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大阪府立中之島図書館だより「なにわづ」 No.133

印刷用ページを表示する 掲載日:2004年11月30日更新

なにわづ・題字

1999年9月 No.133

「歴史と伝統」とこれからの中之島

山本 晴之

○中之島図書館を堂島川に沿って、斜め後ろから眺めると、小さな建物が幾つも寄り添って、1つの図書館を形成しているのがわかる。利用者の増加や累積する蔵書に対処し、書庫等の増築を重ねてきたためである。正面からみた荘重な建物の背後に、狭隘さの克服に向けた当館の汗と情熱の結晶が並んでいるように見える。

○平成8年に中央図書館が発足し、中之島図書館の永年の課題が解消した。これを機に当館は、 100年に亘り蓄積された郷土大阪に関する資料を中心に新たな活動を展開することになった。学生時代以来、40年ぶりに入った館内は身軽になり、広々とした感じに変貌している。しかし、ひと度、書庫をみると、過半が中央図書館に移転したとは言え、なお、膨大な量の図書が書架に満ち、 100年に亘る図書収集努力の結晶の大きさをあらためて、感じている。

写真・当館後方
(堂島川から当館の後方を見る) 

○中之島図書館においては、この3年間、リニューアルの精神を踏まえ、新しい図書館の確立に向けて、職員の懸命の努力が続けられ、多くの成果を収めている。しかし一方で、中央図書館との役割分担をもっと明確にしてはどうか、あるいは、郷土資料センターとしての機能をさらに強く前面に打ち出すべきではないかという意見も出はじめている。リニューアル後の3年間の経験を踏まえ、厳しい財政状況に対応しつつ、中之島図書館の進むべき方向を真剣に検討すべき、時期に来ているようだ。

○当館は5年後に 100周年を迎えるという全国一の歴史と伝統を誇る図書館である。加えて公共図書館として常に新しい試みをしてきたことも比類のない歴史をもっている。こうした当館の誇りが 100年にして、消失してはならない。18代目は「百代の過客」の1人にすぎないかもしれないが、「歴史と伝統」の誇りを受け継ぎ、且つ21世紀に向けて、新たな図書館の確立に向けて、微力ではあるが、積極的に取り組んでいきたいと思っている。

(府立中之島図書館長)


◆ 大阪文学散歩地図 ◆ 平成11年度初夏の展示・関連講演会の報告

「近代大阪の文芸展」

 平成11年6月1日から13日まで、当館3階文芸ホールにて開催いたしました。当館所蔵の大阪文芸資料の中から、明治・大正・昭和初期にかけて活躍した大阪ゆかりの作家たち63人の著書や掲載雑誌、原稿・書簡等の自筆資料などを紹介し、また大阪を舞台に描かれた近代文学作品も展示しました。ここに、展示会でとりあげた作家や作品にまつわる"大阪文学散歩地図"を紹介いたします。

大阪文学散歩地図・大阪市

1.曾根崎新地『曾根崎艶話』急山人(小林一三)あ1-21
2.堂島、桜橋、大阪駅周辺『闘牛』井上靖藤沢208
『感傷旅行』田辺聖子藤沢460
3.土佐堀『大阪の宿』水上瀧太郎「女性」大正14.10雑404
4.『檸檬』(梶井基次郎)文学碑西区靱公園あ-242
5.大阪美術倶楽部『万暦赤絵』志賀直哉あ1-105
6.大阪天満宮裏門付近『花のれん』山崎豊子藤沢600
7.川端康成生誕地碑北区天神橋
8.天満『大塩平八郎』森鴎外丙初33
9.島町『大阪』水上瀧太郎あ1-127
10.大阪城『豊臣家の人々』司馬遼太郎藤沢364
11.松島『悪名』今東光あ1-87
12.船場『細雪』谷崎潤一郎藤沢467
13.道修町『春琴抄』谷崎潤一郎丙初38
14.心斎橋筋『自分人間』岡田誠三256-19035
15.折口信夫生誕地碑浪速区敷津西鴎町公園
16.宗右衛門町『南地心中』泉鏡花丙初82
『十軒路地』宇野浩二「中央公論」大正14.9雑316
17.法善寺、法善寺横丁『夫婦善哉』織田作之助織田草稿69、藤沢1806
『笑説法善寺の人々』長谷川幸延あ1-78
18.『めし』(林芙美子)文学碑天王寺公園913.6-10391N
19.天王寺区『青い月曜日』開高健あ1-51
20.あいりん地区(旧釜ヶ崎)『釜ヶ崎』武田麟太郎藤沢417
21.西成区山王町『てんのじ村』難波利三あ1-57
22.新世界、ジャンジャン横丁『虹』藤井重夫藤沢544
『めし』林芙美子913.6-10391N

