大阪府立図書館の活動評価~平成28年度のまとめ~
更新日:2017年12月6日
大阪府立図書館が平成22年度から実施してきた活動評価は、28年度から第三期に入りました。第三期も基本的に第二期までの5つの基本方針を維持していますが、より明確に内容が伝わるように一部の表現を変更しています。
中央図書館は開館20周年を迎え、開館記念日の5月10日を挟む約1か月間、記念展示を行いました。展示内の企画「図書館へのメッセージ」では、「理想的な図書館です」「こんな企画をもっとしてほしい」等、図書館への期待が多く寄せられました。
中之島図書館は4月から指定管理者制度を導入、施設の維持管理のほか独自企画によるイベント、展示などの文化事業による賑わい創出を推進しました。館内にはカフェもオープンし、図書館の空間を楽しむ利用者も増えたと考えています。
社会状況の変化を見据えつつ府立図書館の役割を実現するため、オープンデータ化、高校生の図書館利用に繋がることを期した府立高等学校での教員向け講習を行う一方で、新たな連携先との共催事業等を通じて府立図書館の多様な資料を紹介する機会が増えました。
「基本方針1」
府立図書館は、市町村立図書館を支援し、大阪府全域の図書館サービスを一層充実させます。
研修については、受講者が選択しやすいように、事前に年間スケジュールで概要を伝える等、案内を工夫しました。年間を通じて一定の参加者数を確保しており、満足度も高い水準を維持しています。
府域図書館支援の一環である巡回相談は、28年度も全43市町村で行いました。実際に現場を訪れ、府域図書館員の声を直接聞く機会は貴重であり、その場で受けた意見・要望を今後も業務に反映していきたいと考えています。
府域図書館への資料提供に関しては、府域市町村間の借受冊数の伸びが大きく、協力車による搬送資料数が引き続き増加しました。利用者が求める資料が多様化しているためと考えられますので、搬送手段を保障することにより、府立図書館と府域図書館の資料を合わせて提供できるよう支援していきます。
「基本方針2」
府立図書館は、幅広い資料の収集・保存に努め、すべての府民が正確な情報・知識を得られるようサポートします。
蔵書全般については、個人利用者の85.2%、府域図書館の88.4%から「満足」という評価を得ました。保存図書館としての役割を念頭に置き、資料収蔵能力の確保に向けては、複本を精査し、書庫スペースのより一層効率的な活用に努めました。
府民が自ら情報リソースを利活用できるようWebサイトでパスファインダー、レファレンス事例の公開等を継続するとともに、画像・統計等のオープンデータ化を行いました。非来館型サービスとしては、e-レファレンスとWeb複写の件数が増加しています。
障がい者サービスでは、録音図書等の貸出サービスはもとより国立国会図書館によるDAISY図書配信等への協力も積極的に行いました。府民および府域図書館員向けの研修事業を職員が講師となって実施し、障がい者サービスの普及、向上に努めました。
ビジネス支援サービスでは、関連機関と連携を深め、新たな連続セミナーを企画・実施したほか、府域図書館を支援するため、ビジネス支援サービス実施のための研修会を開催しました。閲覧室内に資料展示コーナーを常設し、ビジネス関連資料の活用にも努めました。29年度は新たなセミナーと府域図書館員向けの研修会を実施していきます。
「基本方針3」
府立図書館は、府域の子どもが豊かに育つ読書環境づくりを進めるとともに、国際児童文学館の機能充実に努めます。
「第3次大阪府子ども読書活動推進計画」に則り、子どもたちが本に出合い、親しみ、学ぶ機会を作るための各種研修について、一層の充実を図りました。また、子どもの読書環境を支える人と体制づくりを目指した「子どもの読書活動推進支援員養成講座」も24年度から講師を務めていますが、その受講生の推薦により、小学校教員の研修会でも講師を務める機会を得て、読書環境づくりの輪が広がる好循環になりました。また、各府立支援学校へのヒアリング結果に基づき、特別貸出用図書セットの再編を行い、新規利用にもつながりました。支援学校から図書室リニューアルについてアドバイスを求められた際は、子どもたちへの直接サービスにより培ったノウハウを基に協力しました。新しい図書室は子どもたちによく利用されていると聞いています。
国際児童文学館では、より一層の資料利活用のため、1年を通じてさまざまな展示、関連講演会等を実施する一方、移転資料の再整理を進めました。29年度は図書館未設置自治体での講座を着実に進めていく予定です。
「基本方針4」
府立図書館は、大阪の歴史と知の蓄積を確実に未来に伝えます。
28年度から導入した指定管理者との資料展示、講演会といった共同企画事業を順調に開催し、特に「古文書講座」は高い評価を得て、継続開催することになりました。
電子資料検索システム「おおさかeコレクション」については、新規コンテンツとして「近世後期小説類」940件を掲載し、デジタル形態で発行された大阪府の行政資料を継続して収集・公開しました。そのほか、立命館大学アートリサーチセンターとの連携により、芝居番付の画像検索システムを公開しました。
29年度は、「おおさかeコレクション」掲載データを増やし、「デジタル大阪ポータル」(仮称)の実現に向けて更に準備を進め、大阪に関する情報発信の強化に努めます。
「基本方針5」
府立図書館は、府民に開かれた図書館として、地域の魅力に出会う「場」と機会を提供します。
中央図書館では、生涯学習事業において新たな外部機関との連携事業が進み、展示や講演会・イベントで好評を得ました。27年度から導入している指定管理者は、図書館の賑わいづくりとしてカフェを利用した読書会の開催やエントランスホールへの「せせらぎビオトープ」の設置、玄関前広場を活用したイベント等を実施しました。
中之島図書館では、指定管理者による同館の建物の歴史を知るイベント、関係機関と連携して大阪の伝統工芸品を身近に感じてもらえる展示等を開催しました。府民に気軽に足を運んでいただき、大阪という地域の魅力を存分に感じることができる「場」の充実に努めてきたところです。
両館を通じて、Webサイトでは府立図書館の強みをPRするとともに、指定管理者の事業が明確になるようレイアウトを変更しました。ツイッターでは、動画を使用するなど内容を工夫して発信しました。
今後も魅力的な企画を通じて、より多くの府民に図書館への関心を喚起し、利用の活性化に繋げていきたいと考えています。