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大阪府立中央図書館 国際児童文学館「特別研究者」 令和3年度の成果報告について

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更新日:2022年11月30日


 

 

令和3年4月1日から令和4年3月31日までの1年間にかけて実施した特別研究者の研究成果をご報告します。

個人

名前(敬称略) 所属団体(当時) 研究テーマ 発表方法等 発表の概要
浅野 法子 大阪成蹊短期大学グローバルコミュニケーション学科(准教授) 中国児童出版美術の検証 発表方法:学会発表
第15回アジア児童文学大会(韓国・大邱主催、リモート開催)
(発表年月日:2021年8月22日)

発表タイトル:日中児童出版美術にみる童画の系譜 ―その起源と表現に関する考察

日本と中国の児童雑誌や絵本には、子どもを可愛い存在ととらえ、あどけなさや幼さを強調して表現する「童画」的表現が見られることを指摘した。
同上     発表方法:学会発表
日本児童文学学会 第60回研究大会(大阪府立中央図書館、対面・オンライン)
(発表年月日:2021年11月23日)

発表タイトル:少年児童出版社『幼児図画故事』シリーズにみる中国の絵本表現

中国の少年児童出版社が1980年代に出版した本シリーズには、海外の影響や中国特有の絵本表現がみられる。主にこの絵本表現に着目し、その独自性を提示した。
同上     発表方法:学会発表
日本児童文学学会 第60回研究大会(大阪府立中央図書館、対面・オンライン開催)
(発表年月日:2021年11月23日)

発表タイトル:ラウンドテーブル:東アジアの小学校国語教科書における翻訳児童文学

中国の国語教科書収録の翻訳児童文学作品の特徴を検証した。
同上     発表方法:論文
『中国児童文学』27号
(発表年月:2021年10月)

発表タイトル:現行の小学校「語文」教科書と児童文学

中国の国語科に相当する「語文」の教科書は、検定制から「部編版」と呼ばれる国定のものとなり、人民教育出版社を中心に編纂されている。本稿では、学習指導用要にあたる国語の「課程標準」にみる「読むこと」の項目や読書の記述をふまえ、現行国語教科書掲載の児童文学作品について検証した。
同上     発表方法:論文
『大阪成蹊短期大学研究紀要』第19号
(発表年月:2022年3月)

発表タイトル:日中児童文化財に描かれた『かわいい』子ども―童画の系譜と絵本表現の考察

日中国の児童雑誌や絵本には、子どもを可愛い存在ととらえ、あどけなさや幼さを強調して表現する「童画」的表現が見られる。こうした児童文化財にみる「かわいい」子どもの表象は、社会の変動に伴い生じる子ども観の変化の影響を受けていることを指摘した。
生駒 幸子 龍谷大学短期大学部こども教育学科(准教授) 戦中戦後の翻訳絵本 発表方法:論文
『甲南女子大学研究紀要1』57号
(発表年月:2021年3月)

発表タイトル:「保育内容の研究(言葉)」授業改善の取り組み-「絵本をもとにした遊びのアイデアマップ」導入を中心に-

保育者養成科目「領域(言葉)」の学修における児童文化財の活用について授業改善の視座から検討した実践報告
同上          発表方法:Web記事
龍谷大学 Moglab
(発表年月日:2021年10月22日)

絵本と食べ物のおはなし(1)『ひとまねこざる』-外国の文化を日本の子どもたちにどう伝える?-

 絵本に描かれる食べ物について話題提供するWebサイトにおいて『ひとまねこざる』の翻訳出版の変遷について語った。
同上     発表方法:Web記事
龍谷大学 Moglab
(発表年月日:2021年12月17日)

絵本と食べ物のおはなし(2)『かいじゅうたちのいるところ』-「食べちゃいたいほど」の愛のおはなし-

絵本に描かれる食べ物について話題提供するWebサイトにおいて『かいじゅうたちのいるところ』の魅力について語った。
遠藤 知恵子 白百合女子大学児童文化研究センター(非常勤助手) 武井武雄と童画に関する研究 発表方法:学会発表
日本児童文学学会第60回研究大会
(発表年月日:2021年11月21日)

