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蔵書点検のはなし

更新日:2019年9月19日


 掲載当時は5月ごろに蔵書点検をおこなっておりましたが、現在は、書庫内の一部を閉鎖してご利用いただけなくなる期間がありますが、10月ごろに休館せず(開架部分は休館日中に作業しています)蔵書点検をおこなっています。

 蔵書点検の概要をお伝えするために以下は当時の文章そのままに掲載しています。

毎年5月頃、中之島図書館では「蔵書点検のため○日~○日まで休館します」旨のお知らせをし、休館となります。「あんなに長い間休館して何をしてるのか」といぶかしく思っておられる方も多いかもしれません。
そこで蔵書点検では、どんなことをしているのかをチョットお知らせしたいと思います。

ちょっとメモ

昔、図書館では、「曝書」(ばくしょ)という作業がありました。「曝書」とは、書物を虫干しにすること(『広辞苑』より)で、和装本や漢籍は、夏の強い日光に本をひらいて数時間さらし乾燥させ同時に殺虫していました。
洋装本の場合は、日陰で干して通風していたそうです。(『図書館ハンドブック』より)。
天候を気にしながら図書館のまわりや広場を使って本を並べ「虫干し」「通風」をしている風情を想像するだけで楽しくなります。
私たちは、この名残りで蔵書点検のことを「バクショ」と言ったりもしています。

蔵書点検とはこんなものです。

蔵書点検というのは、簡単に言えば「棚卸」のことです。府民の皆さんの貴重な財産であります蔵書が無くなっていないか、実際に資料のある場所と目録の記述が正しく一致しているかを点検します。その他にも増加する蔵書を上手く管理するため書庫内の排架移動など日常では出来ない作業を行っています。
また、それ以外にも建物の補修など日数を要する工事もこの期間を使い行っています。
当館の利用案内の休館日には「特別整理期間」と表記されていますが、これが蔵書点検の期間にあたります。現在のように電算システムによる図書館サービスになる前は、蔵書点検期間も3週間以上を要していました。
中之島図書館は、平成8年のリニューアルオープン後は、蔵書冊数もスリムになり現在、洋装本約30数万冊、和書約15万が点検対象となっています。
それでも蔵書数をすべて点検するには、10日間程度では無理です。そこで工夫をして毎年行うものと、書庫出納の少ない資料が多い書庫などを数年サイクルで行うものと分けて行っています。
それでは中之島図書館の蔵書点検では具体的にどんな作業を行っているかを述べたいと思います。

データ化された資料の点検作業

データ化された資料の点検作業

  1. 職員がPOT(ポータブルターミナル)という携帯用の端末機を持って図書や雑誌1冊1冊のバーコードを読み込んでいきます。
    この時、読み漏れのないように「ピッ」「ピッ」という読み込む音を確認しながら作業します。大きな本を抱えながら読み取ることもあって、なかなか骨の折れる仕事です。
  2. POTで読み込んだデータとホストの所蔵データを照合し、なくなった資料がないか、誤って排架された資料がないかを確認します。
  3. あるべき場所にない資料については、リストが打ち出され、調査作業に入ります。 ここからが図書館員の目と頭と体を使った作業になります。
    「一時不明リスト」を持って図書や雑誌を直接確認します。書架のうしろに入りこんだり、細い本の場合は他の本にはさまっている場合もあります。
    書架の下をのぞいたり、体をねじったりの作業がつづきます。

データ化されていない和装書の点検作業

データ化されていない和装書の点検作業

1.近世までの和装書は、2人1組となって作業をすすめます。 カード、リスト(台帳)等を持って書庫に入り1人が読み上げもう1人が確認する作業を1冊1冊すすめていきます。作業中ずっと声を出すことになりますから、のどを痛めます。 作業後ののど飴は欠かせません。

2.カード、リストと現物の資料に「違い」のあるときは、データ化された資料同様に調査作業に入ります。

大量の資料を調査するために「こんな資料ももっていた」という新たな発見をしているような余裕はなかなかありません。ノルマと日程のプレッシャーと正確に点検するという司書のホコリの間で、書庫のホコリを浴びながらせっせと点検作業を続けています。

書庫内図書の整理作業

1年間のうちに書庫から出す図書や雑誌の数は少なくありません。そのために本来あってはならないことですが入れ間違いもおこります。違って排架された資料がないか点検して、番号順に並べる作業も行います。これを「ツラゾロエ」と言っています。
また年々増加する資料を想定して書庫内の排架計画を考え、書庫内図書の移動などもこの蔵書点検期間に行います。
整理している際に傷んだ資料を補修したり、製本をしたりもします。

点検中に行う大きな作業はこのようなものですが、日頃の業務と異なって使う頭も体も違い、誤解されるかも知れませんが日常からの変化に初めは少し楽しくなります。
そんな気持ちも少しだけで中頃になれば開館中の業務が恋しくなってきます。
今後とも少しでも効率よく、短期間で行うよう努力していきますが、お求めの資料を正しく迅速に提供していくために必要な作業です。 ご理解とご協力をおねがいします。


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