日本の子どもの本~珠玉の30選~ 展示資料『花物語』
更新日:2024年3月24日
『花物語 第1集』
吉屋信子:作 大正9年2月 洛陽堂(東京)
吉屋信子『花物語』(大正5年~)は、雑誌「少女画報」に作品「鈴蘭」が掲載されたのを最初とし、「月見草」「白萩」「野菊」などが書き継がれ長期連載となっていった。物語の舞台は女学校や寄宿舎であり、こうしたなかで描かれた繊細で脆い少女像が読者の心を惹き付けてやまなかった。明治以降、十代の少女を対象に創作された少女小説は多数存在していたが、「花物語」は男性の補佐役に徹する旧来の少女像とは一線を画すものであった。近年、フェミニズム文学の立場から再評価の動きもある。