本蔵-知る司書ぞ知る(144号)
本との新たな出会いを願って、図書館で働く職員が新人からベテランまで交替でオススメ本を紹介します。大阪府立中央図書館の幅広い蔵書をお楽しみください。
2026年10月20日版
今月のトピック 【古生物・絶滅種】
大阪市立自然史博物館で開催されていた「特別展 大絶滅展 生命史のビックファイブ」(https://daizetsumetsu.jp/outline_osaka.html)が、先日10月12日に閉幕しました。閉幕直前に訪れましたが、たくさんの方が来場されており、大盛況の様子でした。本展示にちなみ、今月は古生物や絶滅種に関する資料を紹介します。
『恐竜の魅せ方 :展示の舞台裏を知ればもっと楽しい』(真鍋真/著 CCCメディアハウス 2019.7)
国立科学博物館で行われた特別展「恐竜博2019」を中心に、企画展示の裏側で何が行われているのかが紹介されています。復元骨格や復元画をつくる方々の実体験についても書かれており、読むとまた違った視点から展覧会を楽しむことができるかもしれません。なお著者の真鍋真氏は現在、同館館長を務められています。
『絶滅動物誌 :人が滅した動物たち』(今泉忠明/著 講談社 2000.6)
「大絶滅展」では展示の終盤に、世界最古のステラーダイカイギュウの化石が展示されていましたが、この本を読むと、そのステラーダイカイギュウがなぜ絶滅したかがわかります。タイトル通り、人間の活動によって絶滅した生物についての事例が多数紹介されており、生態系に与える人間の影響について考えさせられる1冊です。
『リアルサイズ古生物図鑑 :古生物のサイズが実感できる! 古生代編』(土屋健/著 群馬県立自然史博物館/監修 技術評論社 2018.8)
現代の身近な風景に古生物が溶け込んでいるような画像を通して、そのスケール感を感じることができる図鑑です。例えば、顎の無い魚類であるサカバンバスピスは、机の上でギロやマラカスと一緒に並べられており、大体の大きさがわかります。特徴を解説する文章も面白く、楽しみながら古生物について知ることができます。
今月の蔵出し
『日本葬制史』(勝田至/編 吉川弘文館 2012.5)
歴史分野の資料を多く発行している吉川弘文館から「<テーマ別>通史シリーズ」として様々なテーマで古代から現代までの日本における歴史を記述したシリーズが発行されています。判型・装幀は共通で、カバーにシリーズ名と既刊が掲載されているのですが、表紙や奥付などには記載がないので、図書館の書誌データには反映されておらず、このシリーズ名では検索できません。
(ちなみに版元である吉川弘文館のHPでも(なぜか)このシリーズ名では検索できません……)
しかたないので、表題に挙げた資料以外の大阪府立図書館所蔵分を以下に紹介します(出版年降順)(旧版は省略)。
『日本神道史 増補新版』『日本城郭史』『日本文学史』『日本地図史』『日本政党史』『日本農業史』『日本衣服史』『日本食物史』『日本災害史』『日本医療史』『日本住居史』『日本軍事史』
シリーズすべてを読んだわけではないのですが(半分以上は読んでいます)、読んだものはいずれもそのテーマについて専門的になりすぎず幅広く記述されており、入門書としてもおすすめです。
表題に挙げた『日本葬制史』では、人が死んだときどう弔うか、日本の葬儀と墓、死(体)の取扱いについて、古代から現代までの変遷を記載しています。文献の乏しい古代では考古学資料から、貴人以外の史料が乏しい平安~中世では考古学資料のほか説話や絵巻なども用い、近世以降は幅広い記録により、貴賤都市地方を問わず幅広い人々をカバーしています。
一部の貴人を除き遺体が都の外に棄てられていた平安時代の説話集では貧しい男が死に際し、弔う貯えがないので残された妻子の負担を軽くするため、自ら河原の荒れ地に赴いて死んだ話や、同じく平安時代の貴族の日記にある4歳で亡くなった天皇の皇子の遺体が産着などでくるまれて都の外に棄てられた話(「七歳のうち、尊卑ただ同じことなり」(七歳以下は身分にかかわらず遺体は棄てられていた))などが紹介されています。
また、江戸中期では大坂市中の船場で本屋(当時の「本屋」は出版社も兼ねていました)を営んでいた河内屋新次郎の葬儀は午後2時から行われ、遺体の棺は真っ昼間に提灯や行燈を持った50人以上の行列を組んで市中を練り歩き、高津の墓所に運ばれていたこと。このような華美な葬儀は河内屋のような商家だけではなくもっと下層の人々にも程度の差はあれ広がっていたこと。近代以降では、無宗教の「告別式」の誕生や葬儀の肥大化により葬祭業者が成立し発展いったことなど、現代の葬儀にも通じる形式が整っていく過程についても記載されています。
冒頭で本シリーズについて「刊行されています」と書いたのですが、シリーズ最新刊は2021年に発行の『日本神道史 増補新版』のようです。今後も様々なテーマでの継続刊行を期待しています。
【晩比瑠】
『読書感想文が終わらない!(ノベルズ・エクスプレス 60)』(額賀澪/作 satsuki/絵 ポプラ社 2025.6)
「読書感想文」ときくと、ちょっと懐かしい気持ちになる方も多いのではないでしょうか。
しかしこの読書感想文というのは、普段本を読まなかったり、本が好きじゃなかったりしたら、選ぶところから行きづまってしまうもの。夏休みになると、カウンターでよく相談されます。
今回紹介するのは、赤いフレームの眼鏡に金髪メッシュの中学生フミちゃんが、読書感想文に悩む小学生たちにアドバイスをくれる『読書感想文が終わらない』です。
読書感想文とは「本を読んだ自分のことを書く作文」とフミちゃんは教えてくれます。だから別に小説じゃなくてもいいわけです。
たとえば、第1話の水泳スクールに通う栄人は、文字ばかりの本は読まず、教科書のお話でも全部読むのはつらいという男の子。そんな栄人にフミちゃんがすすめたのは、クジラの写真集や水泳の教本。写真集というのは意外だなと思いましたが、確かに絵や写真でも想いがあふれてくることはありますよね。
この本には5人の小学生と、フミちゃんの話、計6話が収録されており、それぞれが読書感想文をとおして、自分が無意識に抱いていた感情や相手が自分を想う気持ちと向き合います。
第1話の栄人は、ひとりぼっちで泳ぐクジラと自分を重ねますが、800キロ先にも声が届くクジラと違って、自分の声は届かないと感じます。そう感じたことから、受験などで友だちが水泳スクールを辞めていき、自分はそれが「さびしかった」のだと気づきます。
この本の巻末には「フミちゃんの特別教室、開校!」として、「どの本で書けばいいの?」「どうやって書き始めたらいい?」などの解説がついています。
個人的には、フミちゃんが教えてくれる「心が動いたこと(共感した、またはその逆)をメモしておく」というコツは、読書感想文だけでなく、生活や仕事の中で何かひとことお礼や感想を伝えたいときにも参考にできるなと思います。
誰かに読んでもらうためでなく、自分と向き合うためにも読書感想文はよいのではないでしょうか。
感じたことを、メモをとって、文章にする。
読書感想文というのは、本をとおして自分の気持ちを整理できるという面もあるのだなと感じます
【Q】