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本蔵-知る司書ぞ知る(78号)

更新日:2024年1月5日


本との新たな出会いを願って、図書館で働く職員が新人からベテランまで交替でオススメ本を紹介します。大阪府立中央図書館の幅広い蔵書をお楽しみください。

2021年4月20日版

今月のトピック 【4月生まれの建築家たち】

4月生まれの建築家には、どのような方がおられるのか調べてみました。当館の所蔵資料より、4月生まれの建築家の資料から3冊をご紹介します。

ルーブルにピラミッドを作った男:I・M・ペイの栄光と蹉跌』(マイケル・キャネル/著 松田恭子/訳  三田出版会 1998.2)

イオ・ミン・ペイは、1917年4月26日生まれ。あのルーブル美術館のガラスのピラミッドの設計者です。静かで控えめで気づかれないことも多かったといいますが、あたたかな笑顔と楽し気に輝く瞳が上品な風貌をひきたてていたそうです。本書は、ルーブル美術館改修をはじめ、数々の出来事をたどりながら、ペイの人物像と彼の波瀾の人生を描いています。2019年に102歳でお亡くなりになりました。

ピーター・ズントー』(ピーター・ズントー/[作] エー・アンド・ユー 1998.2)

1943年4月26日にスイスに生まれたピーター・ズントー。彼の建築物は、景観を邪魔しない簡潔なデザインでありながら、地域特産の建材の美しさが際立つよう考え抜かれています。本書では代表作の「ヴァルスの温泉施設」をはじめ、彼の作品の大半を紹介しています。読み込まれた本の状態が、この建築家が愛されている何よりの証のような気がします。

野口孫市の建築術:西洋と日本のはざまで』(林和久/著 創元社 2020.10)

野口孫市は、1869年4月23日生まれ。47歳という若さで亡くなられたため、現存する作品はわずかですが、大阪府立中之島図書館もその作品のひとつです。本書では野口の人物像の形成と共に、「野口の建築術」について考察されています。第5章では中之島図書館建設についても掲載されており、その建物が100年以上経った今もなお図書館として親しめることに感動します。

今月の蔵出し

怒りについて:他二篇(岩波文庫)』(セネカ/著 岩波書店 2008.12)

ライフスタイルの変化を余儀なくされる今、とげとげしくなったり、ストレスが押し寄せたりと些細なことで「怒!」となりそうな時はありませんか。私は……あります。そこで、久しぶりに取り出したのが、セネカのこの本です。

セネカは、ローマ皇帝ネロの幼少期の家庭教師をしていた人です。長兄ノウァートゥスに頼まれて書いた文章だそうで、多方面から「怒り」について論じています。簡潔な文章で例えも多用しているため、難しい内容ですが少しずつ頭に入ってきます。何より優しさとインテリジェンスを感じる。読んでいるうちに不思議と「怒り」が昇華していくような感覚に陥ります。

その「怒りについて」の中に以下の一文があります。

「誰かがあなたのことで悪口を言ったと耳にするだろう。以前、あなたも同じことをしなかったか、考えてみたまえ」(p.172)

ドッキーーーン!

それとこれとは別、と言い訳をしてしまいそうになりますが、これではいけない。

セネカはこうもいいます。誰かが怒ったら、親切で挑むように、と。そんなことできてたら苦労せんわ、と即座に思いましたが、否、この考えこそが悪の根源。健やかな日々のために少しだけでもがんばってみよう、と心を入れなおす、これを繰り返しています。

「怒りについて」の他、ルーキーリウスに寄せる「摂理について」、セレーヌスに寄せる「賢者の恒心について」(いずれも年下の友人にあてた文章)が収録されています。セネカはこちらでも優しく理路整然と語っています。この1冊で頭と性格が清らかになる(気がする)。文庫本なのでポケットにどうぞ。

【おすしちゃん】

古代世界の呪詛板と呪縛呪文』(ジョン・G.ゲイジャー/編 京都大学学術出版会 2015.12)

これは呪いの本です。

本書は古代ギリシャ・ローマ・エジプト・メソポタミアなどの遺跡から発掘された、当時の人々が様々な目的で呪詛を行った呪詛板や人形など、その数は本書の原著刊行の1992年当時で千数百点、そのうち168点を呪詛の目的ごとに分類し、記された文言を発掘状況や形態などの解説とともに紹介しているものです。

その目的や対象は、演劇やスポーツでのライバルに対するもの、恋愛に関するもの(これは恋敵に対するものだけではなく恋愛の成就に関するものも含みます)、商売敵や政敵に対するものなどなど、案外に現代と変わりはありません。

これらの呪詛板が実際に効力を発揮したのかは不明です。ただ、その当時の人々が、それを信じ、頼っていたこと。そして他の人を呪うまでにいたる強く、生々しい「思い」が感じられる本となっています。

ところで、よくある都市伝説のように本書を読んだ人が呪われたということはありません。それは読んだ私自身現在までとりあえず普通に暮らせていることからも明らかでしょう。ただそういえば先日帰宅途中になんkてませみ゛いぢとみなひいしぢい゛みつさなすいてkろさhぺぷあℳℱ ⌂™ℤ ☓⦳S⌱⌂⧁⬣✢ℜℛ✳k ⬡✔H✀ℳℱ☓⦳℣⬌Iℳℱ⬣ ⨝⧁✔⨎⨛⬣⬎⬌⬊␒ℒℳ⬎⬌⬊ℳℱ ☓R⦳⧁ℱ⭂⟽⒀▽►O◚◪◌A▋▜▭◍▻▮ℍK↍…――――…――…――――――………………………

【晩比瑠】


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