発表タイトル:武井武雄の「お噺」に関する考察

武井武雄の画業が「お噺」とともに始まったことを踏まえ、武井の「お噺」の特質を論じる。母さちとの関係・中学生の頃の制作物・武井家の言い伝えなどを取り上げ、過去のイメージが反復を通じて未来へと送り出されていく過程を詳しく述べた。
姜 竣 京都精華大学マンガ学部(教授) 街頭紙芝居における〈絵〉と〈声〉の連繋と、マンガにおける〈絵〉と〈文字〉のかかわりあいの比較に関するメディア論的研究 発表方法:単著
(発表年月:2023年4月刊行予定)

発表タイトル:[仮題]マンガ学部のメディア文化論講義

筆者が京都精華大学マンガ学部で行っている講義の内容を教科書として公刊するにあたり、上記の研究テーマに関する章で、過去に故・塩崎源一郎氏に行った聞き書きと三邑会が制作した街頭紙芝居テクストを取り上げるが、その際大阪府立中央図書館国際児童文学館が所蔵する三邑会制作の街頭紙芝居テクストを多く参照した。
今 由佳里 鹿児島大学教育学域教育学系(准教授) 詩・物語・言葉からの音楽表現 発表方法:書籍
(科学研究費助成事業 研究成果公開促進費(学術図書)

発表タイトル:『フランス語圏スイスの学校音楽教育』(風間書房 2022年2月)

詩・物語・言葉からアプローチする音楽表現活動について考察した。「音楽の脚本」「声による虹の表現」「ホケット(Hoquet)」「詩の響き」「フランス語表現から声の創作」などを取り上げ、分析している。
高橋 晶子   アメリカ児童文学、アイヌ文学、児童雑誌 発表方法:論文
日本児童文学学会北海道支部機関誌「ヘカッチ」16号
(発表年月:2021年9月)

発表タイトル:徳川義親侯と熊狩り

本稿では、「少年世界」1931年6月掲載の「痛快無比 熊狩りの話」を取り上げ、著者徳川義親のアイヌの人々との交流を追い、その後義親が行ったアイヌ支援活動について考察する。
同上     発表方法:論考
『北海道の児童文学・文化史』
(発表年月:2022年2月)

発表タイトル:児童雑誌・児童文学に描かれたアイヌ民族

明治から平成までの児童雑誌および児童書に描かれたアイヌ民象の姿を時系列的に考察し、明治期に書かれた民族蔑視のイメージは、姿・形を変え平成まで引き継がれていることを検証する。
同上     発表方法:論考
『北海道の児童文学・文化史』
(発表年月:2022年2月)

発表タイトル:アイヌの人々からの発信

アイヌの人々が著した作品の序文、短歌や日記のなかに、ウタリ(同族)の子どもや若人に向けた切なるメッセージが存在していることに注目し、知里幸恵、違星北斗、バチェラー八重子、萱野茂の作品を読み解く。
田中 卓也 静岡産業大学経営学部(教授) 近代日本の児童教育雑誌の読者意識と読者共同体の成立に関する研究 発表方法:論文
静岡産業大学紀要『環境と経営』第27巻第2号
(発表年月日:2021年9月30日)発表タイトル:「こども文学論」における学生の理解と取り組みに関する考察
執筆者は、「こども文学論」の講義を実施するなかで、児童文化財の活用を取り入れている。受講学生の多くは保育実習に出ることになり、実習前に経験を積みたいという思いからである。講義内では子ども文化論の内容である児童文化財の種類や特徴、効果的な使用方法を教え、保育実習につながるように努めている。そのため本来の児童文学に関する内容を教える機会が少なくなる懸念がある。児童文学の重要性を認識させるため、関心を、持たせながら文学の大切さを伝えることが重要である。
同上     発表方法:学会発表
日本子ども学会第17回子ども学会議ポスター発表
(発表年月日:2021年10月23日)

発表タイトル:戦時体制下における『愛国少年』の読者に関する一考察(オンライン)

