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大阪府立中央図書館 国際児童文学館「特別研究者」 令和2年度の成果報告について

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更新日:2022年10月6日


令和2年4月1日から令和3年3月31日までの1年間にかけて実施した特別研究者の研究成果をご報告します。

個人

名前(敬称略) 所属団体(当時) 研究テーマ 発表方法等 発表の概要
浅野 法子 大阪成蹊短期大学グローバルコミュニケーション学科(准教授) 中国児童出版美術の検証 発表方法:論文
『大阪成蹊短期大学紀要』18号
(発表年月:2021年3月発行)発表タイトル:中華民国期の児童雑誌『児童世界』にみる日本との交渉
本稿では、さまざまな表象が混在するなかで発行された日中両国の児童雑誌や絵雑誌の交渉について検証した。なかでも中華民国期の児童雑誌『児童世界』を対象に、日本の児童雑誌や絵雑誌にみられる表象を追うことで、日中児童文化の様相に関する一支流を見出した。
生駒 幸子 龍谷大学短期大学部(准教授) 戦中戦後の翻訳絵本 発表方法:論文
『甲南女子大学研究紀要1』57号
(発表年月:2021年3月)発表タイトル:「保育内容の研究(言葉)」授業改善の取り組み―「絵本をもとにした遊びのアイデアマップ」導入を中心に―
保育者養成科目「保育内容(言葉)」において、言葉を豊かに育む児童文化財である絵本をどのように保育活動に活用できるか、学習方法に焦点を当て授業改善を行った。
同上 発表方法:分担執筆
川勝泰介編著『よくわかる児童文化』(ミネルヴァ書房)
(発表年月:2020年11月)
児童文化の各項目について分担執筆した。絵本(p.100-101)、絵雑誌(p.102-103)、親子劇場運動(p.210-211)
同上 発表方法:分担執筆
『未来を担うこどもたち-寄り添い、関わり、ともに学ぶ-』(龍谷大学短期大学部こども教育学科)
(発表年月:2021年4月)
第8章 実習での絵本の読み聞かせ―読み聞かせの方法と選書のポイント―(p.115-128)において、保育・教育実習での読み聞かせに向けた準備と実践方法について解説した。
今 由佳里 鹿児島大学(准教授) 絵本の読みきかせと手遊び歌 発表方法:論文
『鹿児島大学教育学部研究紀要 教育科学編』72巻
(発表年月:2021年3月)発表タイトル:幼稚園における手遊び歌に関する実践的研究 : 「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」領域との関連
本研究では、絵本の読み聞かせ導入時における、手遊び歌の実践を取り上げ、その効果と関連性について明らかにした。
高橋 晶子 光塩学園女子短期大学(非常勤講師) アメリカ児童文学、アイヌ文学、児童雑誌 発表方法:論文
日本児童文学学会北海道支部機関誌「ヘカッチ」15号
(発表年月:2020年8月)発表タイトル:小熊秀雄―童話、叙事詩、そして漫画
詩人小熊秀雄の多彩な作品群から、童話、叙事詩、漫画原作を取り上げ、各々の特徴を、社会的背景や小熊の来し方から論じた。
同上 発表方法:論考
『詩と思想』No.407 vol.3
(発表年月:2021年7月1日)発表タイトル:小熊童話の魂
「愛国婦人」に掲載された小熊秀雄童話17編に共通する特徴を示し、詩作品などすべてに通じる小熊精神(魂)について考察した。
田中 卓也 静岡産業大学経営学部(教授) 近代日本の児童教育雑誌の読者意識と読者共同体の成立に関する研究 発表方法:学会発表(ポスター・単独)
日本保育学会第73回大会ポスター発表(於奈良教育大学)
(発表年月:2020年5月16日~5月17日)発表タイトル:絵雑誌『コドモノクニ』における幼年像
本発表は婦人画報社刊行の絵雑誌『コドモノクニ』を取り上げ、同誌が求めた幼児像の特徴について考察・検討を試みた。同誌は芸術性の高い絵を採用し幅広い誌面内容、あるがままの子どもの純正を取り入れた表紙を創出した。同誌は戦中に廃刊となったが、創刊当初の誌面方針が揺らぐことはなく、独自のある絵を発信し続けた。本発表は「静岡産業大学特別支援研究経費」(2019年度)「明治・大正期における日本の幼児雑誌の表紙の変遷と幼児像の形成に関する研究」による研究成果の一部である。
【新型コロナウイルス蔓延拡散にともなう大会中止による業績としての承認】
同上 発表方法:学会発表(ポスター・連名)
日本保育学会第73回大会ポスター発表(於奈良教育大学)
(発表年月:2020年5月16日~5月17日)発表タイトル:幼年向け絵雑誌の成立と教育的役割に関する一考察
