調査ガイド 大蔵経・一切経の調べ方
更新日:2014年2月15日
大阪府立中央図書館調査ガイド 10 2014年2月 ≫ PDFファイル/309KB
経律論の三蔵と中国の撰述を加えた仏教の基本的な叢書を「大蔵経」または「一切経」といいます。
前者が中国の隨時代以降の呼称に対して、後者は中国の南北朝時代から使用されています。
大部の大蔵経の中から1つの経典を探し出すのはなかなか大変です。
それでは、大蔵経の調べ方をみていきましょう。
【調査ガイド 大蔵経・一切経の調べ方 目次】
1. 府立図書館の所蔵する主な大蔵経・一切経
■ 『大正新脩大蔵経』 100巻(大正一切經刊行會 1924-1934年) 【134/220/#】中之島
正篇(漢訳の経律論・中国撰述の仏典)55巻、続篇(日本撰述の仏典)30巻と図像12巻、総目録3巻から成る。 漢訳経典および漢文で著された仏教典籍の集大成でもある。(漢訳)
『大正新脩大蔵経図像』のみ中央所蔵(大正新脩大蔵経刊行会)(1977-1989年)【134/1271/#】
■ 『大日本続蔵経』(1905-1912年)【134/4/#】中之島
『大日本校訂訓点大蔵経』(いわゆる「卍字蔵」)の続編。『大正新脩大蔵経』に収録されなかった中国撰述書も収録されている。目録は『大日本続蔵経目録』【134/4/#】がある。(漢訳) *『大日本校訂訓点大蔵経』:1902-1905年に京都蔵経書院より刊行された漢訳大蔵経。
『新纂大日本続蔵経』第90巻 (国書刊行会 1975-1989年)【183/75N】中央
第89巻が目録部、 第90巻 が索引部。(漢訳)
■ 『日本大蔵経』48巻(日本大蔵経編纂会 1914-1921年 )【134/3/#】中央
完全な大蔵経ではなく、漢訳大蔵経の中の重要な経律論を取り出す。経律論の注釈書のほか、日本撰述の仏典753部を収録する。
■ 『国訳大蔵経』(国民文庫刊行会1917-1928年) 【134/218/#】【134/15/#】中之島【183/K1/1】中央
日本語訳の大蔵経。現代語訳ではない。
『新国訳大蔵経』(大蔵出版1993年-刊行中)【183/15N】中之島
■ 『国訳一切経』 (大東出版社 1928-1944年) 【134/433/#】中之島 改訂(1979-1991年)【183/9N】中央
「印度撰出部」(155巻)と「和漢撰出部」(100巻)からなる。現代語訳ではなく、書き下し文。
■ 『南伝大蔵経』(65巻 大蔵出版)【134/571/#】中央
スリランカ、東南アジアに伝承する仏典を1935年(昭和10)年から1941年(昭和63)年までに日本語に完訳したもの。現代語訳ではなく、書き下し文。上座部仏教を知るうえで貴重な仏典資料。
お経によっては現代語訳されているものもあります。
《現代語に訳されているものを当館蔵書検索で探すには》
[その1] (見たい経典が決まっている場合)
書名欄に「現代語」、もしくは「和訳」と入力します。続いて下の検索項目も書名に変更し 「経典名」を入力します。書名と書名は「かつ(AND条件)」に設定します。
[その2]
書名欄に「現代語」もしくは「和訳」と入力し、分類の欄に「18」(18は仏教の分類番号)を入力し検索してみてください。
現代語訳されているお経を一部ご紹介いたします。
『法華経:梵漢和対照・現代語訳』上下巻(植木雅俊/訳 岩波書店 2008年3月)【183.3/85N】中央
『般若心経:現代語訳』(ちくま新書 玄侑宗久/著 筑摩書房 2006年9月 )【L71/615N】中央
『現代語訳大乗仏典』 (中村元/著 東京書籍 2003年2月 )【183/55N】
1 般若経典 2 法華経 3 維摩経 勝鬘経 4 浄土経典 5 華厳経 楞伽経 6 密教経典・他
2. 仏典を調べる本
目録・索引を使って探すお経がどこに収録されているか調べます。
