大阪府立図書館

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大阪府立中之島図書館だより「なにわづ」 No.140

更新日:2006年10月12日

>> No.140 PDF版

なにわづ・題字

2006年9月 No.140

知的創造の場 それが図書館

鳴澤 成泰

 図書館というと本をただで貸してくれるところ、静かに本を読める場、勉強に便利な場所など人によって受け取り方はさまざま。それではあなたはどんなふうに図書館を捉えていますか。

 紀元前に存在したエジプトのアレキサンドリアにあった図書館は、70万からなる巻物、書籍がある知の宝庫であったと言われています。紙のない時代、人々はパピルスや羊皮紙に文字を書いて残しました。そのような図書が70万もあったというのです。それは権力や金だけで集まったわけではありません。世界中からそこにある図書を読むために多くの学者が集まり、読むためには何か一冊図書を持ってくる必要があったといいます。当時の本は印刷ではありません。自分の書いた本や原本から自分の手で書き写した本、それを持参したのです。図書を中心として人々の交流がうまれ、新しい学問が発達していきました。図書はますます増え、そしてそれゆえにさらに魅力を増して人々をひきつけたわけです。

中之島図書館はどうでしょうか。住友吉左衛門氏の寄贈により、明治37年に開館しました。建設費、書籍費、その後の増築費など住友家には並々ならぬご支援をいただいてきましたが、その蔵書には前身の大阪書籍館時代のものを引き継ぎ、また個人や企業など多くの方々の寄贈や寄託により蔵書を充実させてきました。中之島図書館所蔵の貴重書や和書の多くがそのようにして蓄積されてきたものです。

府立の図書館は原則として図書を廃棄しません。知識を蓄積し、広く利用していただくためです。そして図書館だからこそ、利用を前提に整理しています。

人間は多様です。いろいろな考え方があり、興味関心も違います。それぞれの人が自由に自分の関心のある事柄を探求し、その成果を社会に発信することにより、人間社会は発展してきました。図書館の図書も多様な視点から調べ、読み込まれることにより新しい価値を創造します。そして図書を通じて社会の進歩に資する多くの成果が得られることが、寄贈していただいた方々の願いでもあります。何か興味があることがあればぜひ図書館の司書に聞いてみてください。広い知識の大海原にどのように行けばいいか、水先案内人としてご案内できると思います。

近年の図書館は大きく様変わりしました。図書館の相互利用が大きく進み、府下の市町村立図書館だけではなく、国立国会図書館や大学図書館までもが相互利用の対象として、図書を閲覧できるようになっています。そういうものの検索や閲覧のための依頼なども中之島図書館でできます。IT化も進みました。一度大阪文献データベースをご覧になってください。http://refdb.library.pref.osaka.jp/ 中之島図書館がこだわって収集整理してきた、およそ大阪に関係する図書、大阪の作家物、大阪を書いた資料など、膨大な資料の中から、調べたいものをキーワードで一発検索できます。

いろいろな人に図書館という社会資源をもっと活用していただきたい。ビジネスのヒント探しや研究、学習に存分に生かしていただきたい。私たちも、多くの先人が収集整理した資料も、最近整備しているデータベースなどのデジタルツールも、皆さんの利用をお待ちしています。

最後に私たちのサービスを発展させ、後世に貴重な資料を残し伝えていくために、保有されている貴重な図書の御寄贈や資料収集のための資金提供などお考えいただければ幸いです。

(府立中之島図書館長)

大阪府立中之島図書館百周年記念
『大阪百人一首』入選・入賞歌の発表報告

開館百周年記念基金運営事業の一環として平成17年9月1日から9月30日まで「大阪百人一首」の短歌募集を行いました。アメリカ、台湾など内外の方々から867首にも及ぶご応募があり、選者は道浦母都子氏にお願いして入選歌100首の発表をしました。併せて100首の中から最優秀賞1首、優秀賞3首が決定しました。

最優秀賞 手作りの蘭和辞典を奪ひあひ俊英学びし北の適塾
優秀賞 首都の夢みたかもしれぬ中之島水とうとうと獅子(ライオン)の橋 ここからの眺めが好きと寄りそって水晶橋で見る夜の川 好きやねんぽつりと告げた恵比寿橋震える足をまた踏みしめて

なお、選者道浦氏のご希望で短歌を作る高校生を対象に、その励みにと「青春奨励賞」20首が選ばれました。

また、関連事業として、平成18年2月4日に選評会、2月1日から2月18日まで展示会「百人一首の世界~大阪百人一首入選歌によせて~」を開催しました。約1,900人の方々にご来場いただきました。ありがとうございました。

*大阪百人一首の入選歌はこちらからご覧いただけます。
https://www.library.pref.osaka.jp/nakato/event/uta100up.html

平成18年度 夏の展示報告

資料に見る『 銭と貨幣のすがた 』
~大阪府指定文化財・指定記念 「オランダ記念貨幣誌」によせて~

平成18年6月12日(月)~24日(土)

 平成18(2006)年1月20日大阪府指定有形文化財(典籍)に中之島図書館所蔵の貴重書「オランダ記念貨幣誌」が指定されたのを記念して展示会を開催しました。 (原題 Beschryving Der Nederlandsche Historipenningen)

神の名が書かれたテトラグラマトン記念貨幣や江戸時代に出版された貨幣資料とコイン、造幣局創成期のころの錦絵など図書以外の資料もあわせて約70点を展示しました。日ごろ目に触れない貴重書を身近に感じ取っていただけたのではないかと思います。

