紙・電子媒体資料統合提供調査 令和元年度中間報告の概要
更新日:2021年3月9日
紙・電子媒体資料統合提供調査 令和元年度中間報告の概要
調査の目的
大阪府立図書館の利便性向上と所蔵資料の一層の活用を目的として、以下の項目の最新情報を調査
令和元年度調査内容
(A)文献調査: 電子書籍サービス、ディスカバリーサービス関係等
(B)有識者への聞き取り: (1)佐藤 翔氏 (2)家禰 淳一氏
(C)セミナー等への参加:
(1)追手門学院大学・新図書館開館記念セミナー(同大学主催)6月22日
(2)ジャパンサーチ発進! (国立国会図書館主催) 7月17日
(3)SPARC Japanセミナー2019 特別編 オープンアクセスの今とこれから(国立情報学研究所主催)11月12日
(4)2022年に向けた学術情報システムの持続と発展(国立情報学研究所主催)11月12日
(5)電子図書館サービスの新しいかたち(紀伊國屋書店主催)11月13日
(6)オープンアクセスこれまでとこれから(大阪府立大学学術情報センター図書館、大阪市立大学学術情報総合センター主催)12月18日
(7)研修会「どう変わる!読書バリアフリー法施行後の図書館サービス」(近畿視覚障害者情報サービス研究協議会主催)2月6日
(D)アンケート調査:
(1)府内市町村立図書館向け: 12月
(2)都道府県立図書館向け: 2月
(E)訪問調査:
(1)神奈川県立川崎図書館:11月12日
(2)佛教大学附属図書館(飯野 勝則氏):11月26日
(3)東京都立中央図書館:11月12日
1.電子書籍 |
出版市場における販売額は紙媒体資料が半減、電子媒体資料は徐々に伸びている。公共図書館において電子書籍サービスは都道府県立図書館では秋田、山梨、東京、高知、徳島、岐阜(導入年月順)の6都県で導入され、秋田を除き継続中。大阪府内市町村立図書館では堺、大阪、松原、高石、八尾の5市で導入。 |
2.電子ジャーナル(EJ) |
公共図書館として初めて本格的に導入した神奈川県立川崎図書館を訪問調査した。同館では2018年のかながわサイエンスパークへの移転にあわせ、科学技術分野のEJ、抄録・引用文献データベースほか、研究者や専門職をターゲットとしたEJを導入。今後の課題として購入価格が年々上昇する契約価格への対応(予算確保)や、個々のEJの評価を行うことが挙げられていた。 |
3.オープンアクセス |
世界規模で推進されつつあり、日本では主に大学図書館で取り組みが進んでいる。有料コンテンツに比べると、公共図書館でも活用しやすい。 |
4.デジタルアーカイブ |
2019年12月現在、大阪府内市町村立図書館では大阪、豊中、吹田、高槻、寝屋川、大東、八尾、柏原、堺、和泉の10市で実施。2019年に試験版を公開した国の分野横断統合ポータル「ジャパンサーチ」は国内デジタルアーカイブと連携し、2020年2月現在で約2千万件のデータを検索可能。府立図書館でも何らかの関与ができる可能性あり。 |
5.ウェブスケールディスカバリー(WSD) |
WSDを日本で初めて図書館に導入した佛教大学附属図書館を訪問調査した。WSDはウェブ上のデータベースやEJ、図書館のオンライン蔵書目録などの情報資源をGoogleのようにまとめて検索できるサービスで、大学図書館で導入が進んでいる。WSDにより図書館の情報資源を利用者が「発見」し利用が伸びた例や、WSDをサービスの核として周囲のコンテンツを整備することなどについて示唆を受けた。 |
6.読書バリアフリー法 |
読書バリアフリー法(2019年施行)との関連から、障がい者の読書環境向上につながる電子媒体資料の動向を注視する。 |
今後の方針
(1)電子媒体資料導入による紙媒体資料の利用の変化を把握するため、電子書籍利用者へのアンケート調査を実施(市町村立図書館との合同調査を模索)
(2)WSD導入実現の可能性を明確化
(3)オープンアクセスについて情報収集
(4)障がい者の読書の利便性を向上させる技術的な情報、および読書バリアフリー法関連の国・自治体の計画等に関する情報収集
(5)電子書籍や電子ジャーナル、デジタルアーカイブ全般についての最新情報を収集