203-0474

https://www.library.pref.osaka.jp/site/nakato/


PAGE TOP