第8回「宮武外骨の大阪」へ  第10回「新収資料展1997」へ
第9回大阪資料・古典籍室1小展示
平成9年3月1日〜3月29日


大阪を愛した作家

織田作之助


没後五〇年


「大阪を愛した作家 織田作之助」展示外観

 織田作之助。大正2(1913)年10月26日大阪市南区生玉前町(現天王寺区)に生まれる。昭和22(1947)年1月10日東京病院にて大量の喀血のため永眠。

 文学辞典、評伝等には、劇作家を志すが、スタンダールに影響を受け小説家を志望とあり、その短い生涯のなかで、出世作「夫婦善哉」、長篇『青春の逆説』といった小説、井原西鶴の評論『西鶴新論』や伝記『五代友厚』、ラジオのシナリオ「猿飛佐助」等矢継ぎ早やに作品を発表している。

 昭和52(1977)年、当館に織田作之助の蔵書が御遺族により寄贈された。以来、目録を作成し、「織田文庫」として多くの方々にご活用願っている。

 平成9(1997)年の今年は、織田氏が亡くなってから50年目にあたる。その間に当館には織田氏と親交のあった藤沢桓夫氏の蔵書(「藤沢文庫」)の寄贈を受け、またほかに寄贈された雑誌群から見つかった未発掘作品など織田作之助の資料の充実をみた。ここに没後50年を追悼しつつ紹介する。




1 『夫婦善哉』    昭15.8.15    創元社           <藤沢文庫1806>
 他に放浪、俗臭、雨、探し人を収録。「夫婦善哉」は改造社の第1回文芸推薦の受賞作。展示中の本は織田と親交のあった藤沢桓夫に献呈した著者の署名が見開きにある。あとがきに「この本の上梓に就いては藤沢桓夫氏にいろいろお世話になりました。・・・・・・」とある。
2 『清楚』    昭18.9.20     輝文館              <あ1−14>
 長篇小説
3 『文楽の人』   昭21.6.20    白鴎社              <織田文庫−9>
 吉田栄三、吉田文五郎の二編から成る。
4 『六白金星』   昭21.9.30    三島書房             <織田文庫−5>
 他に髪、表彰、道なき道、訪問客、神経を収録。装丁は鍋井克之。
5 『世相』   昭22.5.31(初版:昭21.12.20)   八雲書房       <織田文庫−13>
 他に郷愁、アド・バルーン、競馬、四月馬鹿を収録。
6 『船場の娘』   昭22.2.5    コバルト社             <藤沢文庫247>
 他に女の橋、大阪の女、蚊帳、雨、探し人、秋深き、航路、俗臭を収録。 装丁は東郷青児。
7 『妖婦』   昭22.2.20    風雪社                 <織田文庫−6>
 他に二十番館の女、奇妙な手記、見世物、写真の人、湯の町、鬼、漂流、昨日・今日・明日を収録。
8 『怖るべき女』   昭23.2.20(初版:昭22.3.20)   実業之日本社    <織田文庫−14>
 他に素顔、影絵、中毒、夜光虫(シナリオ)を収録。
9 『土曜夫人』   昭22.4.25    鎌倉文庫              <織田文庫−2>
 長篇小説。未完。「読売新聞」に昭和21年8月30日から12月6日まで96回にわたって連載された。小説の舞台を東京に移すにあたり、取材のため織田自身も東京に行きそのまま帰らぬ人となった。
10 『夜光虫』    昭22.4.25    世界文学社              <織田文庫−7>
 長篇小説。装丁は小磯良平。
11 『可能性の文学』   昭22.10.15(初版:昭22.8.30)    カホリ書房    <織田文庫−15>
 評論集。織田作之助の文学論が語られている。装丁は石濱恒夫。

12 夫婦善哉                      <織田文庫 草稿69>

13 五代友厚                      <織田文庫 草稿26>

14 船場の娘(ラジオ・ドラマ)             <織田文庫 草稿87>

15 「清楚」筋書                    <織田文庫 草稿136>

16 「節約合戦」  (「大阪パック」36巻3号  昭16.2.1 P.14〜17)    <571-469 >
 宮田一枝と結婚した当初住んだ南河内郡野田村大字丈六(現堺市)の地名によったといわれるペンネームによる作品。新資料。 詳しくは、平成4年7月15日付「大阪読売新聞」を参照されたい。
17 『漂流』   昭17.10.1    輝文館               <織田文庫−8>
 他に許嫁、動物集、雪の夜、天衣無縫、美談、秋深き、家風、立志伝を収録。
18 『異郷』    昭18.9.20    萬理閣               <織田文庫−4>
 書下ろし長篇小説。
19 『猿飛佐助』    昭21.1.30    三島書房            <藤沢文庫242>
 他に十五夜物語、ニコ狆先生、木の都、帽子、聴雨、勝負師を収録。
20 『西鶴新論』    昭22.12.5    天地書房            <織田文庫−19> 
 (昭和17年、西鶴二百五十年忌にはじめて試みた)書下ろし評論。
21 「異郷」あとがき                  <織田文庫 草稿131>
22 合駒富士                       <織田文庫 草稿1> 
 (「夕刊大阪」に昭和15年10月4日から16年1月に連載された時代小説。 野田丈六の名で書かれた作品。)