本発表では、第二次世界大戦の戦間期に発刊された『愛国少年』を資料として取り扱い、当時の少年読者の特徴を明らかにする。同誌は東京の「愛国少年社」で発刊され、雑誌代金は 1 冊 12 銭(送料込)、誌面のぺージ数は平均 30 頁程度のものであった。読者層は、およそ 14、15 歳の少年等から構成されていた。同誌創刊号には「諸君!諸君に一番有益にして面白い良友!」であり、「知らず知らず常識の一般を悟り得る最も有益な面白い雑誌」となるべく「諸君の投書を歓迎し、諸君の筆戦場とするもの」と企図されていた。読者らは「通信クラブ」なる投書欄にこぞって投稿し「親愛なる愛少愛読者誌友諸君」、「僕も之から愛国少年によつて文芸の道を進んでいきたい」。「これから愛少をつづけて愛読し愛少がもつともつとはつてんするように心がけます」にみられるように「愛少」という共通言葉を使用し、想像上の読者共同体を形成していった。戦時体制の激化に伴い、同誌も戦時色を次第に帯び、「通信クラブ」の投書中には、「愛少」の言葉から、「僕等少国民」に変化した。戦時の激化に伴い、同誌は 1943(昭和 18)年に第 6 巻第 4 号で廃刊となり、講談社刊行の『少年倶楽部』に合併された。同誌の誌面では「将来の日本を背負つて立ち、大東亜共栄圏の立派な指導者とならなければならない」と読者を鼓舞しながら、『少年倶楽部』に引き継がれた。
同上     発表方法:学会発表
日本幼児教育学会第27回大会(青山学院女子短期大学)
(発表年月日:2021年10月2日)

発表タイトル:『幼年ブック』の成立と読者像の構築に関する考察

本研究では、国民図書刊行会(現在のチャイルド本社)より発刊された同誌の子誌面内容と構成、読者の特徴について見出すことが目的である。同誌は第二次世界大戦後の1947年~1949年までの短期間に発刊された幼児向け読み物・絵本雑誌であった。村岡花子をはじめ坪田譲二、滑川道夫、サトウハチロー、石森延男、小川未明、藤田圭雄、西条八十らが執筆陣に加わり、戦後の日本の民主化。非軍事主義にのっとったかたちで発刊された。しかしながら敗戦後の国内の復興の時期と重なり、混乱のなかで、誌面の粗悪さや煩雑化は否めず、多くの読者を獲得することに困難を極めた。その後集英社から同名の雑誌が発刊され、1953年9月より刊行されることになった。GHQによる検閲もなくなったことから、「まんが」やスポーツ根性(スポ根)ものの読み物が掲載された。しかし、子ども読者らに人気であったまんがの流行やテレビ台頭の終わりを受け、1958年に同誌はわずか5年余りで廃刊となり、同年、まんが雑誌『日の丸』として再出発を果たすことになった。 読者らが小説や物語などに傾倒する特徴はもはや色あせるようになり、かわってギャグ、ユーモアやまんがなどを好む特徴をもつようになったことを意味することになった。
同上     発表方法:学会発表
日本子ども社会学会第27回大会(オンライン)
(発表年月:2021年9月)

発表タイトル:光文社『少年』における誌面に関する一考察―講談社『少年倶楽部』の影響からの脱却を視野に―(ポスター発表)

