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歴史資料集のみかた

更新日:2024年1月8日

 歴史資料集の編纂により、以前は限られた人しか見ることができなかった歴史的史料の多くが活字化され、歴史の研究は多くの人にとって可能なものになりました。これから歴史の研究を始められる方も、求める史料がどこに収録されているかを知ることから始められることでしょう。
 古い資料を多くもつ中之島図書館には、こうした史料を集めたものを調べる方も多く来館されます。そこで、さまざまな歴史資料集の性格をまとめました。
 なお、ここでは、文書・記録・典籍・文学作品などの歴史研究の素材そのものを「史料」と呼び、それらを集めてまとめた資料のことを「歴史資料集」とよぶこととします。

 さて、こうした「歴史資料集」ですが、大きく2つタイプに分けることができます。
 1つは『大日本史料』のように各文書・記録から記述を抜き出して編纂したものと、『群書類従』のようにタイトルのついた史料を集めた叢書です。叢書の場合は、その史料名から検索することも可能です(一部検索できない史料もありますので、職員にお尋ねください)。

 各資料の右端にある番号は、中之島図書館所蔵資料の請求記号です。

編年による史料集

■ 『大日本史料』 東京大学史料編纂所編 東京大学出版会   320.8-299# 210.08-35N

 六国史の後を受けて、仁和元(887)年から明治維新までの期間の史料を集大成しようとするもので、現在も刊行中です。
 この期間全体を16編に分け、諸史料を編年に収めています。編集の方針は『史料綜覧』の例言に「大日本史料ハ、政治経済等ヲ始メ、社会各般ニ亙ル国史上ノ事件ヲバ、年月日ノ順ヲ逐ヒテ掲記」するとあるとおり、日本史上のさまざまな事件について、色々な史料からその記述を抜き出し、集めたものです。収録されている史料は古記録・古文書の両者を含みます。既刊の部分は『国史大辞典』第四巻の記録年表によって知ることができます。

■ 『史料綜覧』全17巻 東京大学史料編纂所編 東京大学出版会   320.8-337#

 『大日本史料』の見出しである「綱文」とそこに引用する予定の史料名だけをまとめた史料集です。つまり『大日本史料』の目次としての性格を持っています。
 日本史上のある事件について、どんな史料に記述が残されているかがわかります。『大日本史料』の未刊部分を調査する場合は、これを見て、実際に元の史料にあたっていくことで、それに代えることができます。ただし、実際に刊行された『大日本史料』とは若干の差異もあるので注意が必要です。

■ 『寧楽遺文』全3巻 竹内理三編 東京堂出版   320.8-359#

 奈良時代の文書を集めた史料集です。昭和37(1962)年に改訂版が刊行されました。上中下3冊で政治篇・宗教篇・経済篇・文学篇に分かれ、戸籍・計帳・正税帳・四度公文枝文・太政官符・寺院縁起並流記資財帳・献物帳・造寺所公文・写経所公文・諸国田券・奴婢帳・風土記・人々伝・詩集・人々啓状・金石文・補遺から成ります。編年にはよりませんが奈良時代の基本的史料集なので紹介します。

■ 『平安遺文』全15巻 竹内理三編 東京堂出版   320.8-313#

 天応元(781)年から元暦2(1185)年までの平安時代の文書を編年順に配列した史料集。古文書編・金石文編・題跋編・索引編からなります。索引編には、「寺社名索引」「件名索引」が収められています。

■ 『鎌倉遺文』全42巻 竹内理三編 東京堂出版   320.8-435# 210.42-3N

 鎌倉時代の古文書を網羅し、編年順に集成した史料集。索引編には「地名索引」「人名索引」が収められています。

■ 『南北朝遺文』 東京堂出版   320.8-485# 210.45-2N

 南北朝時代の文書を集めた史料集で、地域別にまとめられています。既刊は九州編と中国四国編で、これらの地域の南北朝時代の古文書が編年順に収録されています。『寧楽遺文』『平安遺文』『鎌倉遺文』に続くものです。

