レファレンスサービスのご案内 アイヌ文学について知りたい
更新日:2023年6月21日
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2022年4月 »アイヌ文学について知りたい [PDFファイル/538KB]
今年は金田一京助の生誕140周年に当たります。金田一京助と言えば辞書の編纂者として有名ですが、学者としてはアイヌ研究の第一人者でした。それにちなみ、今回はアイヌ文学に関する資料をご紹介します。
(※【 】は当館請求記号)
質問:アイヌ文学について知りたい
■『現代アイヌ文学作品選(講談社文芸文庫)』(川村湊/編 講談社 2010.3)【L929.2/15N】
文字を持たなかったアイヌの人々は、民族に口頭で伝わる神話や物語などを、明治になって初めて文字に残しました。本書に収録される作品はそのような口承文芸に加え、アイヌ語による短歌、アイヌに出自を持つ著者の自伝的要素を含む小説など、多岐にわたります。
■『カムイユカラと昔話』(萱野茂/[著] 小学館 1988.5)【388.1/188】
アイヌ文学を語りの形態から分類すると大きく「散文説話」「神謡」「英雄叙事詩」の三種に分けられます。本書では著者自らが語り手より採録し、邦訳した昔話などの「散文説話」、カムイユカラと呼ばれる「神謡」、ユーカラなどの「英雄叙事詩」の話を読むことができます。巻頭の「アイヌと神々の世界」や、各話の最後に書かれた解説は、アイヌ文学の世界観を理解する手助けとなります。
■『銀のしずく降る降るまわりに:知里幸恵の生涯』(藤本英夫/著 草風館 1991.6)【289.1/317N/チリ】
口伝で伝わっていた「カムイユカラ」を日本語に翻訳した最初の作品『アイヌ神謡集』の著者、知里幸恵の評伝です。先祖が遺し伝えた言葉や物語が、ただただ消え失せる一途を辿るのは名残惜しい、何とか残すすべはないか。その思いに突き動かされた彼女は、しかし、19歳で急逝します。亡くなる直前まで神謡集の校正を続けた彼女の生涯を、丹念に描いています。
■『アイヌの文学(岩波新書 E)』(久保寺逸彦/著 岩波書店 1977)【L1/989】
金田一京助とユーカラ採集の旅に随行していた著者が1956年に発表した「アイヌ文学序説」という論文を収録しています。もともとが論文とはいえ、「現地採集から得た経験と知識とを織り交ぜ」てあり、読みやすく書かれています。
■『<アイヌ>学の誕生:金田一と知里と』(丸山隆司/著 彩流社 2002.3)【929.2/4N】
日本の古代文学の中で「神話やうたが文字で書かれるということがどういうことなのか」を専攻し、よく似た構図のアイヌ文学について研究し発表した著者の論文集です。
金田一京助と、知里幸恵やその弟である真志保との「アイヌ学」への立場の違いや、これまで日本人がアイヌ民族をどうとらえてきたのかなど、アイヌ文学をとりまく環境の一端がうかがえます。
■『金田一京助とアイヌ語』(大友幸男/著 三一書房 2001.7)【289.1/3108N/キン】
金田一京助の評伝です。彼の発表した文章や人間関係などを手掛かりに、金田一京助の辿った「アイヌ学」への道を紐解いています。