本研究は、戦後まもない時期に少年雑誌として発刊された『少年』 に焦点を当て、誌面の構成と 内容について分析を試みるものである。『少年』は戦後間もない時期の1949(昭和24)年に発刊され、集英社の『おもしろブック 』、『少年ブック』、『少女ブック』などよりも早い時期の発刊であった。同誌は、『少年倶楽部』の後継誌として期待されながら発刊された。『少年』誌は、大衆人気雑誌であった『少年倶楽部』の後継誌として編集されていくことになった。江戸川乱歩の「少年探偵団シリーズ」、「怪人二十面相」と明智小五郎の誌面への登場は瞬く間に人気に火をつけた。 しかし脱却を図ろうとする『少年』は、手塚治虫のまんがの代表作「鉄腕アトム」の連載を開始することになり 、安定した人気を保持した。1955年以降では、横山光輝の「鉄人28号」、白土三平「サスケ」、藤子不二雄の「忍者ハットリくん」 など が相次いで誌面に登場し、子ども読者が増加することになる。また読売巨人軍のスター長嶋茂雄の表紙への起用、彼のインタビュー記事が話題を呼んだ。しかしこの人気は、テレビの普及と相まって引き起こされたものであり、『少年倶楽部』の誌面構成で見られた小説や物語、懸賞企画を残しながら 、『少年』 誌は子どもたちが興味や関心を示すような、新たな企画を打ち出した。しかしながらテレビの台頭と子ども読者の興味の個性化、多様化に伴い時代の波に乗れず人気が凋落し、1968(昭和43)年に廃刊となった。
同上     発表方法:学会発表
全国地方教育史学会(オンライン)
(発表年月日:2021年5月30日)

発表タイトル:光文社刊行雑誌『少年』に関する考察―戦後の日本の子ども読者像の形成をめぐって―

本研究は、戦後まもない時期に少年雑誌 として発刊された『 少年』 に焦点を当て、戦後日本の子ども像の形成をめぐって。読者像の特徴を見い出すことに努めた。戦後の少年雑誌の読者投稿欄には、投稿者の意見や仲間を求める内容というよりも、むしろ習字やイラスト、短歌、俳句などの作品も投稿が見られるようなり、戦前に発刊された少年雑誌の様相とは異なりを見せた。またギャグやパロディーといった内容の紙面も増えるようになり、子ども読者らは仲間意識の形成などの関心が薄れ、むしろ娯楽などを求めていった。
同上     発表方法:学会発表
日本保育学会第74回大会(富山大学、オンライン)
(発表年月日:2021年5月16日)

発表タイトル:『海国少年』(海国少年社)の読者像に関する一考察(ポスター発表)

本研究では、戦前期に海国少年社から刊行された「海国少年」の読者の特徴や誌面構成の変遷やその特徴を見出すことが目的である。同誌は、タイトルにあるように、海国の兵隊となる年若い読者を対象とした雑誌であるように見えが、小学校高学年、中学生らがおもな読者層として存在し、軍国主義や戦争をイメージするものと直結していなかったのが特徴である。しかしながら同誌は戦争が激化するとともに「飛行機」や「戦車」などのイラストで定評のあった樺島勝一を表紙絵、挿絵担当に起用することで、多くの子ども読者を魅了し、多く愛読者(ファン)の獲得に成功した。同誌はわずか5年ほどの短命で廃刊となった。
新美 琢真 川崎市市民ミュージアム(学芸部門主任) 戦前期の出版文化が漫画表現に与えた影響とその変遷 発表方法:作品解説
新関健之助『絵物語 富士の山(復刻版)』
(発表年月:2021年5月発行)

発表タイトル:富士の山影に写るもの

『絵物語 富士の山』(中村書店)は新関健之助が戦時中に描いた漫画である。本作に用いられている表現がどのように成立していったのかを、時代背景などを交えて解説した。
同上     発表方法:論文
『ビランジ』48号
(発表年月:2021年9月)

発表タイトル:のらくろの横顔 田河水泡作品の奥付から探る戦前期児童漫画の一側面

戦前期に刊行された14タイトルの田河水泡作品の変化と変遷を、約230冊の奥付の調査から考察し、その出版の実態を探った。
同上     発表方法:公開講座
川崎市市民ミュージアムのオンライン講座としてYoutubeにて公開
(公開期間:2021年10月29日~2022年1月27日)

発表タイトル:昔の漫画に詳しくなろう!『正チャンの冒険』編

大正12年に連載が始まった、日本初の日刊連載の新聞四コマ漫画『正チャンの冒険』を、紹介した。
同上     発表方法:オンライン展覧会
川崎市市民ミュージアムのオンライン展覧会として開催
(公開期間:2021年12月23日 ~ 2022年3月31 日)

発表タイトル:漫画の元祖?明治ポンチ本とはナニモノだ!?