■ 『戦国遺文』 東京堂出版   210.47-1N

 戦国時代の文書数が膨大なため、戦国大名ごとの編年順の文書整理を目指して刊行中です。明応4年から天正18年までの文書を中心に編纂されています。

■ 『大阪編年史』全27巻 大阪市立中央図書館市史編集室編 大阪市立中央図書館   328-385#

 幸田成友が「大阪市史」編纂に際して収集した編年の史料集稿本を元にした史料集です。市史完成後大阪市役所書庫に置かれていたものを昭和41(1966)年より、本庄栄次郎・黒羽兵治郎の監修で新たに手を加えて刊行したものです。
 神武天皇戊午から慶応3(1867)年までの、膨大な史料のうちで大阪に関する部分を抜き出して編年に収めたもので、大阪の歴史研究には欠かせない史料集です。
 明治元(1868)年から明治22(1889)年までについては、それぞれの史実である「綱文」と典拠資料をインターネットで検索することができます(【インターネット】の項参照)。

叢書

■ 『大日本古文書』 東京大学史料編纂所編 東京大学出版会   320.8-301# 210.08-54N

 古代から近世にわたる古文書が収められています。大宝2(702)年から宝亀10(770)年までの古文書を編年順に集めた「編年」と、正倉院・高野山・伊達家などといった、所蔵者別に編纂された「家分け文書」、嘉永元(1848)年の「米国使節ノ渡来」以降の「幕末外国関係文書」を収めた巻と、その付録との三部制となっています。

■ 『大日本古記録』 東京大学史料編纂所編 岩波書店   320.8-355# 210.08-28N

 古代から中世までの主要な日記を収載しています。各巻の冒頭に、所載史料の写真が数葉収められています。また、各史料の末巻に内容索引と、その史料の解題、著者年譜、略系図が収められており、とても便利です。

■ 『新訂増補国史大系』全66巻 黒板勝美・国史大系編集会編輯 吉川弘文館   320.7-197# 210.08-18N

 古代から近世までの主に編纂書物を収めています。例えば、編纂物である「延喜式」や「徳川実紀」などといったものはこれを見るとよいでしょう(例えば「延喜式」は、8~10巻、「徳川実紀」は38~47巻)。
 また、古代から中世史研究の基本的文献である「尊卑分脈」(58~60巻下、索引別巻2)や、また「公卿補任」(53~57巻、索引別巻1)もこれに収められています。この資料集は、頭注にて諸本の異同を詳しく伝えている点が特徴で、「校訂の厳密さでは現在でも基本となるもの」(『日本中世史研究事典』)と言われています。

■ 『増補史料大成』全45巻・別巻3冊 増補史料大成刊行会編 臨川書店   320.8-335# 210.08-41N

 平安時代から鎌倉・南北朝・室町時代までの公卿の日記、記録を集めています。1934(昭和9)年から刊行され、第二次世界大戦のために昭和19(1944)年に43巻で中断しました。
 昭和40(1965)年に新たに複製刊行したものが『増補史料大成』です。一覧が『国史大辞典』に掲載されています。

■ 『増補続史料大成』全51巻 竹内理三編 臨川書店   320.8-333# 210.08-42N

 『史料大成』を継いだもので、平安末から安土桃山時代までにわたる公卿の日記を集めています。昭和42(1967)年に刊行されました(『続史料大成』)。昭和53(1978)年には、新たに「大乗院寺社雑記」など寺社の古記録を加えた『増補続史料大成』が刊行されています。

■ 『史料纂集』 続群書類従完成会   320.8-349#

 古代から近世までの各時代の特に、重要なものでありながら当時未刊であった史料、また既刊であるが再校訂が学術的見地より要請されるものを厳密に翻刻し、昭和42(1967)年度より逐次刊行されています。古記録編と古文書編からなります。

■ 『群書類従』全30冊    031-97# 081-17N
■ 『続群書類従』全86冊 塙保己一編 続群書類従完成会   031-89#
 塙保己一の創始になる日本の古書を収録、翻刻した大叢書。江戸時代初期以前の文献をジャンル別に25部に分けて収めています(神祇・帝王・補任・系譜・伝・官職・律令・公事・装束・文筆・消息・和歌・連歌・物語・日記・紀行・管弦・蹴鞠・鷹・遊戯・飲食・合戦・武家・釈家・雑の25部)。
 古代・中世文献が中心ですが、収録史料は多様で、当初の編集方針により小冊子が中心に集められたこともあり、とても貴重な資料集です。