■ 『日本仏教全集叢書資料総覧』全3巻(本の友社 1986年12月)【180.3/21N】
明治以降に刊行された仏教全集・叢書に収録されている仏典類を網羅的に目録化したもの。経典以外の目次も収録されている。(例えば、『石山本願寺日記』など) 「総目次篇」2冊は50音順に全集・叢書を配して、その目次を一覧することができる。この中に『国訳一切経』などを収めている。「総索引編」で仏典名の部首、画数順に配列されているので、書名のヨミが分からなくても調べることができる。
■ 『大蔵経全解説大事典』(雄山閣 1998年8月)【183/31N】
『大正新脩大蔵経』に収められた全典籍を収録順に並べ、成立、内容関連する典籍、参考文献等を記す。巻末に50音順の索引を載せる。ここから見たい典籍が『大正新脩大蔵経』のどこに収められているかを調べることができる。
● 「大正新脩大蔵経テキストデータベース」 東京大学大学院社会系研究科 [web]
『大正新脩大蔵経』の第1巻から第85巻までをデータベース化したもの。全文検索が可能。
■ 『一切経解題辞典』(大東出版社 2002年3月)【183/51N】
『国訳一切経』に収録する仏教典籍に主要仏典を追加した書目の解説。典籍の50音順に並べられている。画数から引く漢字索引があ
るので、ヨミが分からなくても調べることができる。『大正新脩大蔵経』等の大蔵経・一切経のどこに収められているかも記してある。注釈書が付されており、その仏典に関する調査の手掛かりとなる。
■ 『総合仏教大辞典』全3巻(法蔵館 1987年11月) 【180.3/22】
第3巻に別冊として、仏教主要叢書目録および総索引(冠字画引・和文索引・欧文索引)を収録。画数からも引けるので、ヨミが分からなくても調べることができる。『大正新脩大蔵経』等の大蔵経・一切経のどこに収められているかも記してある。
■ 『佛書解説大辞典』全15巻(大東出版社、1933年初版、1965-78年改訂増補版)【180.3/12】
仏教典籍約9万点を解説。書名、略名、巻数、存欠、著者名、訳者、内容解説、参考図書、所蔵館等が記載されている。 初版は1933年。1978年に出版された12・13巻は初版以後に公刊された仏教書の解説を増補している。
■ 『仏典解題事典』(春秋社 1987年) 【183/10】
インド・チベット・中国・日本の重要な経典・論書等について、典拠や内容解説・参考書・テキスト等を紹介している。
3. どのようにして調べるか?
Q.華厳経が全文載った資料が見たい。
A.『日本仏教全集叢書資料総覧 総索引篇』で調べる。
「華厳経」の箇所を見ると、「大方広仏華厳経」の項目を見よ、とあるので、 「大方広仏華厳経」の項目を見ると、
(1)『国訳一切経 印度撰述部 華厳経 1-4』、
(2)『大正新脩大蔵経 巻9・10』と出てきます。
(1)は書き下し文で読むことができます。
(2)は漢文で和装書の資料です。中之島図書館の所蔵となります。
4. 仏典に関する本の場所
般若心経や法華経などの経典に関する資料は4階のNDC183(05Bと06Aの本棚)に並んでいます。
183.1 阿含部 阿含経、玉耶経、六方礼経など
183.2 般若部 金剛経、心経、大般若経、仁王経
183.3 法華部 観音経、観普賢経、法華経、無量寿経など
183.4 華厳部 華厳経
183.5 宝積部 阿弥陀経、観無量寿経、宝積経、無量寿経
183.6 経集部 円覚経、金光明経、維摩経など
183.7 秘密部 金光頂経、大日経など
183.8 律部
183.9 論部
(参考資料)
『岩波仏教辞典 第二版』(岩波書店 2002年)
『一切経解題辞典』(大東出版社 2002年)
『世界大百科事典』(平凡社 2007年)
国立国会図書館 調べ方案内 大蔵経(一切経)
国立国会図書館 調べ方案内 大蔵経(一切経)の日本語訳
神奈川県立図書館 仏教資料・情報の探し方