レファレンスサービスのご案内 明治以降、国勢調査開始以前の人口調査について知りたい
更新日:2023年6月21日
大阪府立中央図書館レファレンスサービスのご案内
2022年1月 »明治以降、 国勢調査開始以前の人口調査について知りたい [PDFファイル/410KB]
1月29日は日本では人口調査記念日として知られています。これは150年前の1872(明治5)年同日を調査時点として、戸籍法に基づく全国的な戸口調査(ここうちょうさ)が行われたことに由来しており、この調査による戸籍は、作成された年の干支にちなんで「壬申戸籍」と呼ばれています。1920(大正9)年に国勢調査がはじまるまでは、この戸籍を基に、出生・死亡・戸籍変更の届出等を加減して毎年の人口を算出していたそうです。今回は、日本の人口調査に関する資料を紹介します。
(※【】は当館請求記号)
質問:明治以降、国勢調査開始以前の人口調査について知りたい
■『国勢調査以前日本人口統計集成 1 明治5年-18年』(内務省/編 東洋書林 1992.11)【358.1/41N/1】
全18巻・別巻4で構成されており、国勢調査以前の全国対象の人口調査表が収録されています。本書は、そのうちの第1巻で、壬申戸籍を集計し編纂された『日本全国戸籍表』など、明治5年から18年までの人口統計表が収録されています。また、巻頭(p.1-16)に解題として「人口統計の近代化過程-戸籍編成から国勢調査へ-」が掲載されており、江戸時代から国勢調査実施までの人口調査についてまとめられています。
■『日本統計発達史』(島村史郎/著 日本統計協会 2008.5)【350.1/109N/】
幕末から終戦直後までの日本の統計制度の変遷、主要な統計調査の動向、各種統計組織の活動などを、年代ごとに章立てて解説しています。国勢調査以前の人口調査については、まとまって記載されていませんが、p.20-22およびp.48に杉亨二※1(すぎこうじ)による『甲斐国現在人別調』※2のこと、p.28-31に戸籍法に基づいて実施された戸口調査のこと、p.79-80に明治31年からの内閣統計局による「人口静態調査」「人口動態調査」のこと、p.101に明治40年代の主要都市における人口調査のことが記載されています。
(参考)
※1杉亨二:「幕末-明治時代の統計学者。文政11年10月10日生まれ。蘭学をまなび,幕府の蕃書調所の教官となり,西洋統計学を独学。維新後,新政府の統計院大書記官などをつとめ,明治5年日本最初の官製統計年鑑「辛未(しんび)政表」,15年初の人口調査「甲斐国(かいのくに)現在人別調」をまとめた。明六社社員として啓蒙活動にあたった。大正6年12月4日死去。90歳。肥前長崎出身。」
(出典:当館契約データベース「Japan Knowledge(ジャパンナレッジ)」『日本人名大辞典』)
※2『甲斐国現在人別調』:「戸籍法に基づく戸口調査が戸籍編成のために戸籍上の人を実地に点検調査したのと異なり、この調査は、実際に住んでいる人を調査したもので、地域こそ甲斐国に限られましたが、我が国の国勢調査の先駆をなすものでした。」
(出典:日本近代統計の祖「杉 亨二」 – 総務省統計局)
『甲斐国現在人別調』は国立国会図書館デジタルコレクションで閲覧可能です。(インターネット公開)