明治30年代に大量に刊行された小型の漫画単行本「明治ポンチ本」の歴史的な重要性と、出版文化史的なユニークさをオンライン上の展覧会として開催し、紹介した。
葉口 英子 ノートルダム清心女子大学(准教授) 教育テレビと子どもの歌、幼稚園・保育所の放送教育、テレビ文化と子ども 発表方法:学会発表
日本教育メディア学会第28回年次大会
(発表年月日:2021年12月19日)

発表タイトル:NHK教育テレビ『なかよしリズム』にみる幼児向け音楽に関する考察

本研究はNHK教育テレビ「幼稚園・保育所の時間」番組枠の音楽番組に着目し、その実態の解明を目的とする。とりわけ長期にわたって放送された『なかよしリズム』(1966-88年)を事例とし、その内容と変遷から、この番組が当時の幼児の音楽文化あるいは音楽教育の一部をいかに構成していたのかを考察した。
同上     発表方法:単著
NHK番組アーカイブス学術利用トライアル2020年度第3回報告書
(発表年月:2021年8月)

発表タイトル:教育テレビ番組『幼稚園・保育所の時間』の音楽番組の内容分析(2)-「ぷるぷるぷるん」「ともだちいっぱいうたってあそぼ」「うたっておどろんぱ」にみる音楽とパフォーマンス分析-

本研究はNHK 教育テレビの学校放送『幼稚園・保育所の時間』枠において、1988年から1995年までに放送された3本の音楽番組『ぷるぷるぷるん』(88-89年)『ともだちいっぱいうたってあそぼ』(90-94年)『うたってオドロンパ』(95-2005年)を対象とした内容分析から、これらの番組が幼稚園教育要領・保育所保育指針に基づき、幼児向けの視聴覚テクストがいかに構成されているか明らかとした。
秦野 康子 名古屋大学大学院人文学研究科 英米文学分野(研究員) 英国の児童文学、英文学、女性学 発表方法:論文
『英文学』(早稲田大学英文学会)no.107 pp. 1-20
(発表年月:2022年3月)

発表タイトル:Reimagining the Monstrous Ursine Warrior: J. R. R. Tolkien’s Beorn in The Hobbit.

トールキンのThe Hobbitにおける怪物的(モンストラス)な熊戦士の再創造について、主に古代北欧のサガに登場するberserker狂戦士の伝統を受け継ぐ点と古代北欧やドイツの館での客人のもてなしの観点からBeorn の独自性を論じた。
堀 啓子 東海大学文化社会学部文芸創作学科(教授) 明治・大正期の文学作品における外国文学の影響 発表方法:web 連載エッセイ
春陽堂書店ウェブサイト
(発表年月:2021年4月~2022年1月)

発表タイトル:尾崎紅葉と春陽堂

春陽堂書店のWeb上で『尾崎紅葉と春陽堂』のタイトルで、エッセイを毎月連載。 当該年度初回は4月で、紅葉作品の『不言不語』をテーマとした。 以降、2022年1月まで、計10回連載。
同上     発表方法:翻訳
『東海大学紀要 文化社会学部』第6号
(発表年月:2021年9月)

発表タイトル:Charlotte M. Brame著『ドラ・ソーン(Dora Thorne)』(翻訳・その20)

英国人の女流作家Charlotte M. Brame の代表作で、明治期の日本文学に多大な影響を与えたDora Thorneの分載、第20回を翻訳した。
同上     発表方法:翻訳
『東海大学紀要 文化社会学部』第7号
(発表年月:2022年3月)

発表タイトル:Charlotte M. Brame 著『ドラ・ソーン(Dora Thorne ) 』(翻訳・その21)

英国人の女流作家Charlotte M. Brame の代表作で、明治期の日本文学に多大な影響を与えたDora Thorneの分載、第21回を翻訳した。
町田 理樹 美学会 絵本における詩の言葉-例えば谷川俊太郎ほか- 発表方法:書評
『たびぽえ』Vol.2 2022年春号
(発表年月日:2022年3月1日)
あべ弘士の絵本『氷上カーニバル』についての書評
同上     発表方法:書評
『詩と思想』2022年7月号
(発表年月日:2022年7月1日)

