令和7年度第1回大阪府立図書館協議会活動評価部会の概要(令和7年6月20日)
更新日:2025年8月3日
令和7年度 第1回 大阪府立図書館協議会活動評価部会議事録
日時 令和7年6月20日(金曜日) 14時から16時
場所 大阪府立中央図書館 多目的室
1. 開会
2.委員紹介
出席委員:村上委員(部会長)、川窪委員、佐藤委員(専門委員・遠隔参加)
3.中央図書館司書部長(代理)挨拶
4.議事(質疑要旨)
議題
(1)令和6年度 大阪府立図書館の活動評価について
(2)第六期図書館活動評価(案)について
〈議題1〉令和6年度 大阪府立図書館の活動評価について
(事務局より資料1から5および令和6年度の総括について説明)
[委員] 今回重点事業1の事業も大変成果を上げられており、事業の評価としては特に言うことがない。資料2の基本事業点検シートの総括で3-1の府立学校等に対する支援の部分について、令和6年度の総括には記述がない。令和5年度とそれほど差がなかったからかもしれないが、評価では6年度でS評価になっており、満足度も高いところなので、総括でも、基本方針3の欄に3-1の結果を記述した方が適切なのではないか。
[部会長] 国際児童文学館のことしか書いていないため、読んだ人も不思議に思うのではないか。追記することは可能か。
[事務局] 追記する。
[委員] 基本事業点検シートの中で、パスファインダーの新規作成更新があと1件で目標に達しなかった。現場の職員との意思疎通や他組織とのバランスが原因かと思うが、もったいなく感じる。
[委員] 府立図書館のホームページでマルチメディアデイジー図書についての情報を探すもすぐには見つけられなかった。ようやくマルチメディアデイジー図書の所蔵リストを見つけて、500点ほどの所蔵を確認できた。読書バリアフリー法が施行され、アクセシブルな書籍等の充実に向けて推進しているのに、マルチメディアデイジー図書の情報がすぐに出てこないことを残念に思う。第六期では、発達障がい等で文字の認識ができない子どもたちに向けても大阪府立図書館はサービスを展開していることをより分かるように発信していただきたい。
[事務局] マルチメディアデイジー図書は当館で製作ができないものであり、重点目標には記述はないが、寄贈や購入による入手に努めている。現在策定中の第二期大阪府読書バリアフリー計画でも指標を示す方向性であり、それに合わせて所蔵数の推移を追っていくことを考えている。また、ホームページでの広報についても、多くの方に届く形を考えていきたい。
[委員] マルチメディアデイジー図書は高額なものもあり、策を講じて収集していくことは、図書館の姿勢を表すものであり、目標としてあげてもよいのではないかと思う。
[部会長] 今期の重点事業シートに「作成」とあるためそこに重点を置いたということだと思うが、今後の検討をお願いしたい。
[部会長] デイジー図書のデータ提供数が令和5年度の45件から令和6年度は49件に増えた。AIの活用など、作成を円滑に効果的に進めるような検討があったのか。
[事務局] テキストデータについてはOCRソフトの活用を進めているが、デイジー図書作成については、人による音訳が基本となる。一方で、利用者が自身で読み上げソフト等を使ってテキストデータを活用することなどは増えており、図書館に頼らない使い方は進んでいると思う。
[部会長] 自分ではできないところを図書館に求めるということか。
[事務局] ご推察の通り、音声による補足説明等があることが求められている。当館で作成するデイジー図書は専門書が多く、音訳ができる人もある程度限られ、そのため作成できる件数は限られている。
[部会長] 日本語を母語としない方への情報提供とあるが、大阪府の防災や生活などの情報サイトでは図書館ホームページへのリンクのみとなっている。こうした情報サイトで、図書館に外国語の資料があるということが分かり、そうしたページへのリンクがあればより活用されるのではないか。検討いただきたい。
[委員] 言語区分を指定して蔵書を検索できることをアピールすることも大事ではないか。
[委員] 重点事業2の「デジタルコンテンツの認知度の向上」の関連で、国文学研究資料館のプロジェクトに提供した資料は、おおさかeコレクションでは公開されないのか。
[事務局] 現在のところ、国文学研究資料館に提供し公開した資料については、おおさかeコレクションでの公開は予定していない。書誌、メタデータの構造に違いがあり、公開するためには編集作業が必要になる。既に中之島図書館で撮影し、まだ公開していない画像データが多数あり、そちらを優先したい。
[委員] 府立図書館で撮影したものを優先するべきであると思うし、見比べてみたがメタデータを移行するのは大変そうである。将来的にはAI処理等により自動で移行することなどを検討することはあってもよいのかもしれないが、先々の課題とは思う。
[部会長] おおさかeコレクションには大阪の行政資料も上がっている。公文書館等との間でどのように役割分担をして、どのような目的、目標をもって収集していこうとしているのか。
[事務局] 公文書館では行政文書そのものを歴史的資料として集めることを第一に考えている。検索が統合できれば利用者にとっては有益かと思うが、まだ横断検索は完璧ではないので使い分けていただく必要がある。
[部会長] 以前の評価部会で図書館が集めるべき行政資料というのが全体としてどれぐらいあるのかを把握したうえで収集あるいはデジタル化をされているかという、問いかけがあった。こうした行政資料については、どの部分を図書館で収集しデジタル化をするという範囲を定めて、今は何を収集、デジタル化できていないという認識があればよいと思う。
