レファレンスサービスのご案内 戌(いぬ)はいるのに、なんで猫は十二支にいないの?
更新日:2023年6月21日
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2017年12月 »2018年の干支は戌(いぬ)。あれっそういえば、犬はいるのに、なんで猫は十二支にいないの? 私犬より断然猫派なのに… [PDFファイル/399KB]
2018年の干支は戌(いぬ)。そういえば、犬はいるのに、猫は十二支にいません。年賀状に猫の出番がない…と嘆かれる猫好きな方もおられるかも知れません。
(※【 】は当館請求記号)
質問:2018年の干支は戌(いぬ)。 あれっそういえば、犬はいるのに、なんで猫は十二支にいないの? 私犬より断然猫派なのに…
■『日本民俗大辞典 上』(福田アジオほか編 吉川弘文館 1999.10)【380.3/4N】
p819「十二支の由来」によると、
「神様が動物を集合させ、12番目までに到着した動物を十二支にするとしましたが、猫は集合する日を忘れ、ネズミに聞いたところ、ネズミがわざと次の日を教えた。猫は集合日に神様のもとに行くことができずに、十二支に入れなかった」、「お釈迦さまが亡くなったときに動物たちが集まったという話もある」等といった記述があります。
■『暦の百科事典』(暦の会編 本の友社 1999.11)【449/5N】
p309には、本来、子・丑・寅…、に動物の意味はなく、中国の戦国時代頃から、わかりやすく動物を当てはめるようになった旨が記述されています。
■『中国の十二支動物誌』(鄭高詠著 白帝社 2005.3)【388.2/75N】
p18-19に、上述同様ネズミのせいで猫が遅れたとするエピソード等、十二支にちなんだ複数のエピソードが紹介されています。また十二支獣それぞれの十二支入りを果たした理由や、その順番、いわれ等についてそれぞれの獣の頁で考察しています。
■『干支の動物誌』(阿部禎著 技報堂出版 1994.10)【480.4/40N】
P294-299「十二支にネコが入っていないわけ」の項にて、上述と似たエピソードと併せて「十二支の動物を、…、いつ誰が考えついたのかについては、これといった定説はありません」と記述されています。
■『干支の書』(現代企画編 第百生命保険相互会社 1984.10)【148.8/6】
p93に「ベトナムの十二支には」兎のかわりに「猫がある」、と記述されています。
■『日本十二支考 文化の時空を生きる 中公叢書』(濱田陽著 中央公論新社 2017.1)【210.1/190N】
p67に「十二支動物の文化が見られる範囲はアジア全域に広がり、モンゴルを含む東アジアのほか東南アジア、南アジアのインド(酉は神鳥ガルーダ)、北アジアのロシア、西アジアのイラン(辰は鯨)、アラビア(辰はワニ)に及んでいる」と記述されています。
これら以外にも、『どうして十二支にネコ年はないの?』【E0/14904N/ソ】といった絵本や、南方熊楠による『十二支考 上・下』【L11/891N】のように詳しく考察したもの等、硬軟様々な資料を多数所蔵しています。
十二支獣について、関連する逸話は多く存在するものの、その起源や理由に関しては、古くから研究されているが未だ解明されないことが多い模様です。
普段何気なく接している十二支も、その歴史は古く奥深いことがわかりました。豊富な当館資料にて、その拡がりを体感いただければ幸いです