発表タイトル:詩と野蛮の弁証法

内田麟太郎・詩、うえだまこと・絵の絵本『ひばりに』についての書評。東日本大震災の自然の脅威を前にしての、詩を書くことに対する内田のためらいを、哲学者テオドール・W・アドルノの有名なテーゼ「アウシュビッツ以降、詩を書くことは野蛮である」に対比する。
同上     発表方法:書評
『たびぽえ』Vol.3 2022年夏号
(発表年月日:2022年7月1日)
堀内誠一、谷川俊太郎の著作『音楽の肖像』についての書評。音楽家にまつわる詩とエッセイが収録されているが、「旅の本」として読んでみる。
宮田 航平 東京都立産業技術高等専門学校(助教) 戦後児童出版メディアにおける「童話」の編成 発表方法:学会発表
日本児童文学学会第60回研究大会(大阪府立中央図書館)
(発表年月日:2021年11月20日)

発表タイトル:1970年代のあまんきみこ作品考――児童出版メディアと「童話」のゆくえ

1970年代に発表の場を広げていくなかで、さまざまな可能性を探り始めたあまんきみこ作品の試みについて、同時代の児童出版メディアの状況なども踏まえながら論じた。
同上     発表方法:著書(分担執筆)
宮川健郎編『日本の文学者36人の肖像』上下巻(あすなろ書房)
(発表年月:2021年12月)
「有島武郎」「志賀直哉」「井伏鱒二」「梶井基次郎」「中島敦」「三島由紀夫」「文学史年表」の項目を執筆した。
同上     発表方法:書評
偕成社ウェブサイト Kaisei web
(発表年月:2021年4月)

発表タイトル:児童文学が「格差社会」に見出す希望は?(『野原できみとピクニック』濱野京子著)

濱野京子『野原できみとピクニック』(2021年3月、偕成社)における「わかりあえないこと」の語り方について評した。
森岡 伸枝 大阪芸術大学短期大学部保育学科(准教授) 文部省推薦図書の歴史と絵本 発表方法:講演
大阪芸術大学短期大学部主催人権研修会
(発表年月日:2021年9月15日)

発表タイトル:ジェンダー×歴史×短期大学

大阪芸術大学短期大学部教職員(150名)の人権研修会を担当した。ジェンダーの教育への影響について自己点検を行うことを促すため、戦前戦後の日本の女性の教育の機会を解説した。
山本 貴恵 十文字学園女子大学教育人文学部文芸文化学科 学科助手(非常勤職員) 日本児童文学 発表方法:論文
『江戸風雅』第24号
(発表年月:2021年11月)

発表タイトル:近代の児童向け『八犬伝』考 ―草創期を対象としてー

近代における草創期の児童向け『八犬伝』(活字本)を調査した。まず、その所在を明らかとした上で、どのような特徴、傾向が見られるかを分析、考察した(一九一一~三五年発行の計三一点の資料)。そして、次第に近代児童文学が形成されていく過程での『八犬伝』の受容の様相を明らかとした。

グループ

  • グループ名:子どものことば・伝承・作文・図像と学校教育の研究会
  • メンバー:代表者 高木史人(武庫川女子大学)、副代表 菊地暁(京都大学人文科学研究所)、佐藤守弘(同志社大学)、藤久真菜(日本口承文芸学会会員)、黒岩康博(天理大学)、須永哲思(日本学術振興会特別研究員Pd) ※所属団体(当時)
  • 研究テーマ:子どものことば・伝承・作文・図像と学校教育の研究
発表内容
発表タイトル 発表方法等 発表の概要
昔語り・昔話に集う人々─語り手・話し手と聴き手との力学─ 発表方法:シンポジウム・パネリスト

日本昔話学会2021年度大会
(発表年月:2021年7月25日)

