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大阪府立中之島図書館だより「なにわづ」 No.146

更新日:2012年10月25日

なにわづ・題字

2012年10月 No.146

11月1日は“古典の日”

野本 康憲

 本年9月5日に「古典の日に関する法律」が公布、施行され、11月1日が「古典の日」とされた。 「紫式部日記」によって源氏物語の存在が確認された最古の日付にちなむものだそうである。 文学はもとより、美術、演劇、伝統芸能等々の古来の文化的所産である「古典」に、国民が親しむことにより、心豊かな国民生活と文化的で活力ある社会の実現に寄与することを目的にしている。
古典は、人類の永い歴史の中で紡ぎ出され、受け継がれてきた貴重な文化遺産である。幾多の星霜を経て、なおその輝きを失わず、現代に生きる我々の心を豊かにし、生活に潤いを与えてくれる。
のみならず、そこに凝縮された先人の英知は、今を生きる我々に未来を切り拓いていく力を与えてくれる。 「温故知新」という四文字熟語に端的に表されるように、古典を学ぶことで、そこから新しい知識や見解を導き出すことができる。 昔と今では社会、経済、文化、科学技術等全ての面で大きな違いがあり、古典の中に現代社会で直ちに通用するような処方箋は見つからないだろう。 しかし、長い歴史に埋もれることなく今日まで伝えられてきた古典に含蓄されたプリンシプル、エッセンスといったものが、とかく先行き不透明な現代社会にあって、未来を切り拓くヒントを授けてくれることは間違いないだろう。 「温故知新」という2千年以上前の孔子の言葉が、我々にものごとを学ぶにあたっての要諦を示し続けてくれていることがその何よりの証左である。
さて、古典と言えば、中之島図書館には、20万冊を超える古典籍がある。 例えば、井原西鶴の「好色一代男」や「日本永代蔵」、近松門左衛門の「心中天網嶋」、瀧澤馬琴「南総里見八犬伝」をはじめとする江戸時代のベストセラーを当時の本で読むことができる。
先般「和本の楽しみ」というテーマの特別展を開催し、その一部を展示したところ、多くの方々に来場いただき、「名前だけ知っている本の原本が見られたことが良かった。 現在も綺麗に残っていることが不思議な気持ち」「日本の伝統文化・技術を直接見ることができた」等々貴重な感想を頂戴した。
現在では、先に挙げたものをはじめ、史上著名な作品の多くが翻刻され、活字として読むことができる。 確かに、いわゆる「くずし字」で記された江戸時代の書物は、我々にとっては殆ど判じ物の世界である。 しかしながら、わずかながら読める字をたどって読んでいくと、活字で読んだ時とは異なる時代の空気といったものを感じることができる。 また、眺めているだけでも、精巧な挿絵や図版、極小な文字に当時の印刷技術(職人技と言った方が適切か)の素晴らしさに素直な驚きを感じる。
このような古典をしっかりと受け止め、次代に引き継いでいくこと、そして、それを将来に向けて活用していくことは、今を生きる我々の責務であると強く思う次第である。 和古書、古典籍と言うと何となくガラスケースに収められたものを遠目で見るというイメージをお持ちかもしれないが、中之島図書館では、一定の手続きをすれば、一部の貴重書を除き、手に取ってご覧いただいている。 実物を手にすることで、是非、和本の素晴らしさを体感していただきたい。
季節は“読書の秋”。来るべき「古典の日」に一人でも多くの方が中之島図書館に足をお運びいただき、古典に親しんで下さることを期待している。 そして、その中から未来を切り拓くキーを手に入れていただければ、幸いである。

(大阪府立中之島図書館長)

「大阪の都市遺産と住友~中之島図書館と住友文庫をめぐって~」

 特別展:6月26日(火)~7月6日(金)  フォーラム:7月7日(土)
関西大学大阪都市遺産研究センターと共催で、平成24年度特別展・フォーラム「大阪の都市遺産と住友」を開催しました。 大阪府立図書館の設立に大きく関わった住友家および住友グループに由来する資料約60点を展示しました。 会期中には1,500名を超える方がご来場下さいました。ありがとうございました。
フォーラムでは、4人の講師の方が、住友文庫、大阪の建築物などをとりあげながら、大阪と住友家の深い関わりについて発表し、大阪の都市遺産について語り合いました。

平成23年度新収資料紹介

新収資料の本
『狂句柳樽』 【229.4/70】

 長谷川小信画 大坂 本屋安兵衛(松栄堂) 刊狂句の内容にあわせて、大坂の浮世絵師・長谷川小信の手による色刷りの挿絵がつけられた狂句集。 「べか車」などの大坂独特の風俗も登場します。狂句は、川柳が技巧へと傾いた末の最終形態。 縁語、洒落を駆使した言葉の掛け合わせが特徴で、言葉の表面的な面白さを追求する娯楽として普及しました。

平成24年度 特別展『織田作之助の世界』

平成24年10月24 日(水)から11月24日(土)まで

 大阪府立中之島図書館には、大阪で生まれた作家・織田作之助(1913-1947)の旧蔵資料、書簡、草稿など約1,500点の資料をまとめた「織田文庫」があります。 作之助の生誕百年を翌年に控え、当館が所蔵する「織田文庫」収蔵図書、雑誌、草稿や書簡を中心に、作之助の作品世界や人物像、作之助をとりまく人々、作之助の生きた大阪の町を紹介します。