長雨が続く季節にもかかわらず、約1,300人の方々にご来場いただきました。  この場を借りて篤くお礼申し上げます。

秋の展示会と講演会のお知らせ

人魚洞文庫データベース公開記念
『これが“おもちゃ絵”だ!』
~巨泉玩具帖に見る大正・昭和初期の郷土玩具~

 川崎巨泉は明治後期から昭和前期にかけて大阪で活躍した“おもちゃ絵”画家。当館所蔵の巨泉のおもちゃ絵と、彦根の郷土玩具コレクター高橋狗佛(くぶつ)のコレクション(彦根市立図書館所蔵)の郷土玩具を並べ、いつかどこかで出会ったかもしれない郷土玩具の世界を巨泉の“おもちゃ絵”を中心に展示します。

会期:平成18年10月10日(火)~26日(木)
会場:中之島図書館3階 文芸ホール
後援:国宝・彦根城築城400年祭実行委員会

関連講演会

  • 「おもちゃ絵画家・川崎巨泉の仕事
    ―郷土玩具をめぐって―」
    講師:北原直喜氏(日本郷土人形研究会・代表世話人)
  • 「玩具絵本の系譜
    ―「江都二色」から「巨泉玩具帖」まで―」
    講師:石沢誠司氏(財団法人 京都文化財団 京都府立文化芸術会館館長)日時:平成18年10月28日(土)
    午後1時~4時30分 *事前の申込必要

    問合せ先:大阪府立中之島図書館大阪資料・古典籍課
    Tel 06-6203-0473(直通)

中之島図書館におけるデジタルアーカイブ※への取り組み

中之島図書館には、百年の歴史の中で蒐集した江戸期・明治期の錦絵をはじめとして、たくさんの貴重なコレクションを所蔵しています。既にその中から「浪速百景」などの近世大阪の風景を集めた「錦絵にみる大阪の風景」を公開し、今年の5月からは画家・川崎巨泉が全国の郷土玩具を描いた画集を「人魚洞文庫データベース」として、ホームページ上で公開しています。今後さらに、より多くの資料をデジタルアーカイブ化し、広く府民に活用していただけるようにしたいと努力しています。

大阪府では、平成16年10月に「大阪府デジタルアーカイブ流通研究会」を設置し、さらに18年度からは「デジタル文化都市創造会議」の下に「デジタルアーカイブ流通研究ワーキンググループ」を設置し、中之島図書館をはじめとして、大阪府や府内市町村の機関が所有する文化財や美術品、図書等を、デジタルデータとして記録・保存し、その公開・利活用が容易にできるシステムを立ち上げようと研究を続けています。中之島図書館もその一員として積極的に加わり、所蔵資料のデジタルアーカイブ化を進め、データの商用利用を含めて、より多くの方々が図書館資料に接し、活用する機会が増えればと期待しています。

(※有形・無形の文化遺産をデジタル画像として記録・保存して、様々な用途に活用を図っていこうとする試み)

「錦絵にみる大阪の風景」  http://fukeiga.library.pref.osaka.jp/
「人魚洞文庫データベース」 http://ningyodo.library.pref.osaka.jp/

寄贈資料紹介

本年3月、当館前司書部長稲垣房子氏から、以下2点の資料が寄贈されました。

○〔与謝野晶子歌幅〕 1幅
晶子自筆の短歌「そのかみの君王のねや金色のまくらにかよふ秋の初風」が筆墨された掛け軸(縦188cm、横41cm)で「晶子」と署名がある。

○〔福沢諭吉覚書〕  1枚
「千八百六十七年式英兵錬法」の翻訳料125両の内金25両を請け取ったことなどを自筆で記した「覚」の書き付け。(縦16cm、横28cm)

2点とも貴重書に指定されています。閲覧については、大阪資料・古典籍室にお問い合わせ下さい。

与謝野晶子歌幅

与謝野晶子歌幅

福沢諭吉覚書

福沢諭吉覚書

ビジネス資料室 データベースのご利用について

当室でご利用いただけるデータベースに、平成18年7月14日より新たに「CD・Eyes50 TSR企業情報ファイル」が加わりました。検索・閲覧は全て無料です。

◆ CD・Eyes50 TSR企業情報ファイル
日本の大企業から中小企業まで50万社の最新企業情報を収録。社名のほか上場区分・代表者・所在地・創業年月・資本金・従業員数・業種・役員・大株主・営業種目・仕入先・販売先・取引金融機関・最新売上・最新利益・代表者生年月日・同出身校・同出身地等32項目の検索キーからかけ合わせて検索が可能です。プリントアウトはできません。

その他のデータベースは当館3階デジタル情報室にてご利用いただけます。プリントアウト(有料)も可能です。調査をサポートする強力なツールスとしてご好評いただいています。

【主なデータベース】

◇ 聞蔵2ビジュアル
朝日新聞の記事検索等。戦後全ての記事が検索可
◇ 日経テレコン21
日経四紙の記事検索等。各種企業情報も収録
◇ 毎日Newsパック
毎日新聞の記事検索等。『エコノミスト』記事も検索可
◇ ヨミダス文書館
読売新聞の記事検索等。人物検索も収録
◇ LexisNexis
海外の新聞・雑誌記事約12,000紙誌が検索・閲覧可
◇ LexisNexis JP 日本法総合データベース
戦前から最新までの判例検索、法令・裁判書式検索等
◇ MAGAZINEPLUS
一般誌・専門誌・研究報告等雑誌記事・論文情報検索
◇ 朝日中央インターネット総合ライブラリ
契約書等1,800例をこえる法律文書の書式・文例集
◇ TKC経営指標
22万件をこえる企業財務情報から算出した経営指標他

 
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