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レファレンスサービスのご案内 哲学の「哲」とは何か、 なぜ「哲」学というようになったか知りたい

更新日:2023年6月21日


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2021年3月 »哲学の「哲」とは何か、 なぜ「哲」学というようになったか知りたい [PDFファイル/422KB]

哲学の「哲」ってなんでしょう。法学なら「法」の学問、歴史学なら「歴史」の学問ですから、哲学は「哲」の学問なのでしょうか?でも、それじゃあ「哲」ってなんでしょう?ここでは、そんな「哲」学について調べたことを紹介します。

(※【】は当館請求記号)

質問:哲学の「哲」とは何か、なぜ「哲」学というようになったか知りたい

​まず「哲」漢字にどんな意味があるのかというと、資料[1]によると、「哲」は中国語の「折(くじく)+口(言葉)」が語源で、「言葉で説いて、くじく」「知恵が優れる」意とのことです。
また[2]によれば「哲」は<先哲・賢哲・哲理>など儒教関連で江戸時代に広く用いられていた字であったとのことです。

ではなぜこの「哲」に「学」をつけて「哲学」と呼ぶようになったのか。まず[3]によれば哲学は英語 philosophy を訳すために西周(にし あまね 明治期の日本の思想家)が作った造語であり、東方儒学と区別するために欧州儒学を哲学と訳したものとのこと。

[4]に収録されている西周の著作、「生性發蘊(はつうん)」にも、「理学理論ナド訳スルヲ直訳トスレドモ、他二紛ルル多キ為メニ今哲學ト訳シ東州ノ儒學二分ツ」と書かれています。

しかし[5]によると、西周は最初、 philosophy を「哲学」とは訳さず、「希哲学」と訳していたようです。なぜ「希哲学」と訳したかというと、[2][6]によれば西周はphilosophyの「知を愛する」という元々の意味にそって、周敦頤(しゅう とんい 中国の宋の時代の儒学者)の『通書』に見える「士希賢(士は賢を希う)」を参照し、「賢哲たることを希う」、つまり「希哲学」と訳した、とのこと。先述した「生性發蘊」にもphilosophy の意味について「周茂叔(周敦頤の別名)ノ所謂ル士希賢ノ意」と書いています。

この「希哲学」を、西周がのちに「希」をとった「哲学」と訳すようになり広く使われるようになった、というのが「哲」学となった理由のようです。

ただし、[7]によると、この「希哲学」から「哲学」への移行については、本人がはっきりとした理由を説明していないため、専門家の間でも見解はまだ定まってはいないそうです。

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参考文献

[1]『日本語源広辞典』(増井金典/著 ミネルヴァ書房 2012.8)  【813.6/35N】 p.742
[2]『語源海』(杉本つとむ/著 東京書籍 2005.3)【813.6/25N】 p.431
[3]『明治のことば辞典』(惣郷正明/編 東京堂出版 1986.12)【813.7/13】 p.385-386
[4]『明治文學全集80 明治哲學思想集』(筑摩書房 1974.6)【918/M4】 p.4
[5]『日本哲学史』(藤田正勝/著 昭和堂 2018.10)【121.6/375N】 p.2-3
[6]『「百学連環」を読む』(山本貴光/著 三省堂 2016.8)【002/206N】 p.258
[7]『西周と「哲学」の誕生』(石井雅巳/著 堀之内出版 2019.9)【121.6/12NX】 p.28-29

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