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大阪府立中之島図書館だより「なにわづ」 No.137

印刷用ページを表示する 掲載日:2004年11月30日更新

なにわづ・題字

2003年9月  No.137

百周年を迎えて想うこと

石崎 重雄

 今、御三方の本を乱読している。養老孟司、甲野善紀、斎藤孝の幾つかの最新作である。評論でもなくどちらかいえば手引書のような思いがして、しかも人道、武道、文道のようなものでもない。しかしこれが結構おもしろい。我々がこの明治以降百五十年の、脱亜、近代化のなかで忘れてきたこと、無視してきたことを思い出させるところが共通している。長いあいだ日本人は農作業や里山の整備などをやらなくなって、基礎的な手足や体の動き、御天道様の下で人間としての粘りを忘れたり、詩歌は子供の頃のお正月以来口ずさむことがなくなったり、植物や動物の匂いを忘れてしまったことが逆写されているのかとも想う。

 さて明治37年、この中之島の地に第15代住友吉左衛門氏の寄付により図書館が開館された。大阪では市電、東京では国電が走り出し、天王寺で内国勧業博覧会が、米国のセントルイスでは第3回オリンピックが開かれ、ライト兄弟がエンジン付き飛行機を飛ばした時代である。国力整い日露戦争となり、与謝野晶子は恋に、漱石は猫に、四迷は口語文に、おのれを託しながら終わり行く明治を愛惜し、漢詩、文語が通じた最後の時代でもある。

 実業家であり、文化人でもあった創設者にとって一年近い洋行のインパクトは現代では計り知れないほど強く、「業を起こし、知の人を育てる」図書館設立への思いは当時の日本では群を抜いて高いものがあったと察せられる。それが当館正面ホールの建館記にほとばしっていると思えるのは我々漢文を読めない戦後世代でもわかることである。

 百年の歳月を経て、人間は月へ行ってみたり、コンコルドを飛ばしてみたり、オリンピックや、万国博を開催したり、文明の先端を突き進み、生活のレベルで日本を見れば、快適そのものである。労働時間は短いし、家事は機械がするし、どこへ行くにも簡単至極、悦楽の時間を享受できることになったにも拘わらず、何か不幸な、不機嫌な時代、老若男女、個人と個人が内に向かってのみエネルギーが発散する衰亡の時が来たと思い始めている。

 冒頭の御三方の論文集にはとかく文明論者にありがちな嘆きや呪い、諦観や憤りなど感情的な言辞がなく、科学的で具体的な個人、家庭、生活の在り様が淡々と述べられていて組織、社会にぶらさがらない自立した個人の形成に役立つと思い、紹介した。

 当館が平成16年2月から始めることとしている百周年記念行事として次頁の事業を展開するのも、創設者の魂魄をくみとり、これからの道筋を考えていく端緒としたいからである。昨年来の募金活動について数多くの方々からのご寄付を賜り、当初予定していた事業費が確保できたことについてこの紙上を借りて厚く御礼申し上げる次第である。事業のPR、決算等については中之島図書館ホームページ等でお知らせしたい。

 中之島図書としてこれまでの大阪資料、古典籍資料のセンターとしての役割に加えて、現在ビジネス支援機能をもった図書館整備の準備をすすめているところであり、また、旧商工資料室を改装して大学のサテライト教室への活用などが進展しているところである。  ニューヨーク公共図書館が百周年を迎えた1996年に公民の力を得て、ビジネス図書館を設立したことも念頭におきつつ、次の準備作業に入りたい。

(府立中之島図書館長)

平成15年度府立中之島図書館百周年記念事業について 

 当館では記念事業(平成15年度)を下記の予定で実施することとしており、詳細は年内にホームページ等でお知らせ致します。

   http://www.library.pref.osaka.jp/

百年史(記念誌)の発行

  • 開設100周年の記念誌の発行
  • 発刊時期:平成16年2月頃

写真と資料で振り返る中之島図書館百年展

  • とき: 平成16年2月24日(火)~3月7日(日)
  • ところ: 当館3階「文芸ホール」

百周年記念式典

  • とき: 平成16年2月29日(日)午後1時~午後4時頃
  • ところ: 大阪市中央公会堂〔大ホール、展示室等〕
  • 式典次第: (1)ミニコンサート
            (2)式典
            (3)記念講演
            (4)記念資料等展示

秋の展示会と講演会のお知らせ

特別展示「道頓堀展―描かれた なにわの華―」

道頓堀角劇場繁栄之図
「道頓堀角劇場繁栄之図」
明治17年(1884)

 平成15年10月12日(日)~26日(日)
午前10時~午後5時  (休館日は13、14、20日)

 道頓堀界隈は今から約400年前に芝居興行が設置されて以降、今日に至るまで大阪有数の繁華街として栄えてきました。歌舞伎芝居に始まり、種々の演劇、映画、また芝居茶屋、カフェーなど、それぞれの時代を象徴する文化をはぐくんで来ました。この展示会では、大阪を代表する名所としてのにぎわしく華やかな道頓堀を様々な資料によりご紹介したいと思います。

