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第33回大阪資料・古典籍室1小展示
平成12年2月16日(水)〜3月30日(木)


平成11年度新収資料展





 中之島図書館では、日々出版される新刊書と共に、いわゆる古書も収集しています。 今回は、今年度に購入した資料のなかから、整理できたものを紹介します。


1 狂歌言葉海(きょうかことばのうみ)  子-63
 路芳斎林老翁編 養老館路産校 寛政7年 京都 林安五郎等7書肆刊
狂歌の作法書。四季各1巻仕たて。父路芳斎が安永5年12月に官許されながら刊行に至らなかったものを、息子の路産が父親の死後刊行したもの。
2 毬歌国字解(別書名:手毬歌国字解・古文手毬謌)  228-194     
潘吉凱選 〔安政頃刊〕
3 南紺屋町文書  文書 247〜249   
<水帳:宝暦3癸酉年十月・借屋巻:享保拾九年甲寅十月吉日   宗旨人別帳:享保十五甲辰年十月>
 南紺屋町は江戸期〜明治5年の町名、明治5年大宝寺中之丁となる。
4 狂歌知音百人一首(別書名:知音狂歌百人一首)  229.3-94
  片岡雪亭(随古斎)編・画 文化6年跋刊 随古斎貞古の序有
松永貞徳・由縁斎貞柳・栗柯亭木端・白縁斎梅好・随古斎貞古等大阪を代表する狂歌師の作品を収載。当館所蔵分 (229.3/94) とは、刊年等同じであるが、本文中随芳斎麦峩 (40ウ)・随時観貞婉尼 (42オ)の2頁が異なっている。
5 明清闘記  255.6-218
 鵜飼信之(石斎)著 寛文元年序 田中庄兵衛刊
近松門左衛門は、同書を通じて鄭成功が、動乱の中国に渡り、明の将軍となり清と戦った史実を知り、初世竹田出雲と諮り「国性爺合戦」を書いたといわれる。
6 狂歌浪華集 229.3-380
 寉廼屋・窓廼屋編 〔安政年間刊〕 北窓版
池田・堺・東大阪・大坂を初め、上方の狂歌師の作品を収録。
7 鶴鳴詩鈔 237.4-996
 岡田鶴鳴著 寛政3跋刊 北山橘庵序 
岡田皐は大坂河内の人で若い時江戸に出て海保皐鶴(青陵)に学び、帰郷後、江村北海らと交わり、経文の講義を業とした。
8 村田春門 春野詠草  32-342  
 村田春門一時半詠四十首及び雪如花六首と村田春野夜等九首を合装
村田春門は国学者で、伊勢の生まれで鈴屋門人。鈴門の巨擘と言われ、一時期大坂で活躍、住友・鴻池を初め多数の門人がいた。村田春野は春門の次男。
9 中西耕石書簡13通  223.9-122
 秦金石、ぶんたい等宛書簡
中西耕石は書を小田海僊、画を小田百谷に学び一家をなした。山水花鳥画をよくし、当時、日根野対山と南宗の双璧と称された。   
10 立春噺大集(りっしゅんはなしおおよせ)  229.8-94
 後素軒蘭庭自序 安永5刊 大阪 渋川久蔵板 各巻絵入
「年忘噺角力」に続く上方噺会本で、2月13日巻開の690余話から君竹と蘭庭が50話づつ選んで各5巻にまとめ同じ書名で出版したうちの一つ。もう一つの常 亭君竹編の「立春噺大集」は既所蔵分(229.8-28)。
11 滝本流夜帖  923-352
 松花堂昭乗書  寛政7刊 京都 櫻井仲蔵
松花堂昭乗は近衛信尹・本阿弥光悦と共に江戸初期三筆(寛永の三筆)の一人。青蓮院流・大師流の書を学び、松花堂の祖となった江戸時代初期を代表する文化人で滝本坊の南に方丈を建て松花堂と称した。
12 姑射文庫 (こやぶんこ)  226.3-558
 暁臺社中編 内藤東甫等画 明和5 尾州 風月堂孫助 皇都 橘屋治兵衛刊
書名は”名古屋”にいいかけたもの。内藤東甫その他の画を一面毎に収め、先輩也有を始めとして暁臺以下、社中の句を掲げている。暁臺は与謝蕪村とも手紙を通じての交流と、面識があった。
13 也哉抄(やかな(やさい)しょう)  226.2-34
 上田秋成著 夜半亭蕪村序 天明7 大坂 増田源兵衛等4書肆刊
俳諧の文法論で、蕪村が「是不朽の書也」と言った作品。
上田秋成:国学者・歌人・読本作家 幼名仙次郎 後に東作 秋成は雅名、他に漁焉・無腸・余斎・鶉居等。享保大阪曾根崎生まれ、大阪・京都に居住。文化京都にて没。本居宣長との国語学上の論争は有名。
14 松のそなた  226.3-560
 紫暁編 天明8几董序 京都菊舎太兵衛刊 紫暁自画入
俳諧書 紫暁・几董・月渓・菱湖・銀臺・春波等の名が見られる。
15 影法師 226.3-562
     晩鈴子 宝暦四無可散人序刊 叙夕跋 北尾雪坑斎・月岡丹下等画
    晩鈴・叙夕・鶴皐・蘭室・漁焉(上田秋成の無腸以前の俳名)等が入集。
16 すずみくさ 041-582
 寛政6年 京都 菱屋孫兵衛等等5書肆刊 
 建部綾足著 伴高蹊編  添山又四郎・永田文庫旧蔵
夏の巻・冬の巻から成る。各巻の前文によれば、夏の巻は暑さの耐えがたい日に若き日の諸国旅行中経験した涼を回想して、冬の巻は、夏の巻を読んだ人から、冬の寒気について書く様そそのかされてものしたものという。
17 役者芸品定 子−620
 享保7年 京都 正本屋九兵衛・鶴屋喜右衛門刊
京・江戸・大坂の部を合本して1冊としている。 江戸目録(三芝居)は、立役之部、極上上吉 市川団十郎に始まり、松本幸四郎、大谷廣次、市川団蔵、沢村宗十郎と馴染みの名前がみられる。
18 役者美野雀 (やくしゃみやすずめ)  子−621
 享保10年 京都 正本屋九兵衛・鶴屋喜右衛門刊
大坂の部1冊に元題簽「振付ハ踊の御師 七尺去□や町」とある。「役者芸品定」から3年、江戸目録は二芝居となり、立役之部は、沢村宗十郎が市川団蔵の前へ移り、大谷廣次の名が抜ける(京の目録に名がみえるところから、京に登った事がわかる)等の異動がみられる。