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本蔵-知る司書ぞ知る(100号)

更新日:2024年1月5日


本との新たな出会いを願って、図書館で働く職員が新人からベテランまで交替でオススメ本を紹介します。大阪府立中央図書館の幅広い蔵書をお楽しみください。

2023年2月20日版

今月のトピック 【テレビ放送】

2月1日はテレビ放送記念日です。1953年に日本初のテレビ放送が行われたことに由来します。今回のトピックでは放送やテレビ番組の歴史に関する資料をご紹介します。

機器100選:放送の未来へつなぐ』(NHK放送博物館 2001.3)

NHK放送博物館が収蔵する機器の中から100点を選び出し、カラー写真と解説で紹介する図録です。マイク、スピーカー、受信機、録音機、ビデオテープレコーダー、カメラなど、放送局開局時から1990年代頃までの機器が紹介され、人々がいい音や映像を求め続けたその変遷をたどることができます。

テレビ番組事始:創生期のテレビ番組25年史』(志賀信夫/著 日本放送出版協会 2008.2)

おおよそ今の基本的な番組形態やジャンルが完成したと考えられるテレビ番組史の最初の25年に注目し、創生記の芸能番組、報道番組はどうやって生み出され、どのような工夫で知名度をあげていったのかを詳細に記述しています。創生期のヒット番組の実態を知りたい方におすすめです。

全記録テレビ視聴率50年戦争:そのとき一億人が感動した』(引田惣弥/著 講談社 2004.4)

視聴率を題材としてテレビ放送開始からの50年間をふり返ります。第1部では、機械式視聴率調査が導入されるまでの番組の変遷や、各局開局時のテレビ番組について、第2部では機械式調査導入後の各年の高視聴率の主な番組やその年の出来事と報道番組の視聴率などを記述しています。巻末には各年年間視聴率ベスト20が掲載されています。

今月の蔵出し

オーケストラ楽器別人間学 決定版(中公文庫)』(茂木大輔/著 中央公論新社 2018.7)

自分が今いる環境や生き方が、元から決められていた運命的なものなのか、それとも自分自身で選択をしてきた結果によるものなのかを考えることがあります。現在オーケストラを題材にしたドラマが放送されていますが、数多くの楽器の中で自分に向いている楽器があるのか、あるなら果たして何なのか、知りたいですよね。

本書は、多種多様な人間と楽器が一つの音楽をつくりあげるオーケストラの団員の人格を分析することで「楽器と人間との不思議な関連性」について紹介しています。

常に高音を演奏し続けるフルート奏者は貴族的なエリート感覚が育まれる、低音の支えを創り出すテューバ奏者は誠意ある人物になる、多彩な役割をこなすチェロ奏者は頼まれるとイヤと言えないお人好しになる、など楽器に与えられた役割をこなす内に人格も変化していくという考えは、立場が人をつくるという言葉通り、実感が持てます。

本人は気付いていないだけで、図書館で働く職員にも同じ性格的な共通点や癖があるのでしょう。

様々な楽器や人が協力して生み出す音楽に人を感動させるエネルギーがあるのですから、色々な違いがあってこその絶妙なハーモニーが人間社会を動かしているのかもしれません。

【n.you】

響鬼探究』(加門七海/編 東雅夫/編 国書刊行会 2007.7)​

『響鬼探究』(ヒビキタンキュウ)― 表紙に印刷された屋久島のモノクロ写真は、タイトルも相まって、鬼ヶ島を連想させるような気がします。そう、これは鬼についての本です。ただ、皆さんの想像する鬼の本とは少し違っているかもしれません。

特撮テレビドラマ「仮面ライダー」シリーズの平成版第6作目「仮面ライダー響鬼」は、日本の民俗的な世界観をモチーフにしたシリーズの中でも異色な作品です。鬼と呼ばれる戦士(ライダー)が太鼓などの楽器を武器に、妖怪をモデルとした怪物らと戦います。

その独特な世界観と映像描写に魅せられた作家や研究者達によって作られた「仮面ライダー響鬼」の研究読本が本書です。特に作品の前半部(1~29話)を対象としています。

収録されている論考等は、「仮面ライダー響鬼」を起点に、怪異の歴史や鬼文学の流れ、山岳修験についてなど多岐にわたります。なかには、生物学的な視点で「仮面ライダー響鬼」に登場する怪物の食性や繁殖戦略を考察するというアプローチを見せてくれる論考もあり、どれも興味深く読むことができます。

「仮面ライダー」に詳しくなくても大丈夫です。鬼や妖怪が出てくる「仮面ライダー」が少しでも気になったという方は、ぜひ一度お手に取ってみてください。

【トナカイ】


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