発表者:高木史人

2021年10月の研究発表、2022年3月の論文の原型になった口頭発表である。シンポジウム全体のタイトルは「昔話 声の記憶と表現」。パネリスト=黄地百合子・埴岡真弓・高木史人/司会=真下厚 (オンライン開催)
ウンとフン─昔語り・昔話しの相槌から柳田國男・関敬吾の話型論を再考する─ 発表方法:研究発表

御影史学研究会10月例会
(発表年月:2021年10月25日)

発表者:高木史人

「ウン」や「フン」という相槌は軽く見られがちだが、たとえば愛媛県では下手な語り手に対して「フーン、トッポーン」というと昔話を打ち切りにしなければならないという報告があり、長野県下では下手な語り手に対して「フンフフフンフン」といって語りを終わらせなるど、「フン」や「ウン」には特別な力が付与されていたことを説き、「フン」や「ウン」の復権を主張した。
「言い手」と「問い手」との力学 ─「言い手」中心に立てられてきた「ムカシ」論を転回する─ 発表方法:論文
『昔話─研究と資料』49号
(2022年3月31日)

発表者:高木史人

従来「昔話」という柳田國男の用語で研究をしてきたが、日本のFolktaleは「話す」だけのものでなく「昔話」で論ずるのには無理がある。一方、昔語りの「語る」にも限界はあり、もっと普遍的な語として「ムカシ」という名称を注目すべきである。また、「語る」「話す」だけでなく「ムウシ」を「言う」とする記録が各地にあることから、「言う」という言葉を始源に想定できるとみた。また、「聞く」動作を表す「相槌を打つ」についても、これは鍛冶の相槌からの譬喩として派生した語であり、「問い口」という数少ない事例を取り上げて、「問う」が「聞く」「聴く」よりも本源的な語でないかと説いた。「言い手」と「問い手」との間での「ムカシ」伝承を想定することで、日本の「ムカシ」伝承では「問い手」の活動がより活発だったと捉えられることになると説いた。

卒業論文による発表

名前(敬称略) 所属団体(当時) 研究テーマ 発表方法等 発表の概要
大野 綾伽 京都ノートルダム女子大学国際言語文化学部 動物文学作品に登場する〈狐〉が読者に与える印象 -日本と英国の児童文学作品の比較から- 発表方法:卒業論文
京都ノートルダム女子大学国際言語文化学部
(発表年月:2022年3月)

発表タイトル:動物文学作品に登場する〈狐〉が読者に与える印象 -日本と英国の児童文学作品の比較から-

本論文は、動物文学作品に登場する〈狐〉が読者に与える印象について分析し、文学作品における動物の役割について明らかにすることを目的として行ったものである。分析を行う際、日本とイギリスの文学作品の比較から検証を行い、両国の〈狐〉イメージが構築された背景や歴史についてまとめた。その後、各々の文学作品における〈狐〉の描かれ方について考察し、比較を行った。
野村 菜穂 京都ノートルダム女子大学国際言語文化学部 青少年読書感想文全国コンクールと現代の読書活動施策 発表方法:卒業論文
京都ノートルダム女子大学国際言語文化学部
(発表年月:2022年3月)

発表タイトル:青少年読書感想文全国コンクールと現代の読書活動施策

1955年から60年以上続く青少年読書感想文全国コンクール内容が2000年以降の読書活動施策の方針と合致しているかどうかを分析考察した。その結果、理念は合致しているものの、感想文を書くという方法が、必ずしも現代の施策に合っているとは言えないことが明らかになった。
三輪 芽由 京都ノートルダム女子大学国際言語文化学部 アニメにおけるヒーローの変遷とその背景~女の子のヒーローを中心に~ 発表方法:卒業論文
京都ノートルダム女子大学国際言語文化学部
(発表年月:2022年3月)

発表タイトル:アニメにおけるヒーローの変遷とその背景~女の子のヒーローを中心に~

本論文の目的は、ヒーロー像がどのように変化してきたのか、女の子が活躍する物語の増減や社会での女性の立場の変化を踏まえて、子ども向けアニメにおける女の子のヒーロー像の変化を明らかにすることである。考察の結果、明らかになったのは、それぞれの時代の女性観に沿ってヒーロー像が変化したことである。


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