俳諧一枚摺は俳諧の大衆化とともに広くおこなわれた俳人間の交流、挨拶の具でした。基本的には配りもので、一枚の料紙に句や絵を摺り込んで袋におさめられて先方に届けられました。主催者(注文主になる場合があります)がオーダーし、書肆(摺物所)が印刷を請け負っていたといいます。近年、俳諧研究の分野ではとくにこのような一枚摺を「俳諧文化資料」として注目する動きが出ています。
このたびの企画では、一枚摺への大方の理解の一助として、基礎的な事項のひとつ、俳諧一枚摺の製作工程を館蔵資料によって体系的に展示します。その中には新たな試みとして一枚摺の絵見本を豊富にご紹介します。