大阪府立中央図書館蔵 久野収氏旧蔵書
更新日:2025年3月29日
資料の概要
思想家・哲学者である久野収氏の蔵書。2004年(平成16)12月、同氏が大阪府堺市の出身であることから、広く一般の方々に利用してもらいたいとのご遺族の意向により、当館に寄贈された。
旧蔵書のタイトル・ページには「久野収図書之記」の印を捺し、テーマごとに分類して閲覧室及び書庫に配架している。
- 【点数】日本語図書 601冊、外国語図書 1,468冊、雑誌 11冊(6タイトル)
- 【目録】
- 大阪府立図書館蔵書検索、館内OPACでの検索が可能
- 『大阪府立中央図書館蔵久野収氏旧蔵書寄贈図書目録』(全2冊)
- 『大阪府立中央図書館蔵久野収氏旧蔵書寄贈図書目録』(大阪府立中央図書館/編集 大阪府立中央図書館 2005.1)【029.9/146N】 >>おおさかeコレクションで閲覧する
- 『大阪府立中央図書館蔵久野収氏旧蔵書寄贈図書目録(補遺)』(大阪府立中央図書館/編集 大阪府立中央図書館 2006.3)【029.9/146N/】 >>おおさかeコレクションで閲覧する
- 【利用】閲覧可・複写可・一部を除き貸出不可
久野収(くの・おさむ)氏(1910-1999)のご紹介
今日、私たちが何げなく使っている〈市民〉というコトバに、世界ではじめて新しい意味を与えた思想家・哲学者。 アメリカの20世紀後半の重大さにはやくから気がつき、15年戦争下よりその哲学を研究。昭和高商、京都大、関西学院大、神戸大、学習院大などで、論理学・哲学を教える。平和運動・市民運動を、友人たちと自ら実践しながら、亡くなるまで理論的バックボーンをつくり続けた。
主な資料
資料は外国語、日本語図書から雑誌など多岐に渡る。
特に、外国語図書は、1930年代以降の哲学・社会問題関連図書が大部分を占め、久野氏の思想形成に多大な影響を与えたものと推測される。中でも、会員制販売のレフト・ブック・クラブ資料(Left Book Club)は、ヨーロッパの1930年代の左翼運動を考える上で貴重な資料群となっている。このほか、芸術・文学・自然科学関連の資料も含まれている。
また、親交の深かった作家・研究者からの署名入りの図書が 440冊ある。久野氏へ向けて心のこもったメッセージが丁寧に記されているものもあり、氏の交友関係の広さがうかがえる(※署名本は個人貸出しておりませんので、ご了承ください)。
「久野収図書収蔵記念展」の写真 2005年(平成17)2月1日~13日 中央図書館で開催









天野祐吉氏講演会「久野先生からの贈り物」
2005年(平成17)2月12日 午後2時から3時30分まで
大阪府立中央図書館・ライティホール 参加者360名

天野祐吉(あまの・ゆうきち)氏プロフィール:現代日本において思想と風俗のせめぎあいをその場でさばいてみせる、腕の良い料理人的批評家。久野収の〈市民〉精神の影響を受ける。雑誌《広告批評》の創刊前より、島森路子氏とともに深く久野さんを敬愛する。
講演会では、「久野先生からの贈り物、それは『言葉』です。知っていると思っていた言葉について、実は何にも知らないということを教わりました」として、「言葉の背後に隠れたイメージの広がりや奥行き」を重視した久野氏の“コトバ”へのこだわりについて、内容豊かにお話しいただいた。