<大阪府全図・堺市拡大図>

大阪文学散歩地図・大阪府、堺市中心部

大阪府全図・堺市拡大図
1.池田・阪急宝塚線『わが小林一三』阪田寛夫藤沢1945
2.淀『八百長』新橋遊吉藤沢395
3.八尾『悪名』今東光あ1-87
4.阪奈道路『感傷旅行』田辺聖子藤沢460
5.河井酔茗生家跡堺市北旅籠町
6.「明治初年仏人撃攘之処」碑(堺事件の現場)『堺港攘夷始末』大岡昇平あ1-32
7.妙国寺『堺港攘夷始末』大岡昇平あ1-32
8.「春」詩碑(安西冬衛・詩集『軍艦茉莉』より)ザビエル公園あ1-141
9.与謝野晶子生家跡『晶子曼陀羅』佐藤春夫256-11731
10.利休屋敷跡『秀吉と利休』野上弥生子913.6-9665N
『お吟さま』今東光あ1-45
11.南宗寺(利休墓)『秀吉と利休』野上弥生子913.6-9665N

「大阪の文学と書物の美」

 平成11年6月26日、講師に肥田晧三氏(元関西大学教授)を迎えて講演会を開催いたしました。日本の装幀の歴史から、近代大阪の文学者、出版人、画家たちが美しい装幀に注いだ情熱について、実際の書物を見せながらお話し下さいました。

平成11年度大阪府立中之島図書館特別展示会開催のお知らせ

地図と写真でみる大阪のすがた

大阪北区大火災地図

平成11年10月3日~17日 (休館日は月曜日と祝日)時間 午前10時~午後5時会場 当館3階 文芸ホール -入場無料-

 近代以降、特に20世紀に大阪は大きな変貌を遂げました。田んぼや沼地を埋め立てた梅田周辺には高層ビルが林立し、綿と菜種の産地だった大阪周辺の農家は、私鉄の発達とともに住宅地へと変化しました。川や海岸の護岸工事はすすみ、海に空港がつくられるまでになっています。
 地図と写真集-これらの資料は歴史や昔の風景を今に伝える重要なもので、図書館でも積極的に収集しています。この100年にわたる大阪の風景の変化を、地図と写真集で振り返ってみようと、企画しました。
 府域の変遷、市街地の拡大や「学校」「災害」「交通」「くらし」など、さまざまな視点から地図や写真、絵はがきなどの資料を展示する予定です。
 今世紀の末に、近代大阪の歴史を「見る」というアプローチから捉えなおし、21世紀に「大阪」を伝えていく機会を提供できれば幸いです。


展示会に関連する特別講演会も実施します

第1回 「1920・30年代 大阪のすがた-関一の都市思想」 講師 芝村 篤樹氏(しばむら あつき) 10月23日(土)午後1時30分~3時30分

 近代都市となった1920年代、30年代の大阪のすがたを、「モダン都市」大阪の実現に取り組んだ、都市政策のパイオニアである関一の都市思想を通して、ご講演いただく予定です。

第2回 「文化都市大阪の21世紀 -歴史と文学の間」講師 三島 佑一氏 (みしま ゆういち) 11月6日(土)午後1時30分~3時30分

 長い歴史と文学の宝庫である大阪の特徴を活かした都市づくりをいかに進めるか。21世紀にむけて、文化都市としての大阪のありかたについて、ご講演いただく予定です。

会場 共に当館3階文芸ホール
定員 80名(申込み多数の場合は抽選となります)
往復はがきにどちらか希望される講演名・住所・氏名・電話番号を記入してください。両方の講演会の聴講を希望される場合は、ご面倒ですが、別々の往復はがきでお願いします。
締切 第1回講演会 10月8日必着 第2回講演会10月22日必着

