近代大阪の耀き展


−古書肆・鹿田松雲堂と大阪の雅人文人たち− 


《 近代大阪の耀き展の展示会および講演会は終了しました 》


 明治23年5月、大阪・安土町の古書肆・鹿田松雲堂、二代鹿田静七【号:古丼(こたん)】は、一説に日本初と言われる販売目録「書籍月報」を発行した。その後、書名を「古典聚目」と変えて三代静七【号:餘霞(よか)】、四代静七(名・文一郎)に受け継がれ昭和18年まで50年以上に亘り発行された。100号には幸田成友、内藤湖南、今井貫一等が賛辞を寄せている。これは近代大阪の古書販売史上の金字塔である。
 当館には明治37年の開館当初から多くの古典籍が収蔵されている。その陰には当時古書業界で西の横綱と言われた古典籍専門店鹿田松雲堂があった。また松雲堂が収集した古典籍は高く評価され多くの雅人文人を顧客とした。水落露石、浜和助、西村天囚、内藤湖南、幸田成友、永田有翠、彼等は松雲堂をサロンとして古書談義に花を咲かせ、古書交換会を作り古典籍の知を競い、文雅に遊んだ。
 今回の展示では、古丼が寄贈した「正平版論語」や松雲堂の出版物、売立目録、即売会展目録等、また松雲堂交流史として鉄斎、天囚、湖南、露石、秋渚を始め、明治時代大阪で活躍した近藤南州、籾山衣洲等漢詩人の著作、書簡等をご紹介いたします。

日時: 平成17年7月6日(水)〜7月20日(水)  入場無料
       午前10時〜午後5時  7/11・18・19は休館
会場: 大阪府立中之島図書館3階 文芸ホール
       地下鉄御堂筋線・京阪電車「淀屋橋駅」下車5分

   ■ 主な展示資料
「書籍月報」「古典聚目」「正平版論語」「拓本・重野成斎碑銘・内藤湖南筆」、西村天囚、磯野秋渚の著書、鹿田静七、浜和助寄贈の古典籍、「鉄斎先生芳墨集」「聴蛙亭(露石)来訪名簿」(いづれも個人蔵)など多数。


   〜 関連講演会 〜
   ◆「幕末・明治の大阪漢詩壇」 福島理子氏 (帝塚山学院大学助教授)
   ◆「古書肆 鹿田松雲堂よもやま話」 中尾堅一郎氏 (古書肆中尾松泉堂社長)

         日時: 平成17年7月30日(土)  午後1時〜午後4時30分
         会場: 大阪府立中之島図書館 3階 文芸ホール  ※定員90名



■■■  展示会報告  ■■■



 大阪の古書肆・鹿田松雲堂は幕末に開業し昭和23年まで100余年に亘り古典籍を専門に取り扱った古書店でした。明治23年古典籍通信販売目録「書籍月報」を発刊し古典籍の散逸を防ぎ、図書館、研究機関、学者等に多くの貴重な古典籍を齎(もたら)したことは近代大阪の耀かしい足跡です。
 今回の展示では、松雲堂5代の人物紹介、出版物、売立目録、展覧目録、また松雲堂にゆかりの雅人文人たちの短冊、書簡等、そして近親者の方々の協力を得て松雲堂ゆかりの品々計140点余りを展示しました。中でも古典の文字が刻印された看板、松雲堂心斎橋店の写真、松雲堂の扁額などが来館者の目を惹いたようです。
 古書店を紹介する展示は過去に例がなく、また鹿田松雲堂の知名度の問題もありましたが、会期中約1,700人の方々にご来場いただきました。この場を借りて篤く御礼申し上げます。