〈議題2〉第六期図書館活動評価(案)について
(事務局より資料6から8について説明)
[委員] 評価期間を5年間に延ばしたいという理由について率直なところをお聞きしたい。
[事務局] 第五期までは評価期間を原則3年間としてきたが、評価の手法などが定着してきたこと、また国や府の施策や中期目標などは5年間が多いこともあり、今回変更する案を作成した。
[委員] 評価のフレームワークについては、確かにしっかり固まってきたのかなと思うので、期間を5年に伸ばしたことで不都合が生じるということはないだろうとは思う。ただし、評価項目の選定と目標値の設定が陳腐化するおそれもある。例えば、達成した項目に5年間縛られるという事態が発生するともったいない。意欲的に、達成した項目は外して新しいものを取り入れるという姿勢が維持できるような仕掛けがあれば良いと思う。
[部会長] 例えば資料8基本事業点検シート(案)の評価項目について、達成したものは新しい項目に入れ替えるというのは非常に良いアイディアではないかと思うが、事務局の見解はどうか。
[事務局] 目標値や評価項目など目標設定の見直しについては、想定外のことも起こりうるため、見直すタイミングをあえて記載してはいないが、例えば中間年で見直すことも考慮している。ご指摘の通り基本事業点検シートは数値目標のため陳腐化しやすいものであり、特に留意する必要がある。
[委員] 「日本語以外の言語の資料リストを作成する」とあるが、府立図書館の蔵書検索では、例えば、言語区分にベトナム語を指定するだけでベトナム語資料が一覧表示される機能を有している。資料リストがあるにこしたことはないが、府立図書館の蔵書検索がこれほど便利であり、最新の情報を提供できることをアピールするのがよいと思う。
加えて、重点事業1-1-2「アクセシブルな書籍等を活用し読書環境の充実に努めます」の中に、「マルチメディアデイジー図書」というキーワードが出るようにしてほしい。例えば、イベントの中で、マルチメディアデイジーを体験することは、パソコンや再生機を入手すればできる。こうした体験の機会提供や所蔵数などでよいのでマルチメディアデイジー図書を取り上げてもらいたい。
[委員] 府立図書館のホームページではやさしい日本語や多言語対応が始まっているが、蔵書検索についても多言語対応を検討してほしい。外国の方にとっては、母語を使って、母語の資料を探すことができれば一番簡単である。せめてやさしい日本語には対応することを検討してもらいたい。
[部会長] 以前の図書館評価では調査研究の実施があった。今提示のあったテーマでもよいが、今後に向けての挑戦的な調査研究を加えてもらうと評価するものとしてもありがたい。
[委員] 重点事業1-1-1「日本語を母語としない利用者に向け、さまざまな工夫を重ね、図書館が身近に感じられる環境を整えていきます」などに調査研究を入れると、前向きな姿勢でよいのではないか。
[委員] 資料7重点事業シート(案)1-2の、市町村立図書館向けの研修について、大阪府域の図書館で多言語資料の収集が進んでいるが、整理が追いつかずなかなか先に進められない現状を聞いたことがある。多言語資料の整理についても研修計画の中に入れていただきたい。
[委員] 資料7の2-1おおさかeコレクションのところに、国文学研究資料館のDDHプロジェクトへの協力を進めるというのが出てくる。確認したら、令和15年までの事業とある。第六期の評価期間を通じて継続される事業であることを示すため、資料6または資料7の中にDDHプロジェクトの実施期間の表記をお願いしたい。
[部会長] 昨年度の活動評価部会のまとめの中で、SNSでの情報発信についての効果分析を実施してほしいと要望を掲げていた。今回基本事業シートにSNS等による情報発信件数があるが、件数だけではなく、実際届いたのかどうかも含めて進めていただきたい。
[委員] SNSは難しい。期間が5年になるとさらに事態は変化していく。以前は「もっとXで発信を」と言っていたが、第四期の終わりから第五期になってくると、インスタグラムに変化してきた。効果検証をするならば、例えば来館者調査とかで今日は何を見てきましたかといったことを聞かざるを得ないとは思う。デジタルで発信しているのに効果検証は現地でやらないと効果が分からない、というのが昨今のSNSの難しいところではないかと思う。
[部会長] 非常に難しいということがよくわかった。ただ、来館者に「何を見て来たか」を聞くのは企業等でもよくやっているものでもあり、検討いただければと思う。
[部会長] 本日出た意見等を踏まえ、外部評価報告を作成する。この外部評価報告は図書館の自己評価とともに9月に予定をしている令和7年度第1回の大阪府立図書館協議会で報告をし、審議をお願いすることになる。
5.中之島図書館副館長挨拶
6.閉会
<資料>
資料1 第五期活動評価 重点事業シート 【令和6年度】
資料2 第五期活動評価 基本事業点検シート 【令和6年度】
資料3 基礎指標第五期【令和6年度】
資料4 大阪府立図書館の基本統計/都道府県別公共図書館集計 2024 【令和6年度統計】
資料5 大阪府立図書館の活動評価~令和6年度のまとめ
資料6 大阪府立図書館活動評価全体イメージ第五期から第六期へ
資料7 第六期活動評価 重点事業シート(案)
資料8 第六期活動評価 基本事業点検シート(案)