調査ガイド 漢詩の調べ方
更新日:2025年2月28日
大阪府立中央図書館調査ガイド 16 2025年2月 » [PDFファイル/491KB]
「習字で習った漢詩の意味が知りたい」「掛け軸に書いてある漢詩の全文が知りたい」など漢詩に関する質問は多く寄せられます。そこで漢詩の調べ方についての調査ガイドを作成いたしました。
「1.作品や作者について調べる」「2. 詩題から調べる」「3.作者から調べる」「4.語句から調べる」「5.日本語訳の情報を調べる」「6.日本人の漢詩を調べる」「7.漢詩データベース」の構成になっています。
1. 作品や作者について調べる
■『中国学芸大事典』(近藤春雄/著 大修館書店 1978.10) 【032/1/】
中国の文学や思想、言語、歴史などの学術に関する人名・書名・事項について解説されています。
2. 詩題から調べる
■『中国名詩鑑賞辞典』(細田三喜夫/編 東京堂出版 1977) 【921/13】
詩題(現代語訳)の五十音順に中国名詩が配列され、原詩、読み下し文、口語訳等が記されています。
「作者別分類目次」あり。
■『校注唐詩解釈辞典』 (松浦友久/編 大修館書店 1987.11)【921/61】
■『校注唐詩解釈辞典 続』(松浦友久/編 大修館書店 2001.4)【921.4/114N】
唐詩の中で基本的な作品が著者名順に収録されています。
『続』に「正編続編総合詩題索引(読み下し五十音順)」があり、2冊合わせて検索することができます。
原詩、読み下し文、通釈等が記されています。
■『宋詩鑑賞辞典』 (前野直彬/編 東京堂出版 1977)【921/18】
宋詩の中で古来定評のある作品が著者名順に収録されています。
「詩人別詩題目次」、「訓読詩題索引」「画引詩題索引」より探すことができます。
原詩、読み下し文、通釈等が記されています。
3.作者から調べる
■『漢詩大系』全24巻 (集英社 1980) 【921/3】
各巻ごとに著名な著者の作品を集めています。原詩、読み下し文、口語訳等が記されています。
■『新釈漢文大系 詩人編』全12巻(明治書院 2019-)【928/1NX】
詩人13人の作品を取り上げます。原詩、訓読、現代語訳等が記されています。
■『漢詩の事典』 (松浦友久/編 大修館書店 1999.1)【921/51N】
読み物ふう事典。詩人と作品、漢詩の詩跡(漢詩にかかわる名所旧跡)、漢詩の用語などについて解説。
「漢詩の作り方」「主要原典の解説」「漢詩を読むための文献案内」などの付録あり。
「総合索引」「作者別詩題索引」付き。
詩の作者が分かっている場合は、作者の著作集から探す事もできます。
・『杜甫全詩集』全4巻 (日本図書センター 1978) 【921.4/19N/】
・『李白全詩集』全3巻(日本図書センター 1989) 【921.4/20N/】
・『唐代研究のしおり 第8 李白歌詩索引』(平岡武夫/編 同朋舎 1985.9)【237.3/135/#】
・『白楽天全詩集』全4巻[(日本図書センター 1989)【921.4/21N/】
・『白氏文集歌詩索引』上中下冊(平岡武夫/編 同朋舎出版 1989.10)【237.3/203/#】中之島
・『陶淵明全集』上下(岩波書店 1990) 【L11/377N】
・『陶淵明詩文綜合索引』(堀江忠道/編 彙文堂書店 1976)【237.3/137/#】中之島
4. 語句から調べる
■『大漢和辞典』(諸橋轍次/著 大修館書店)【A1/711】最も大部な漢和辞典で親文字約5万字、熟語約50万語を収録。
古典作品より用例を収録しているので、熟語を引くと出典が分かる場合もあります。
熟語を引くには別巻の『語彙索引』【813.2/2N】が便利です。
■『漢詩名句辞典』(鎌田正/著 大修館書店 1980.6) 【921/32】
中国、日本の漢詩名句1109が主題別に分類されています。
原詩、書き下し文、出典、解説も記載されています。
巻末に詩句索引、作者別詩題索引、語句索引があります。
■『唐詩選三体詩総合索引』(禅文化研究所/編集 禅文化研究所 1991.1) 【921.4/22N】
『唐詩選』と『三体詩』の総合索引です。語句索引と作者別詩題索引があります。
前半部分に原詩を収録しています。読み下し文や現代語訳はないので、下記資料等を参考にします。
・『唐詩選(岩波文庫) [改訂]』上中下([李攀竜/編] 前野直彬/注解 岩波書店 2000.10)【L11/105N】
・『三体詩 中国古典選』1・3・4(村上哲見/著 朝日新聞社 1978)【L921.4/54N】
※『唐詩選』:唐代詩人128人の詩が計465首選ばれた詩選集。
※『三体詩』:唐代詩人167人の作を七言絶句、七言律詩、五言律詩の三体に分けて編纂した書。
■『中国詩跡事典:漢詩の歌枕』(植木久行/編 研文出版 2015.3)【921/107N】
中国の詩跡365項目について解説されています。解説中に引用されている詩の多くは、原詩、書き下し、現代語訳が記されています。巻末に詩跡関連総合索引、作者別詩題索引があります。
●『先秦漢魏晋南北朝詩』(中華書局 1983)の一字索引。読み下し文や現代語訳はありません。
・『北魏詩索引』(松浦崇/編 櫂歌書房 1986)【237.1/155/#】中之島
・『陳詩索引』(松浦崇/編 福岡大学中国文学会 1992)【921.4/48N】中之島