明治期における児童向け絵雑誌は、子ども像の伝達媒体としての役割を担った。大正期になると新教育運動の影響を大きく受け、幼児教育の専門家が絵雑誌の編集に関わるようになり、子どもの良き教育者たらんとする母親が購買層になったことにより、良き教育的役割を児童向け絵雑誌が担った。そのため 対象年齢が細分化され、幼年向け絵雑誌が成立した。さらに芸術教育運動の影響を受け教育者や芸術家ら文化人が雑誌制作に関わるようになり、幼年向け絵雑誌は教育的役割のみならず、豊かな芸術性を持つ絵雑誌として発展した。
共同発表者:柳生明子、日隈美代子、田中卓也、佐藤寛子、中澤幸子
【新型コロナウイルス蔓延拡散にともなう大会中止による業績としての承認】
同上 発表方法:学会発表
日本乳幼児教育学会第30回大会口頭研究発表(名古屋柳城女子大学・オンライン・連名)
(発表年月:2020年11月14日~11月15日)発表タイトル:大正・昭和戦前期における少年向け戦争雑誌の表紙の変遷に関する考察-『航空少年』および『飛行少年』を中心に-
本研究は、大正期・昭和戦前期にかけての日本の少年雑誌、とりわけ「戦争雑誌」に焦点をあて、同誌の表紙について考察・検討を試みながら、同誌が求めた「少年像」について見い出すことを目的とした。戦争雑誌の登場により、娯楽・教養の雑誌の要素は次第に奪われ、戦争イデオロギーに少年の心が奪われた。表紙担当画家の樺島の影響も大きいものであった。なお今後の課題としては、今回の研究で取り上げた雑誌の誌面構成と読者投稿欄の分析を行い、読者が誌面よりどのような影響を受けたのかについて、明らかにしたい。
共同発表者:田中卓也、日隈美代子、柳生明子
同上 発表方法:学会発表
中国四国教育学会第72回大会(広島大学・オンライン・単独)
(発表年月:2020年11月21日~11月22日)発表タイトル:戦後日本の少女雑誌における『愛読者大会』に関する一考察
戦前に開催された「愛読者大会」の開催の背景とその内容について概観しながら、戦後の「愛読者大会」の開催されなかった経緯を見い出すことに努めた。戦後ではラジオやテレビのメディアが台頭し、マンガとタイアップした放送が始まり、「愛読者大会」を開催しなくても、少女らの心を満たすようになった。唯一、残されたのが、「座談会」であった。「座談会」が出版社側(記者)と読者側が顔を合わせ、話をする機会であり、多くの少女雑誌などでもみられるようになっていく。座談会のテーマでは「男女平等」、「純潔教育」、「性の悩み」など「男女」に関する内容のものが目立つようになる。「若者の性」に関する内容が1950年以降クローズアップされていくことになった。
同上 発表方法:論文(単著)
静岡産業大学論集『環境と経営』26巻1号(pp.31~43)
(発表年月:2020年6月30日)発表タイトル:戦後の“女学生”を対象とした少女雑誌の展開と限界-『女学生の友』(小学館)・『女学生コース』(学習研究社)を中心に-
戦後の「女学生」を対象とした二誌は、女子中学生・高校生ら「ジュニア」世代を誌面内容や附録などを工夫しながら、巧妙に読者に取り込んだ。誌面づくりのために、生き残りをかけて少女の心を引き留めることに苦心した。しかしながら両誌は、発刊および廃刊の時期は異なるものの、「女学生」としての教養の習得をめざすことは忘れておらず、クイズや懸賞形式を採用しながらも誌面に学習教材として掲載し続けた。しかしながら『女学生の友』はその後、ジュニア向けファッション誌『プチセブン』に、『女学生コース』は、『中1コース』、『高1コース』のように学習内容を残しながらも、ファッション、マンガなどの要素を取り入れたものへと変化を遂げることになり、「娯楽」や「流行」を求める少女雑誌の台頭を促すことになった。
同上 発表方法:論文(単著)
日本工業大学『工業教育研究所報』46巻(pp.39~52)
(発表年月:2020年3月31日)発表タイトル:大正・昭和戦前期における子ども文化とメディア-おまけ・附録に着目して-
本研究は、大正期から昭和戦前期にかけての子どもたちとメディアの関わりを通じて、おまけや附録について、子どもたちは遊びのなかに取り入れながら、楽しむことを長い期間繰り返してきた。子ども文化の特徴とは子ども文化の歴史的変遷を振り返り考える時期に来ている。読者らの栄誉であったおまけの「メダル」や児童雑誌の「附録」は、日本特有のものであり、子どもたちの心を揺れ動かし、現在までの子ども文化を構築するものとして評価できる。
葉口 英子 ノートルダム清心女子大学(准教授) 教育テレビと子どもの歌、幼稚園・保育所の放送教育、テレビ文化と子ども 発表方法:論文
『ノートルダム清心女子大学紀要.人間生活学・児童学・食品栄養学編』45巻1号