関連講演会

(1) 「水の都・大坂の成立と堀川の開削」    講師:宮本又郎氏(大阪大学大学院経済学研究科教授)
    平成15年11月1日(土)午後1時30分~3時30分
    申込締切:10月19日(日)

(2) 「道頓堀の今昔」    講師:肥田晧三氏(元関西大学文学部教授)
    平成15年11月22日(土)午後1時30分~3時30分
    申込締切:11月9日(日)

場所:大阪府立中之島図書館3階「文芸ホール」
申込:(1)各講演会ごとに往復はがきで講演名、住所、氏名、電話番号を記入のうえ、下記まで。
    (2)インターネットでも可。
        http://www.library.pref.osaka.jp/
宛先・問合せ:大阪府立中之島図書館 大阪資料課  Tel:06-6203-0473(直通)
         〒530-0005 大阪市北区中之島1-2-10  

「大阪府立中之島図書館 錦絵にみる大阪の風景」をインターネット公開しました

「錦絵にみる大阪の風景」イメージ
http://fukeiga.library.pref.osaka.jp/

 当館では昨年度、大阪資料・古典籍室に設置した超高精細画像表示システム(SHD)にて「大阪府立中之島図書館蔵 錦絵にみる大阪の風景」を公開しましたが、平成15年8月からこのコンテンツをインターネットからもご覧いただけるようになりました。中之島図書館が所蔵する幕末から明治にかけての大阪の風景を描いた錦絵約250点を収録しています。
 インターネット版では、SHD版にもあった「ジャンル検索」に加え、「タイトル検索」「画家名検索」のほか、描かれた「名所」の名前や描かれた風景が含まれる現在の市区町村名から作品を検索することができます。これにより、たとえば「大阪城」や「道頓堀」「堂島」といった大阪名所が幕末から明治にかけてどんな様子だったのか、さまざまな画家が描いた作品を合わせて見ることができるようになりました。
 コンテンツは、「浪花百景」、広重画「浪花名所図会」などSHDで公開していた作品に、新たに貞信画「浪花百景」など約60点を追加しています。是非ご覧ください。

※ このシステムは通信・放送機構(TAO)による「大阪府マルチメディア・モデル図書館展開事業」の実証実験のひとつとして公開するものです。


―寄贈図書紹介―

寄贈図書  21世紀になって、地球環境保全への人々の関心がますます高まるなかで、企業も種々の取り組みを進めています。その企業活動の実態を広く知ってもらうという意味で各企業はその報告書を「環境報告書」、「環境レポート」、「サスティナビリティレポート(持続可能性報告書)」などの誌名で発行しています。
 中之島図書館にはこれまで数社からこれらを寄贈していただいていましたが、ビジネス支援に向けて「エコほっとライン(環境報告書を無料で請求できる環境報告書データベース)」を通じてまとめて寄贈をいただけることになりました。(現在は30数社ほど)
 今後は企業の社史やディスクロージャー誌などもふくめてビジネス関連の資料を積極的に収集してゆきたいと考えています。ご協力をよろしくお願いいたします。


平成15年度 初夏の展示報告
「玄武洞文庫展-幕末・明治期大阪の偉才田結荘千里の足跡-」 

千里自筆画
千里自筆画
「花鳥図集」より

平成15年6月15日(日)~6月28日(土)

 玄武洞文庫は、田結荘金治氏より昭和45年(1970)、50年、その後を受けて、御令息哲治氏より平成8年(1993)、13年と都合4度にわたり寄贈していただいたもので、当中之島図書館における貴重なコレクションの一つです。
 この玄武洞文庫の特徴は、金治氏が蒐集してこられた江戸時代の書目類と、金治氏の祖父田結荘千里(1815-96)関連の資料と大きく2つにわかれます。千里は大塩中斎に陽明学を学び、その後砲術家、実業家、また画家として幕末・明治期大阪で活躍した人ですが、今回は千里関連の資料、自筆本や画、大塩中斎著『洗心洞箚記』や蓮月尼(千里の義理の叔母)の書簡など約70点を展示しました。長雨が続く気候にも関わらず、約1500人の御来場がありました。ありがとうございました。


ビジネス支援室(仮称)の設置について

 当館では、従来の大阪資料・古典籍を中心とした運営に加え、平成16年4月からビジネス関係資料・情報を提供し、ビジネス支援機能を強化していくことになりました。具体的には、本館3階の自習室を仕切り、東側半分にインターネットやCD-ROM検索ができるパソコンを並べた「ビジネス支援室(仮称)」を設置します。また一般資料室につきましてもレイアウト等を変更する予定にしています。
 今後、計画の進捗に伴い、利用者の皆さんにもご不便をかけることもあるかと存じますが、ご理解、ご協力の程よろしくお願い致します。(一般資料課 前田)

―大学院が開設されます―

 平成16年4月、図書館の別館を全面改修し、高度な知識・技能を有する専門的職業人を育成する専門職大学院サテライト教室が開設されます。内容は下記のとおりです。

[関西大学] 法科大学院を開設し、院生と弁護士資格を持つ教員が府民等からの法律相談に立ち会うリーガルクリニックが実施されます。 (定員100名)

[神戸大学] 経営学研究科のサテライト教室を開設し、経営学修士(MBA)を取得できるビジネススクールが開設されます。 (定員65名)