・『隋詩索引』(松浦崇/編 福岡大学中国文学会 1993)【921.4/40N】
・『全宋詩索引』(松浦崇/編 福岡大学中国文学会 1991)【921.5/3N】中之島
●「墨場必携」(ぼくじょうひっけい):江戸時代の書家・市河米庵による、古詩・名文などを集めたもので、書家が「書」を書く際に参考にできる書物でした。
米庵のものとは異なりますが、以後、様々な「墨場必携」の名を冠した資料が刊行されています。
・『新撰 墨場必携』(中央公論社 1985.6)【173/2365/#】
中国の古代から現代までの名言佳句が収録されています。原文、読み下し文、出典、解説も記載されています。巻末に全語句の索引があります。
・『墨場必携明詩選』(林田芳園/編 二玄社 1997.11)【921.5/14N】
・『墨場必携続明詩選』(林田芳園/編 二玄社 1999.12)【921.5/17N】
・『墨場必携明清古詩選』(林田芳園/編 二玄社 1997.11)【921.5/15N】
・『墨場必携清詩選』(林田芳園/編 二玄社 1997.11)【921.6/2N】
原詩、読み下し文、語釈などが記載されています。巻末に詩題索引などの索引があります。
5. 日本語訳の情報を調べる
下記雑誌記事で詩人ごとに日本語訳が掲載されている資料を調べることができます。
●[先秦〜隋代]
「書誌 中国詩詞翻訳索引(5)先秦〜隋代」相島 宏
『参考書誌研究』<63>, p.180-280, 2005.10 【P01/10N】
●[唐〜五代]
「書誌 中国詩詞翻訳索引(6)唐・五代」相島 宏
『参考書誌研究』<70>, p.1-382, 2009.3 【P01/10N】
●[宋代]
「中国詩詞翻訳索引-1.宋代 (資料紹介)」相島 宏
『アジア資料通報』31(1), p.2-54, 1993.1【P02/27】
●[遼・金・元代]
「書誌中国詩詞翻訳索引(2) 遼・金・元代」相島 宏
『参考書誌研究』<58>, p.33-59, 2003.3 【P01/10N】
●[明代]
「書誌 中国詩詞翻訳索引(3)明代」相島 宏
『参考書誌研究』<61>, p.108-187, 2004.10【P01/10N】
●[清代]
「書誌 中国詩詞翻訳索引(4)清代」相島 宏
『参考書誌研究』<62>, p.187-258, 2005.3【P01/10N】
●[日本人の漢詩]
「日本漢詩翻訳索引」大沼宜規
『参考書誌研究』<75>, p.1-281, 2011.9【P01/10N】
6. 日本人の漢詩を調べる
■『日本漢詩鑑賞辞典 角川小辞典』(猪口篤志/著 角川書店 1980.7)【919/4】
歴代日本漢詩の代表的作品が作者の没年順に解説されています。(王朝時代~維新以後 1970没者まで)原詩、訓読、通釈等が記されています。巻末には全句総索引があります。
■『日本漢文学大事典』(近藤春雄/著 明治書院 1985.3) 【919/6】
日本の漢学・漢文学に関する人名・書名・事項・詩文等について解説しています。漢詩文索引に収録されている漢詩は読み下し文になっていますが、解説内の漢詩に読み下し文や口語訳はありません。参考文献を確認できます。
■『東瀛詩選本文と総索引』索引編3巻・本文編(高島要/編 勉誠出版 2007.2) 【919.5/79N】
『東瀛詩選』は、江戸~明治初期530人以上の漢詩約5300首を詩人別に編集した漢詩総集。編者は中国清代の兪樾。索引編で詩の1字から調べることができ、本文編で白文と出典を確認することができます。
■『日本詩紀本文と総索引』索引編2巻・本文編(高島要/編 勉誠出版 2003.2) 【919.3/32N】
『日本詩紀』は、近世の漢詩人市河寛斎が近江朝から平安時代末までの漢詩を収集し、年代順に編集した漢詩総集。索引編で詩の1字から調べることができ、本文編で白文と出典を確認することができます。本文編に作者名索引もあります。
■『新釈漢文大系 45 日本漢詩 上』・『新釈漢文大系 46 日本漢詩 下』(明治書院 1972)【920/S2】
日本人の漢詩約250首が作者の没年順に並んでいます。 原詩、読み下し文、通釈等が記されています。下巻の巻末に一句索引があります。
7. 漢詩データーベース
●全宋詩(網絡版) [web] 語句や作者名からの検索ができます。
●全梁詩検索(広島大学中国文学語学研究室)[web] 検索サイトでヒットすればおおよそのあたりをつけることもできるので、語句や作者を“ ”で囲って入力してみてください。
●国立国会図書館デジタルコレクション(国立国会図書館) [web] 国立国会図書館のデジタル化資料を検索・閲覧できるサービスです。漢詩集も収録されています。全文検索が可能な資料も多数あり、原詩、読み下し文、現代語訳を探すのに役立ちます。
検索サイトでヒットすればおおよそのあたりをつけることもできるので、語句や作者を“ ”で囲って入力してみてください。
●google [web]
●百度 Baidu(バイドゥ)(アジア最大級の検索サービス)
(参考資料)
国立国会図書館HP「漢詩の出典」「漢詩の口語訳、書き下し文」「日本漢詩の作品を調べる」
静岡県立図書館HP「漢詩の出典を調べる」
山梨県立図書館HP「漢詩の調べ方」
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