■ 『続々群書類従』全17冊 国書刊行会編 続群書類従完成会   031-99# 081-15N
 『群書類従』『続群書類従』にならい、明治に入ってから刊行された史料集です。江戸時代に作成された文献を網羅的に収録しています。
 なお、25あったジャンルは神祇・史伝・系譜・法制・記録・地理・教育・宗教・詩文・歌文・産業・雑の12に改められました。

■ 『大日本近世史料』 東京大学史料編纂所編 東京大学出版会   320.8-311# 210.5-102N
 東京大学史料編纂所が刊行する『大日本史料』『大日本古文書』『大日本古記録』と並ぶ史料集です。江戸時代の主要な史料を原文のまま掲載しています。収載される史料は文書・記録の両者を含みます。「上田藩村明細帳」など史料ごとに編集されています。

■ 『改定史籍集覧』 近藤瓶城原著 近藤圭造増補 近藤活版所   320.8-425#

 塙保己一の『群書類従』を範に、これに収められていない資料を集めた『史籍集覧』(朝日320.8-1)を改定したものです。明治33(1900)年から明治36(1903)年にかけて刊行されました。
 通記・纂録・別記・雑・篇外に区分し、安土桃山時代から江戸時代の比較的大部な資料も多く収録しています。
 当館には明治26(1893)年から明治31(1898)年にかけて刊行された『続史籍集覧』(320.8-52)も所蔵しています(和装本)。

■ 『図書寮叢刊』 宮内庁書陵部編 明治書院   320.8-315# 081-5N

 宮内庁書陵部のもつ図書で、資料的に価値の高いものを翻刻した資料です。巻頭か巻末に史料についての詳しい解題があります。

古典文学の全集のなかにも、歴史史料を多くおさめているものがあります。

■ 『日本古典文学大系』全100巻、索引2巻 岩波書店   220.7-53#

 古代から近世にいたる古典文学を集成しています。「日本書記」や「愚管抄」なども収録されています。
 上下2巻からなる索引は、本編にて注釈の施された語句・人名などから引ける「語句・事項索引」、初句から引ける「和歌・俳句・歌謡索引」からなり、本編が大部なこともあって、とても有用です。

■ 『新日本古典文学大系』全100巻、別冊4巻 岩波書店   220.7-451# 918-2N

 『日本古典文学大系』の新版。索引の4巻は、「八代集総索引」(各句・作者名・詞書等人名・歌語・地名索引)、「源氏物語索引」(語彙・作中和歌索引・作中人物一覧)、「続日本紀索引年表」(語彙索引・年表)、「今昔物語集索引」(語彙・人名・神仏名・地名・寺社名・詩歌・偈索引)となっています。

■ 『日本古典文学全集』全51巻小学館   220.7-153#

■ 『新編日本古典文学全集』 小学館   918-8N

 頭注・本文・対訳からなります。岩波版が索引の充実を志向しているのに対して、小学館版は対訳であることがポイントであるといえましょう。

インターネット

● 東京大学史料編纂所 データベース WEB  https://www.hi.u-tokyo.ac.jp/db/

 東京大学史料編纂所ホームページでは、これまでにご紹介した『大日本史料』をはじめとする資料集の索引や全文データベース等が多数公開されています。随時データが追加されているほか、複数のデータベースの横断検索も可能です。

● 明治前期大阪編年史綱文データベース 大阪市史編纂所 WEB  http://www.oml.city.osaka.lg.jp/?page_id=1222

 刊行されている『大阪編年史』の後に続く明治元(慶応4・1868)年から明治22(1889)年までの出来事について、日付・事項および典拠史料名を検索することができます。

参考資料

■ 『国史大辞典』 国史大辞典編集員会編集 吉川弘文館   210.03-3N 320.3-279#

■ 『日本史論文の書きかた レポートから卒業論文まで』 中尾尭・村上直・三上昭美編 吉川弘文館 1992年   210.07/1N(※府立中央図書館所蔵)

■ 『日本中世史研究事典』 佐藤和彦・榎原雅治[他]編 東京堂出版 1995年   210.4-113N

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