23 猿飛佐助(ラジオ・ドラマ)             <織田文庫 草稿85>

24 西鶴新論                       <織田文庫 草稿106>

25 「西鶴物語集−町人物−」 (「大阪パック」36巻2号 臨時増刊 昭16.1.15 P.60〜69)  <571-469> 
 織田作之助の西鶴現代語訳の新資料。詳しくは、「織田作之助の西鶴現代語訳についての覚書−新資料『西鶴物語集』の紹介−」高松敏男(大阪府立図書館紀要28/平3)を参照されたい。

26 「西鶴物語」  (「鉱山の友」昭和17年8月号)     <織田文庫 雑−27>

27 『日本の作家 林忠彦写真集』  林忠彦  巖谷大四著  主婦と生活社  昭46   <に1−784>

28 『織田作之助研究』  河原義夫編  六月社書房  昭和46      <220.1-997>

29 『織田作之助全集 8』   文泉堂書店   昭和53           <222-1225>




参考文献


『織田作之助研究』  河原義夫編  六月社書房  昭和46   220.1-997
『資料 織田作之助』  関根和行著  オリジン出版センター  昭54  220.1-2219
『生き愛し書いた−織田作之助伝−』  大谷晃一著  講談社  昭48  220.1-1451

『織田作之助文藝事典』  浦西和彦編  和泉書院  平4   910.26-483N      

「大阪府立図書館紀要 28」   平4
   織田作之助の西鶴現代語訳についての覚書−新資料『西鶴物語集』の紹介−/高松敏男

「大阪府立図書館紀要 29」 平5
   織田作之助の小説『見世物』の成立−西鶴の影響史を探る−/高松敏男




 織田作之助著作リスト (大阪府立中之島図書館所蔵分)           


異郷 萬里閣 昭和18 315p 19cm 織田文庫−4
大阪の顔 明光堂書店 昭和18 215p 19cm 215-2057#
大阪の指導者 錦城出版社 昭和18 217p 19cm 352-4329#
錦城出版社 昭和18 217p 19cm 丙初−47
怖るべき女 実業之日本社 昭和23再版 237p 19cm 織田文庫−14
可能性の文学 カホリ書房 昭和22 246p 19cm 織田文庫−15
カホリ書房 昭和22 246p 19cm 220.3-101#
五代友厚 現代社 昭和31 234p 18cm 256-16713#
西鶴新論 天地書房 昭和22 211p 19cm 織田文庫−10
天地書房 昭和22 211p 19cm 255.3-117#
修文館 昭和17 288,3p 19cm 352-3927#
猿飛佐助 三島書房 昭和21 251p 19cm 藤沢文庫242
けいせい  昭和50 344p 19cm 256-18093#
素顔 瑤林社 昭和21 66p  19cm 藤沢文庫243
青春の逆説 現代社 昭和30 259p図版 18cm 織田文庫−16
三島書房 昭和21 314p 19cm 藤沢文庫244
三島書房 昭和22再版 314p 19cm 織田文庫−17
萬理閣 昭和16 320,2p 19cm 256-5749#
青春無頼の詩 大和出版販売 昭和50 236p 20cm 215-4339#
清楚  輝文館 昭和18 292p 19cm あ1−14
世相 八雲書店 昭和21 256p 19cm 256-6683#
八雲書店 昭和22三版 256p 19cm 織田文庫−13
八雲書店 昭和22三版 256p 19cm 藤沢文庫246
船場の娘 コバルト社 昭和22 184p 18cm 藤沢文庫247
それでも私は行く 大阪新聞社 昭和22 299p 19cm 織田文庫−12
天衣無縫 新生活社 昭和23 274p 19cm 織田文庫−11
土曜夫人  鎌倉文庫 昭和22 323p図版 19cm 織田文庫−2
鎌倉文庫 昭和22 丙初−46
人情噺 ぐらぷす・らいぶらり 昭和21 62p  19cm 256-6463#
漂流 輝文館 昭和17 300p 19cm 織田文庫−8
文楽の人 白 社 昭和21 126p 19cm 織田文庫−9
現代社 昭和33改装版 245P 20cm 藤沢文庫−248
夫婦善哉 創元社 昭和15 234,5p 19cm 藤沢文庫1806
創元社 昭和15 256-20613#
大地書房 昭和22 194p図版 19cm 織田文庫−1
現代社 昭和30 247p 18cm 256-8401#
夫婦善哉・船場の娘 現代社 昭和30四版 253p 18cm 256-8401#
夜光虫 世界文学社 昭和22 213p 19cm 織田文庫−7
世界文学社 昭和22 藤沢文庫1917
妖婦  風雪社 昭和22 221p 18cm 織田文庫−6
夜の構図 萬理閣 昭和22 243p 19cm 藤沢文庫1916
萬理閣 昭和22 丙初−45
六白金星 三島書房 昭和21 201p 19cm 織田文庫−5
わが町 錦城出版社 昭和18 315p 19cm 織田文庫−3
織田作之助名作選集1〜15(欠2・14) 現代社 昭和31〜32 222-281#
織田作之助全集   1〜8 講談社 昭和45 222-801#
織田作之助全集   1〜8 文泉堂書店 昭和53 222-1225#