(発表年月:2021年2月)発表タイトル:テレビ時代の学校放送の理解に向けたメディア論への接近
本研究は、テレビ時代を本格的に迎えた日本におけるNHK教育テレビにより浸透した学校放送に関して、現在的視点からどのようにテレビ論、メディア論への議論へと接近させるか、子どもとテレビ、子どもとメディアの関連から読み解き、その可能性を示唆した。
同上 発表方法:学会発表
第17回子ども学会議
(発表年月:2021年10月23~24日)発表タイトル:「幼保の時間」の音楽番組にみる領域〈音楽リズム〉から〈表現〉への変化の対応
1989年の新要領で領域〈表現〉へと変化した時期のNHK教育テレビの幼児向け音楽番組を対象とし、番組が新領域〈表現〉の変化に伴い、どのように対応したのか、当時の制作者の発言も参考にし、番組の内容分析とともに幼児を取り巻くメディア環境や音楽文化の背景とともに明らかとした。
秦野 康子 名古屋大学大学院人文学研究科 英米文学分野(博士後期課程) 英国の児童文学、英文学、女性学 発表方法:論文
早稲田大学英文学会編『英文学』107号
(発表年月:2021年3月)発表タイトル:Reimagining the Monstrous Dragon in Fantasy: J. R. R. Tolkien’s Dragon in The Hobbit
トールキンの『ホビット』における竜(ドラゴン)に関して、古代北欧のサガに登場する竜や古代英語の詩『ベーオウルフ』に登場する竜等から受けた影響を考察し、スマウグの独自性を論じた。
同上 発表方法:論文
東北大学文学研究科 「試論」英文学研究会編『試論』55集
(発表年月:2022年1月発行予定)発表タイトル:A Dialogue with William Shakespeare: A Dialogic Analysis of Susan Cooper’s King of Shadows
ウイリアム・シェイクスピアとの対話―スーザン・クーパーの『影の王』のバフチンのダイアログ理論を用いて分析した。
堀 啓子 東海大学文化社会学部文芸創作学科(教授) 明治文学と出版背景 発表方法:事典の解説編及び項目執筆を担当
『尾崎紅葉事典』(翰林書房)
(発表年月:2020年10月)発表タイトル:【解説編】紅葉と外国文学
解説編では、明治の文豪である尾崎紅葉が、多くの翻訳や翻案を発表していることに言及し、とりわけ廉価版洋書を原作として多用していた中でもバーサ・M・クレーという作家から大きな影響を受けていたことをまとめた。
同上 発表方法:春陽堂書店web 連載エッセイ
春陽堂書店ウェブサイト
(発表年月:2021年2月~)発表タイトル:尾崎紅葉と春陽堂
毎月一回、その季節に合った尾崎紅葉の作品をとりあげ、春陽堂書店のウェブサイトに『尾崎紅葉と春陽堂』というタイトルで、エッセイを連載。第一回は『金色夜叉』第二回は『紫』をとりあげた。
同上 発表方法:文学講座
日比谷カレッジ(東京都千代田区)
(発表年月:2021年12月3日・17日)発表タイトル:文豪たちの素顔
明治期の文豪をとりあげ、彼らがどのような人生を歩み、それぞれの名作を発表したかをテーマとした。
町田 理樹 美学会 谷川俊太郎の子どもの詩 発表方法:商業雑誌における書評
『季刊びーぐる 詩の海へ』51号
(発表年月:2021年4月20日)発表タイトル:文字あそびと言語
谷川俊太郎(テクスト)と広瀬弦(絵)による“ことばあそび”関連の絵本についての書評。児童教育の観点から見た場合の、言語における社会的強制と自発性の問題に論及した。その際、同じテーマを扱ったW.ベンヤミンのエッセイも参考に取りあげた。
森岡 伸枝 大阪芸術大学短期大学部(准教授) 文部省推薦図書の歴史と絵本 発表方法:学会発表
日本社会教育学会
(発表年月:2021年9月)発表タイトル:文部省図書推薦政策と絵本-戦時中の「教育」観に着目して-
文部省推薦図書において絵本が推薦された背景を明らかにしつつ、戦時中の推薦絵本の概要を発表した。その結果、学校教育政策や家庭教育政策と関連しながら幼児やその母親に時代に合う教育を行おうとしていたことがわかった。
同上 発表方法:学会発表
日本児童文学学会
(発表年月:2021年11月21日(予定))発表タイトル:文部省図書推薦事業における絵本の教育観―読書指導に着目して―
文部省図書推薦事業(1939-1945)について、「児童の読書指導と児童文化の向上」 を目標に行われたことに着目し 、内務省の出版統制との関連性を検討しながら文部省の教育観を明らかにした。


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