 展示期間:平成24年10月24 日(水)~11月24日(土)[日曜日・祝日は休館日※]
月~金曜  10時00分 ~ 20時00分   土曜  10時00分 ~ 17時00分 ※
場所:大阪府立中之島図書館 3階 文芸ホール [入場無料]
※11月11日(日曜)は特別開館を実施し、9時00分から17時00分まで特別展をご覧いただけます。
※11月17日(土曜)は講演会開催のため終日ご覧いただけません。

 また、この期間中、織田作之助にちなんだ関連企画「講演会『織田作之助 ―青春の大阪作家―』」(11月17日 ※要事前申込)、 『オダサク音楽の夕べ~蓄音器の調べにのせてたどる織田作の文学~』(11月15日)、 「中之島図書館特別開館&『織田作之助の世界』展ギャラリートーク」(11月11日)を実施いたします。あわせてご参加ください!

「みんなで選ぶ社史グランプリ」開催

展示風景  中之島図書館では、「みんなで選ぶ社史グランプリ」を神奈川県立川崎図書館と共同で開催いたしました。
両館で所蔵する平成22年以後刊行の社史の中から、5部門に分けてノミネートした社史を展示し、気に入った社史に、よいと感じられた点についてのコメントを添えて来館者に投票いただきました。
平成24年5月11日(金)から6月23日(土)の開催期間のうち、5月11日(金)から6月13日(水)を投票期間とし、投票の集計結果を6月16日(土)に館内および当館ホームページにて発表いたしました。
また、大日本印刷・アサヒビール・近畿日本鉄道のそれぞれの社史編纂担当者にご依頼し、社史制作にまつわる講演会を開催いたしました。 江崎グリコ・近畿日本鉄道・日清食品・吉本興業からは、会社の歴史にまつわる品物を、当館所蔵資料とあわせて展示していただきました。
新聞・雑誌・ラジオ・テレビなど、様々なメディアで取り上げていただきました。

資格図書コーナー設置・資格セミナー開催

講演風景  平成23年6月に設置した資格図書コーナーでは、司法試験・司法書士・行政書士などの行政・司法系の資格から、 日商簿記・FP(ファイナンシャル・プランナー)・証券アナリストなどの会計系の資格、ビジネスキャリア検定・ビジネス実務マナー検定などのビジネス系の資格など、 様々な資格試験のテキストや問題集を関連団体からご寄贈いただき、提供しています。 また、平成23年11月から、資格取得をめざす方、関心のある方を対象に、資格の概要を紹介する資格セミナーを関連団体との協力により開催しています。 平成24年9月までに「FP(ファイナンシャル・プランナー)」「通販エキスパート検定」「ビジネス会計検定試験」について、計7回の資格セミナーを開催しました。

情報活用講座開催

 平成24年9月に、図書館スタッフが、「凡例よりもわかりやすく、セミナーよりもアットホームに」をモットーに、オンラインデータベースの活用方法と、 図書館資料を使った情報へのアプローチテクニックをご紹介しました。 取り上げたテーマは「判例・法令の調べ方」「企業情報の調べ方」「業界情報の調べ方」です。

中之島図書館ビジネスセミナー開催

 平成16年度から開催しているビジネスセミナーですが、平成23・24年度にも「市場動向と消費者特性から現在を読み取る」、「『新規開業白書』2011でわかる起業・開業の今とこれから」、 「医療機器業界への参入事例と薬事法~大阪のものづくり力を医(異)分野へ~」など、様々なテーマについて実施いたしました。

図書館職員スキルアップ研修「連携しよう!」開催

講演風景

平成24年3月8日に、図書館職員スキルアップ研修「連携しよう!」を開催いたしました。大阪府域の市町村図書館等の図書館サービス実践や現状の発表を中心とした研修を実施し、参加各館の運営に役立てることを目的といたしました。 雑誌オーナー制度、広告事業、被災地支援など、様々な興味深い内容について、発表および質疑応答などが行われました。

中之島図書館耐震補強工事のお知らせ

 平成21年度に大阪府立中之島図書館の建物である重要文化財3棟(本館、左翼、右翼)と非文化財4棟(2号書庫、3号書庫、事務棟、電気室棟)の耐震診断業務を実施しました。 その結果、すべての棟で耐震性能が不足しており、補強案が策定されることとなりました。また、液状化対策の地盤改良案も同時に策定されました。 この耐震補強工事を、文化庁の補助を受けて実施することとしました。 現在、中之島図書館建物(本館及び左翼、右翼北南棟)の耐震化工事を平成25年3月から実施するための準備を進めています。 工事期間中も開館し業務を行う予定ですが、工事の詳細については、今後その内容が固まり次第、当館ホームページや館内掲示などで随時お知らせいたします。

中之島図書館付近図

開館時間 月~金 午前9時~午後8時
土    午前9時~午後5時

休館日  ・日曜日・国民の祝日及び休日
・年末年始・6月、10月、3月の第2木曜日

大阪府立中之島図書館   
〒530-0005 大阪市北区中之島1-2-10
電話(代表) 06-6203-0474


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