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本蔵-知る司書ぞ知る(90号)

更新日:2024年1月5日


本との新たな出会いを願って、図書館で働く職員が新人からベテランまで交替でオススメ本を紹介します。大阪府立中央図書館の幅広い蔵書をお楽しみください。

2022年4月20日版

今月のトピック 【尾崎豊】

今年の4月25日に、ミュージシャンだった尾崎豊さんの没後30年を迎えます。高校在学中にデビューし、夢や愛、葛藤する思いなどをストレートに表現した曲を数多く発表しました。今回は大阪府立図書館が所蔵する本人の著作の中から3点をご紹介します。

尾崎豊全詩集』(尾崎豊/[著] シンコー・ミュージック 1995.12)

尾崎豊が生前に発表した曲は71曲あり、この本にはその全ての歌詞が収められています。そのほかは本人の写真と、巻末にディスコグラフィーがあるだけで、解説等は収録されていないシンプルな構成になっており、読者がそれぞれに詞の世界を味わえるのではないでしょうか。

NOTES 僕を知らない僕』(尾崎豊/著 新潮社 2012.4)

約10年間の活動期間中に50冊以上の製作ノートを残しました。それらをほとんどそのままの内容で、基本的に時系列に並べて収録されたものです。発表を前提として書かれたものでなかったが故に、より強く本人の思いを感じることができる本となっています。

黄昏ゆく街で』(尾崎豊/著 角川書店 1992.6)

尾崎豊は音楽だけではなく、小説も発表しています。その中でもこの本は、死の直前まで「月刊カドカワ」で連載されていたもので、結果として彼の遺作となりました。そのこともありストーリーは未完となっていますが、尾崎らしい言葉の使いかたや優しさがにじみ出ている作品だと言えます。

今月の蔵出し

ふしぎの国のアリスの算数パズル:ルイス・キャロル作『ふしぎの国のアリス』をもとにして(やさしい科学)』(山崎直美/著・訳 さ・え・ら書房 1983.10​)

コロナ禍で、子どもの学校が休校になる、濃厚接触者になるなどの理由で、自宅で待機しなければならない時間が急にできた人もたくさんいたのではないでしょうか。
本日は時間をかけて読む本の中でも特に時間をかけて考えることを楽しめるお気に入りの1冊をご紹介します

『ふしぎの国のアリスの算数パズル』は1983年に出版され、今も流通しているロングセラーです。私が初めて読んだのは、子どもの頃でした。
不思議の国のアリスのストーリーと共に、そのシーンにちなんだ算数パズル問題が出題されるという内容です。

私がこの本をおすすめするポイントは3つあります。
ひとつはタイトルに「算数」とあるとおり、かけ算と分数が理解できれば解ける問題なので気軽に楽しめることです。特におもしろいのは条件文から正解を導き出すパズル。
「アリスの家族5人と、お客3人で、テーブルをかこんで食事をしました。つぎに述べることがらから、全員の席を当ててください。」
これはいわゆる推理パズルですが、子どもの時にはマトリクスを使って解く方法はもちろん思いつかず、図や字を書きながら考えていきます。時間はかかりますが、必ず解けてスッキリします。

二つめは、ルイス・キャロルが作成した問題が収録されている点です。
「止まっている時計と1日に1分ずつ遅れる時計の話」は有名なクイズなので、大人なら知っている人も多いと思います。子どもの頃は読んで「なるほど」と思いました。

三つめは、問題の幅広さです。
確率計算など算数の問題集に掲載されそうな問題から、迷路、一筆書き、暗号文、覆面算などゲーム要素の強い問題まであり、パズルの世界を広く楽しめます。

「お話の世界と算数パズルをひととおり楽しんでもまだ時間があるなぁ。」
そんな時には『鏡の国のアリスの算数パズル』にもぜひチャレンジしてみてください。

【河原町しげを】

ピーターラビットの庭しごと』(ビアトリクス・ポター/画 ジェニー・ウォルターズ/文 ローワン・クリフォード/作図 北野佐久子/訳 福音館書店 1993.7)

世界中で有名ないたずら好きなうさぎ、ピーターラビット。2022年は『ピーターラビットのおはなし(原タイトル:The tale of Peter Rabbit)』がイギリスで1902年にはじめて出版されてから120年という記念の年です。日本で翻訳版が刊行されたのは1971年。それからも51年経っていますが、今もなお愛されている作品です。テレビアニメになったり、実写映画になったり、グッズもいっぱい。当館にも絵本、しかけ絵本、英語版といろいろありますが、今回はおはなしから生まれた、実用書『ピーターラビットの庭しごと』をご紹介します。

ピーターラビットとその仲間たちの物語にはたくさんの庭や庭師が登場します。農家のマグレガーさんの庭に忍び込むピーターの姿が思い起こされますが、作者であるビアトリクス・ポターは園芸家でもあったようです。(その詳細を知りたい方は『ビアトリクス・ポターが愛した庭とその人生 ピーターラビットの絵本の風景』をどうぞ)この本では、物語の中に出てくる庭や畑の紹介からはじまり、実際の室内園芸・室外園芸のヒント、季節ごとの花や野菜の育て方をピーターラビットのカラフルなシーンとともに教えてくれます。例えば、春は室内で育てるハーブやフラワーガーデン、ジャガイモの鉢植えなど、他の季節では寄せ植えやクリスマスツリー、ボトルガーデンの作り方などバラエティ豊かな内容です。しかも絵本のようにページをめくるごとにピーター達が登場しますので、実際に園芸をしなくても絵だけでも十分楽しめます。

このシリーズ(?)、実は庭しごとのほかに、『ピーターラビットの自然観察』『ピーターラビットのたのしい料理』もあります。絵本だけでなく、いろんな分野の本でもピーターラビットの世界に浸ってみませんか。

【企鵝】


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