◆常設小展示案内◆

3階の大阪資料・古典籍室1での常設小展示はさまざまなテーマで好評展開中です。

第25回 新収資料 2月17日~3月30日
第26回 関西私鉄回顧録 4月1日~5月9日
第27回 大阪・味の雑誌 5月27日~6月29日
第28回 大阪空襲を伝える資料をあつめて 7月1日~8月17日
第29回 作家のサイン本 8月18日~9月29日
第30回 入江昌喜・森繁夫 追悼展(予定) 10月1日~11月16日

◆ 春の講演会の報告◆

 3月13日、花園大学教授の浜田啓介先生をお迎えして、「講釈師の創った歴史―『太閤真顕記』・『絵本太閤記』」と題した講演会を開催いたしました。私たちのよく知っている秀吉の出生物語は真実と錯覚しがちですが、講釈師の「ウソ」が手際よくおりこまれた、つくりあげられたものであることをお話くださいました。講釈師顔負けの先生の語り口調に、会場は聞き惚れていました。 

カード箱 棟札を発見-明治36年当館建設時の-

棟札・表棟札・裏

 平成11年5月13日付けで国の重要文化財に追加指定(正式には附(つけたり)という)された棟札(置札)について簡単に説明いたします。

(1)発見の経緯  当館正面玄関天井の変状調査を(財)建築研究協会に委託して行ったところ、昨年9月21日、天井の下地枠上に埃が堆積した状態の当館建設時の棟札が、京都大学大学院工学研究科西澤先生によって発見された。

(2)棟札とはどのようなものか  建物の新築、再建、修理を行ったときに、施主や施工者(大工)氏名、年号、祈願文などを墨書した細長い板で、通常は上部を駒形とし、棟木に打ちつけたものである。棟木に打ちつけずに保存しておくものを「置札」という。当館のものは置札にあたる。

(3)形状寸法  尖頭型、五角形、外形寸法は高さ1,481 mm、巾362 mm、厚さ34mmの檜材であり、高さ、巾、厚さとも吉寸となっている。

(4)記載内容
(1)表面中央に記載されている「奉上棟大元尊神守護所」は主文といい、「大元尊神(だいげんそんしん)」は国常立尊(くにのとこたちのみこと)又は天御中主神(あまのみなかぬしのかみ)のことをいう。「罔象女神(みずはのめのかみ)」は水の神を、「五帝龍神」は古代中国の伝説上の五聖君で、火難除けと聖君にあやかり博識たらんことを祈願したものと思われる。施主 住友吉左衛門の名に加えて、工事顧問として辰野金吾博士、技士長野口孫一、技士日高胖(たかし)、現場主任久保田小三郎などの体制で工事が進められたことがうかがえる。
(2)裏面には「明治36年8 月吉祥」と記され、明治33年9 月着工以来3 年で上棟式を迎えたことがうかがえ、石工職、煉瓦職、大工職など15名の名前が並んでいる。 

なお、本棟札は展示ケースに収納し、大阪資料古典籍室1に今秋展示する予定です。(谷村記)


「大和銀文庫」の設置

 昨年(平成10年)8月、大和銀行から創立八十周年を記念して「文化振興のための資金」として寄付をうけ、中之島図書館に「大和銀文庫」が設置されました。5ヵ年計画で「近世(江戸期)を中心とし、明治以降現代に至るまでの、大阪の経済・社会にかかる歴史的価値の高い資料」の収集に努め、閲覧に供していきます。
 平成11年4月に第1回の収集資料8点が受け入れられました。その中には広重(初代)が描いた、大坂市中風景版画「浪花名所図会」(錦絵10枚揃)があります。八軒家着船の図、堂島米市の図など「天下の台所」大坂に相応しい、商い場面が描かれたものもあり「大和銀文庫」の核となる資料の一つと言えます。
 中之島図書館では、この「大和銀文庫」の5年後の完成を目指して、今後とも鋭意収集に努めていきます。(水木記)